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異次元と共鳴する10月、奇才・鬼才音楽に浸る (その2)

この前ポストのつづき。

10月、秋。欧米ではいにしえの万霊節にちなんだハロウィン、インドでは光が闇に打ち勝つ収穫祭、ディワリが祝われる。そして今年は10月と11月にふたつの月が天上にあるらしいという異様さ。そんな奇妙な月には、鬼才たちが紡ぎ出した音楽をちょっと。下、10人の鬼才・奇才を集めてみた。

[ポーランド] その6、ハニア・ラニ。

ポーランドのショパン音楽学院で学び、モダン音楽を選んだ鬼才ピアニスト、作曲家。このビデオでは、シェシェン戦火を逃れた移民家族のようすが子供の視点から描かれる。漠然とした寂しさ、理解できない戦争と大人の恐ろしさ。しかも、俳優ではなく実際の移民家族をフィーチャー。

こちらは、なぜか『ハワイ、オスロー』と名付けられたシュールな雰囲気の曲。少し怖さを感じさせるが、迫力満点の傑作。

[英・独] その7、マックス・リヒター。

マックス・リヒターはドイツ生まれのネオクラシカル作曲家の奇才。クラシックと現代音楽を融合させたスタイルで映画音楽や舞台音楽を手掛ける。上のビデオは、ファンによる70本以上の動画を使用し、人生を視覚的な交響曲としてまとめた作品。題名は『11月』。今の季節にぴったり。

こちらは、公式ビデオ:ヴィヴァルディ「四季」から「冬」のリヒター・リミックス版。

[加] その8、グレン・グールド。

(故)グレン・グールドは、独特な演奏スタイルと解釈、特にバッハ演奏を通じて世界的にセンセーションを巻き起こし、戦後の音楽界に大きな影響を与えた稀有な鬼才巨匠。

上、グールドによる『フーガの技法』は、J.S.バッハの晩年に作曲された。しかしながら、バッハの視力低下により未完成のまま残された謎多き作品。特に、最終未完成フーガ(コントラプンクトゥスXIV)は、製作の理由や経緯さえ未だ解明されていない。バッハの卓越した対位法が詰め込まれたこの作品は、クラシック音楽の最高傑作の一つ。その未完ゆえに一層の神秘性が漂っている。

[英] その9、VOCES8。

こちらは、ちょっとソフト。このVOCES8は、イギリスの異色アカペラ八重唱団。クラシック、ジャズ、ポップスなどの演奏や独自のアレンジを手掛ける。上、英エドワード・エルガーによる「エニグマ変奏曲」から「ルクス・アエターナ (鎮魂曲)」の声楽アダプテーション。

下の二つは、アイルランドの古典的なサウンドで未だ絶大な人気を誇るエンヤと、サミュエル・バーバーの「アグヌス・デイ」。後者は著名な「弦楽のためのアダージョ」を合唱曲に編曲したもので、荘厳で哀切な雰囲気を持つ宗教的な作品。

[英] その10、トム・ヨーク。

自閉的、ニューロダイバージェントな独自性を持ち、いまだ鬼のような存在感を誇る元ラジオヘッドのトム・ヨーク。上、ラジオヘッド時代の自閉世界の曲。なんども観てるとイケオジに見えてくるのも怖い。

歌詞一部意訳:
『夢見る者たち
彼らは決して学ばない
決して学ばない
決して学ばない

もう戻れぬ、その先で
もう戻れぬ、その先で

もう手遅れ・・・
傷は癒えない
傷は癒えない』

相変わらずまったりとしている。しかしながら、この曲の歌詞にはちょっとした希望も感じられる。

『花が咲く、その瞬間
何もかもが輝き始める
心の奥に潜むもの、
自由に舞い上がる、色とりどりに。
色褪せた過去を振り返り、
新しい明日へと続いていく
その足取りは軽やかで、
希望に満ちた世界が待っている』。

今回のテーマは秋めいてしまった。上は、晩秋であっても、室内では花も生けられる、と思って付け加えたまで。

ではこの辺で。

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