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【読書】「世界は贈与でできている」 近内悠太著 「贈与とはオモウマい店」 無償で誰かのために何かをできる人が強いとわかる本
今回の読書感想文は
「世界は贈与でできている」です
贈与とは
まさに「オモウマい店」
のことではないでしょうか?
無償で
誰かのために
何かをできる人が強い
とわかる本です
概要
はじめに
なぜ人間は他者と
協力し合い、助け合うのか
どうして
一人では生きていけなくなったのか
社会を作り
その中でしか
生きていけなくなってしまったのはなぜか
すべては人の「早産」から始まった
ヒントは
「直立歩行に適さない骨格」と
「大きな脳」
ユヴァル・ノア・ハラル
「サピエンス全史」
歩行から直立歩行に移行するには
骨盤を細める必要があり
女性の産道が狭くなった
赤ちゃんは
大きな脳で狭くなった産道を
通って生まれてこなければならない
頭が大きくなる前の段階で
出産するという進化で解決した
母体の生存率と
子供の出生率が上がり
人間は早期出産をするようになった
母親は子育てを周囲の人間に
手伝ってもらわなければならなくなった
人間が子育てするには
仲間が力を合わせなければならない
進化は強い社会的絆を
結べる者を優遇した
「他者からの贈与」
「他者への贈与」を前提として
生きて行くことを運命づけられた
贈与は市場経済の「すきま」にある
現代社会が
採用しているゲームが
等価交換を前提とし
市場経済というシステムを採用している
資本主義は
ありとあらゆるものを
「商品」へと
変えようとする指向性を持つ
購入された「商品」と
対価を支払ったことで得られた
「サービス」があふれている
「商品でないもの」
サービスではない
「他者からの無償の援助」
クルミドコーヒー
影山知明氏 著書「ゆっくり、いそげ」
「消費者的な人格」
できるだけ少ないコストで
できるだけ多くのものを手に入れようとする
ポイントカードや
割引クーポンなどの販促策
「受贈的な人格」
不当に受け取ってしまった
という贈与の受取人としての
負い目の自覚を持つ
「健全な負債感」
受け取ってしまったもののほうが
大きいという感覚
お返しをしなければならない
という感情
「無料の殻付きクルミ」
クルミの減るペースが
店の仕事ぶりを測る
バロメーターになっている
店の仕事ぶりが
お客の消費者的人格を
刺激しているようならば
「少しでも多く元を取ろう」
とするお客が増え
クルミが減るペースが上がる
逆に客の受贈的な人格を
刺激できているなら
負債感から一定の歯止めがそこにかかる
交換を「等価」にしてはだめ
「不等価」な交換だからこそ
その負債感を解消するべく
次なる「贈る」行為への動機を抱く
お客さん側への
「健全な負債感」の集積こそが
財務諸表にのることのない
「看板」の価値になる
なぜ「勉強」すべきなのか
贈与がすべて
「受け取ること」から始まる
「自分は
たまたま先に受け取ってしまった
これを届けなければならない」
具体的に言えば
歴史を学ぶこと
手に入れた知識や知見
そのものが贈与であることに気付く
そしてメッセンジャーとなり
他者へと何かを手渡す使命を帯びる
まとめ
「贈与」で思い浮かんだのが
「ヒューマングルメンタリー オモウマい店」
でした
「大盛りをやりたいからやっている」
「お腹いっぱい食べさせたい」
店主の「思い」だけで
利益を考えずに経営している
これこそまさに
「贈与」だと思います
リハビリでいうと
地域包括ケアシステムの
「互助」も
「贈与」なのかなと思いました
クルミドコーヒーの
「無料の殻付きクルミ」の
エピソードは面白かったです
「クルミの減るペース」を
「サービスの質」の
バロメーターにしています
でも
こんなおしゃれな喫茶店に
クルミを全部食べてしまうような客は
そもそも来ない気が・・・
最初は
「贈与」と言われても
ピンとこないのが正直な感想でした
無償で
誰かのために
何かをできる人が強い
とわかる本でした