アナウンサーになりたくて
「ナオちゃんがアナウンサーになってテレビに出たら毎日でも会えるのにねぇ」
遠方に住む祖母が何気なく放った一言で私の夢が決まった。
小学校6年生の頃の出来事。
すぐさま、どういう学歴、経歴、容姿を手に入れればアナウンサーになれるのか調べて、全部逆算して人生プランを立てた。
将来自分がアナウンサーとして活躍している場面を想像するだけで、目の前の辛いことや、上手くいかないことを忘れるぐらいワクワクした。
「将来テレビに出て有名になったら、昨日人前で恥をかいたことも、今日の失敗も、全部帳消しになって、みんな私をすごい人だと認めてくれる。」
それが原動力で高校卒業までやってこれた。
でも、大学生活が始まって、今まで何とか進めてきた人生プランが理想通りいかないことに焦り・怒りを感じるように。
経歴づくりのための、キャスターオーディションも美女コンテストも全然結果が出ない。
”人生をコントロールできていない感覚”
友達と遊んでいても、授業を受けていても、そのモヤモヤした感覚がずっと頭にあって。
常に満たされない。
上手くいかないのは体型のせいだ。
周りのアナウンサー志望の子は私よりも痩せている。
痩せれば全てが解決する。
そう思えば思うほど"食べること"に引っぱられて、過食して。
過食すれば太ることなんてわかってるし、夢から遠ざかることもわかってる。
意思とは真逆の行動をとる自分が意味不明で、もう滑稽だった。
でも過食はやめられない。
だって過食しているときは、四六時中頭の中に常駐しているモヤモヤと向き合わなくて済むんだもん。
過食は私にとって精神安定剤だった。