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KCL (TESOL) イギリス大学院留学日記 日本での英語の指導法とCELTAの指導法の違い②

皆さんこんにちは。現在、King's College London(キングスカレッジロンドン)の修士課程(TESOL専攻)とCELTAのコースで勉強をしているNaoです。

前回の記事では、inductive approach(帰納的指導)・deductive approach(演繹的指導)の違いと、Concept Checking Questions (CCQs)の手法について書きました。

今回は、CELTAでよく用いられるPersonalisationという手法についてお話をさせていただきます。

まずPersonalisationとは、Communicative Language Teaching (CLT)の一種です。CLTとは、文字通り、文法の正確性よりも、コミュニケーションに重きを置いた指導法になります。(CLTを含む様々な指導法については、Nunanの著書、Teaching English to Speakers of Other Languages: An Introductionに記載されており、この本は、MA TESOLでの必読書となっています)

Personalisationの過程では、言語材料や扱った題材に関連することについて、生徒たちに自分の考えや気持ちを伝えるように促します。例えば、前回の記事で扱った言語材料(I used to live in Japan.)をもとに考えてみます。

基本的な指導の流れとしては、上記の英文の意味をCCQs(Do I live in Japan now? Did I live in Japan in the past?など)を用いて確認した後、生徒たちに以下のような質問をします。

Have you lived in another country or city?
How many countries or cities have you lived in?

これは、単に"used to live"の意味を導入するのではなく、このテーマに関連した生徒の答えを引き出すことを目的としています。私は現在ロンドンに住んでいますが、ロンドンは300以上の言語が話される都市と言われるくらい文化的に多様で、ロンドンのESL環境で指導をする場合であれば、基本的に多くの生徒は、別の都市から来ています。言語材料が国に関するものであれば、生徒が馴染みがあり話しやすいテーマなので、上記のような質問をすることで、生徒個人個人の答え(personalised response)を引き出すことができますし、ペアワークやディスカッションも盛り上がる傾向にあります。

つまりPersonalisationとは、言語材料をもとに、実際の場面で英語で意見を言えるようにすることを目的とした自由度の高い活動と言えます。

また、CELTAでは、生徒に言語活動をさせる際に、Controlled PracticeとFreer Practiceの両方の側面を意識するように言われます。

Controlled Practiceとは、コミュニケーションが目的ではなく、文法を正確に扱うことを目的としたもので、Freer Practiceは、コミュニケーションを目的とした上記のPersonalisationのようなものを指します。例えば、Controlled Practiceの一例としては、以下が考えられます。

 Example: Choose the correct alternative.
 He used to / use to live in Japan. 

文法の正確性を身につけさせることを目的としているために、答えが限定されますので、Controlled Practiceと言われます。日本では伝統的に、選択式の問題、英訳・和訳問題、誤文訂正などが入試において出題されますが、これらは、全てControlled Practiceの一種として考えられます。

CELTAでは、基本的にControlled PracticeからFreer Practiceの流れで、accuracyとfluencyの両輪の指導をすることが求められます。つまり文法の理解を発話に繋げるということですね。日本では、中々Freer Practiceまでレッスンに組み込むのは多くないかもしれません。しかし、どうしてもControlled Practiceのみでは、言語の運用力を育てるのは難しいため、文法の正確性だけに注力するのではなく、Personalisationのような手法をレッスン毎に取り入れるのは効果的なような気がします。

各レッスンで、文法の指導後にうまく発話に繋げ、生徒が少しでも自分の意見を英語で言えたという成功体験を持つことができれば、きっと英語を話すことに関して、徐々に抵抗がなくなり、言語の上達も進むのではないかと思います。具体的な活動については、目の前の生徒の様子を見ながら考えていく必要がありそうですね!

何か活動事例などありましたら、ぜひコメント等でお寄せいただければ嬉しいです!本日もお読みいただき、ありがとうございました。

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