科学的に行動を変える
コーチングセッションのあやしさ
「未来のビジョンを描いてみましょう」
「未来の自分を想像して、実際に体感してみましょう!」
「何を感じますか?」
え、、、、。
今プロコーチをしている私も、自分がコーチングをうけたとき、この非日常の問いかけに違和感がありました。
コーチングはこういうものだ、と言われればそうなのかもしれないけど。
最近ではかなりビジネス領域にも浸透してきているコーチングですが、こういうことろがコーチングの怪しさを作り出している気がします。
人の人生、成長を支援する仕事として、科学的に理解し説明したい。こんな風に思っています。
即時報酬と遅延報酬
これは、自分の成長のために資格の勉強をしたいけど、Netflixの映画をみて楽しい気分を味わうというという絵です。
私たちは常に目の前に選択肢があり、
無意識に様々なことを選択しながら生きています。
行動経済学の領域で
遅延報酬(delayed rewards)
即時報酬(immediate rewards)
という言葉があります。
遅延報酬とは、将来的に得られる利益のこと
即時報酬とは、今すぐに得られる利益のこと
です。
先ほどの絵に当てはめると、
「Netflixの映画をみて楽しい気分を味わう」
というのが即時報酬。これは現在志向的な選択といえます。
「自身の成長のために資格の勉強をする」
というのが遅延報酬。これは将来志向的な選択といえます。
どちらを選択するでしょうか?
将来の自分のイメージに向けて資格の勉強を進めたいのが本心だけど、
今楽しいNetflixをみてしまい、なかなかやりたいことを進めていくことができない。
このような経験は多くの方がしているのではないでしょうか。
主観的価値の存在
ここには、“主観的価値”というものが働いています。
“今得られる利益をおいてでも将来的なことに取り組む価値があるのか?”
という、自分なりの価値基準が主観的価値です。
この主観的価値は、
先ほどの即時報酬と遅延報酬の大きさに影響してきます。
魅力的な報酬も、自分の価値基準によっては報酬の魅力が差し引かれてしまいます。
無意識であっても、この主観的価値に従って判断し選択しています。
主観的価値と即時・遅延報酬の関係をまとめます。
主観的価値が低い場合、
遅延報酬の価値が差し引かれてしまい、即時報酬の魅力が大きくなります。結果、即時報酬の行動を選択します。
主観的価値が高い場合、
遅延報酬の価値に魅力を感じて即時報酬の魅力は小さくなります。結果、遅延報酬に向けての行動を選択します。
ということになります。
理論をふまえて何ができる?
では、、、わかっちゃいるけど行動を変えられない時、私たちはどうすれば良いのでしょうか。
選択肢としては、
遅延報酬を大きくするか
即時報酬を小さくするか
の方法があります。
これを踏まえて自分の行動をコントロールしていくことができます。
遅延報酬を大きくする
ビジョンを描く•体感することの意味
これままさに遅延報酬を大きくする行為になります。
私たちが「こんな風になりたい」「こんなことをしたい」と頭で思い描いたことは、未来のイメージとして漠然としています。
そのため、遅延報酬として成立していない可能性があります。
例えば大学入試の時、就職、転職の時思い出してみてください。
オープンキャンパスに行って、
「こんなキャンパスなんだ!やっぱりここで大学生活送りたい!!」と思ったり。
就職、転職で実際にオフィスを訪れたり、働いている人たちに話を聞いたりして、
「こんな場所でこんな人たちと仕事がしたい!」と思ったり。
漠然と思っていた世界をリアルに体感できると、実現したい!!と俄然やる気が出たりします。
「未来の自分を想像して、実際に体感してみましょう!」というのは、
コーチングセッションの中で一緒に場面を具体化しながら、希望の状況を体感することを擬似的に行なうこと。
擬似的にでも体感することで、自分にとったの遅延報酬を大きくしているわけです。
即時報酬を小さくする
報酬に段階をつける
こうなりたい!と思ったことは、すぐに届く未来でないことが多いです。そのため達成に向けてのハードルを高く感じてしまい、目の前の心地よいことを思わず選択してしまいがちです。
そういう時には、最終的に得たい報酬の状態までのステップを設けます。
達成までの道筋を細分化して、いつまでにどのような状態をつくりたいか小さな目標をたてながら、それができたら都度自分が頑張ったことを認めてあげられる報酬システムを作ることが効果的です。
即時報酬を避ける
そしてもう一つ。
人間は視界に入ったもの、それをしないようにしようと思ってもなかなかできません。
辞めようと思う事によって意識下に置かれてしまうからです。
目の前の即時報酬を選択できないようにするには、即時報酬となるものを目の前から減らしたり無くしたり、つまり選択できないようにしていくことも効果があります。
例えばスマホやお菓子などを目の前から無くしたりすることや、作業場所を変えてしまったりすることも効果があります。
これは一例で、やり方は様々なバリエーションがありますね。
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結局これらはコーチングセッションの中でやっていることそのものです。
メカニズムを知った上でセルフコントロール力を高め、自己の成長や変容を叶えていきましょう。