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星祭


2024.5.7 曇り

もやもやする。
もくもくしている。

ただひたすらにどうにかしたい。昨日の面接で、強くしねと感じた。横になりながらインターネット。吐いていく場所があることに気持ち悪さを感じている。この人の下で働きたくなかった。「ワタシ、あなたにシんで欲しいんです。どうしても!」そうやってカバンから刃物を取り出した。殺人未遂で逮捕されている。テレビで見ると手錠にモザイクがかかっている。未だにわからない。スマホで写真の欄から面接のための心得を見直す。くだらないの5文字が離れない。加湿器の水を倒した。枕が濡れる。

『心が叫びたがってるんだ。』の最後に歌っていた曲の元ネタってなんだったっけ、あと声を出せない女の子は告白を受けたと思う?

ワタシをクビにした人を恨んだ。でも最近自分のためでもあったと思う。あそこで働いている時間は貴重だった。また中途の求人情報を調べている。少し摩ったものを「お気に入り」のリストへ入れた。リビングでねこを撫でている。地震のアラームが鳴った。

⬛︎



2024.6.24 晴れ

「映画館に行きたくて。」

駅で恋人と合流して目的とは反対の方向へ歩き始めた。いつもやっている、遠くまで。コンビニで酎ハイを2缶買っていた。ひとつはロングで、ひとつは350ml。袋を渡されて、そこでハイボールを空けていた。歩く。歩いて、ただひたすら、歩いて。

高速道路が見える。渋滞していることに気づいた。電光掲示板が見える。光っている中。自販機の前で立ち止まって、フリスクのまずいやつを探した。公園に行ってから映画館に行こうとなって、元の道を辿った。自動発券機で選ぶ。面白そうなものがない。2人でいると、面白いの感覚を合わせることが楽しかった。それと、むずかしかった。指でさして、2人で同時に「面白くない!」って言った。


私たちは、都心から離れた安い部屋に住んでいた。
まだカーテンもつけていない部屋。
ふたりで同じ部屋に帰っていくことにまだ違和感がある。
玄関の前で鍵をどっちが出すかを探る時間がある。今日は自分が先に出した。ダイニングテーブルの上にコンビニの袋を置くと、そのままの姿で床に寝っ転がる人を見た。そのまま私も横になる。窓から誰かがのぞいている。だから私たちは隠れている。ようだった。

少しの時間が経ってからだろうか、起き上がるとイスの上で体育座りをしてこちらを見ている人がいる。隣には誰もいなかった。早く風呂入んなー、そう告げて残った酒を飲み干した。

翌日、映画館に行きたくて。
ポップコーンを買うためだけに映画館へ行こうと誘う。キャラメルでお願い。と返された。
そんな。
一緒がいい。
2駅移動する。



2024.7.7 晴れ


屋根裏からラジオを流している。

離婚したから、引き取って。
そんなことを言ってきた人と、連絡を絶った。閉まっていたこたつを出して、ふとんを干しているとそんなことを言ってきた。澄まして、済ませた。冷蔵庫まで歩いて、ピッチャーからグラスに水を注いだ。話を逸らすなと咎められる。責任はわたしにはないはずなのに。

いつかの夜、隣の部屋から罵詈雑言が聞こえた。成人を超えているような、低い男性の声。家族で住んでいることは知ってるけど、他は何もわからない。その夜は、聞こえなかった。救急車の音がなる。ツイキャスでの配信を邪魔される。

なんとなくこの部屋に住み続けることはやめることを決めた。5年と少し。ただ眺めていたり、何も考えていないと思い出してしまうことがあった。家具もすべて手放そうと思う。次の場所には本と、服だけ。それでもどうにかやっていけるような気がしている。


屋根裏からラジオを流している。

汗だくになりながら、掃除を続けている。
バラバラな椅子と、揺れるレースのカーテン。
そのままでフローリングにおいた本を持ち上げて、クイックルワイパーでほこりを集めた。
空を撮ると、下に見える道路を歩いている大学生も同じ向きを見ている。スマホを取り出して、同じものを残していた。

ヨーグルト味のアイスを食べてから、

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