「ウーマン・キング 無敵の女戦士たち」の感想(ネタバレあり)
Amazonプライム・ビデオで鑑賞。
冒頭のモノローグで舞台のダホメ王国がオヨ王国と敵対しているとかがすべて説明されるのがなんとも手っ取り早い。あくまでエンタメ歴史物なのでこの辺はサッと説明して本編にいく流れが分かりやすくて好感を持った。
その後で今作の主役であるダホメ王国の女性部隊であるアゴジェがさらわれた人々を取り戻すアクションシークエンスが入るのだけど、ここはしっかりかっこいいアクションが堪能できて、冒頭から映画に引き込まれる。
部隊の隊長で今作のほぼ主役であるナニスカを演じたヴィオラ・デイヴィスとか、最近の作品だとDCEUでの冷血な長官役のイメージが強くアクションのイメージとか無かったけど、しっかりアクションの見せ場もあってイメージが変わる名演だったと思う。
彼女の目線で物語が進んでいくのだけどよくある英雄伝であるストーリーにしっかり厚みをもたらしているのはやはりヴィオラ・デイヴィスの存在感が大きいと思う。
このダホメ王国のアゴジェという女性部隊は実際に存在していたらしく、最近だとブラックパンサーのドーラミラージュと重なる感じなのだけど、実際そちらのモデルがこのアゴジェらしい。
みんな凄い身体がテカテカで撮影的にも冒頭のアクションシーン等、闇の中火に反射する闘う姿が美しいのだけど、それにもちゃんと意味があったりするのが関心した。
もう一人の主人公の新米兵士ナウィも良い存在感だった。
彼女が最初に本人の許可等なく婚約させられるシーンがあるのだけど、それを聞いた友達が「もしかしたら男前かもね」とか茶化すのだけど、その直後のカットが変わって出てきた婚約者のおじさんの顔とか佇まいが絶妙で笑った。
第一印象で確かにこれは無いな、、、と思える説得力。
その後、手に負えないということで父親がアゴジェに連れて行くのだけど、彼女の物語は軍隊映画の新兵モノとして見ごたえがあった。
最初に自分の力不足を将軍のナニスカにかまされる「縄なんて役に立たない」とか「縄人形の首が落とせない」のシーンとかが後に彼女が戦士として開花する成長の伏線になっていて成長譚として面白かった。
アゴジェとして認められる通過儀礼の競争もSASUKEっぽくて楽しい。
後今後MCUでもラシャーナ・リンチ演じるナウィの姉御的な役割のイゾギも素晴らしい存在感だった。
彼女が男の戦士と根性試しをして競うようなシーンがあるのだけどシンプルだけど彼女の肉体だけじゃなく心の強さを示す良い場面だった。
それ故に彼女が後半に全てに絶望するような場面に心が痛むのだけど、そこから立ち直るのが、それまで妹的な存在だったナウィの言葉なのがグッとくる。
あとダホメ王国の王様をジョン・ボイエガが演じているのだけど吹き替えの声がめちゃくちゃ低くて、これまでのイメージと違ってて面白かった。
本来もうちょっと若い声が合うはずだけど、今回は役に合わせて王様っぽい風格のある声になっていた。
ただ役柄が善人とも悪人とも割り切れないスタンスで威厳があるんだか無いんだか、正直どういう扱いで観れば良いのかよく分からなかった。