「ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ」の感想(ネタバレあり)
前にも増して仲良し
ヴェノムの続編。
前作からより主人公の闇に踏み込んだり、時世の話題をテーマに組み込んだり、重い方向になる続編作品も多い中、あくまで前作の楽しい要素をより増やすという軽くて愉快な続編。
アンディ・サーキスの監督作は初めて観たけど、ヴェノムが身体の中にいる事で精神がおかしくなっているトム・ハーディの一人芝居の雰囲気は俳優としてのアンディ・サーキスのアドバイスがだいぶ影響してそうな気もする。ゴラムとかと通じる感じ。
その辺りで言うと、もう独り言言いながら、周りから変な目で見られるのに完全に慣れてて、エディも全く普通じゃない。
というかこの小さい事を全く気にしない駄目人間具合にヴェノムは逆に惹かれている感じがする。ほっとけないんだろうなぁ。
そういう所がヴェノムは健気で僕は大分肩入れして観てしまった。
途中の喧嘩別れに関してはヴェノムは全然悪くないよ。「俺が頑張ったから仕事もうまくいきだしたんじゃん!」という主張はもっともだし、あんな尽くしてるのに全然褒めて貰えなくて可哀想。というかエディはクソ駄目人間なのに自分は結構ちゃんとしていると思ってる節があるのが痛い。
ただヴェノムはそこが可愛いと思ってるし、観ていてヤキモキする。
途中からなんだか高橋留美子の漫画読んでるみたいになってきた。うる星やつらのあたるとラムちゃんの関係とかに近い。
ラストの敵に勝つロジックが、「アイツらより俺たちの方が強い!何故なら仲良しだから!」だったのは笑った。
エディ&ヴェノム
今回は出だしからイチャイチャしていて前にも増して「何を見せられるてるんだ、、、」という感が強い。
喧嘩別れして仲直りの際に謝らせまくる所とか完全にバカップルで、人間の男女なら見るのも耐えられそうにないけど、アメーバみたいな宇宙人とおっさんだったらこんなに笑えるんだから不思議。
あとここは絶妙な表情で間に入ってるミシェル・ウィリアムズがとても良い。
ヴェノムが身体にいる設定で1人芝居してるトム・ハーディの熱演が今回も凄い。前回のロブスターの水槽に入る所とかもヤバかったけど、今回は中盤の部屋での大喧嘩のテンションが異常で最高。
しかし前作では確かヴェノムが身体に入ると適合しない人が死んでた気がするんだけど今回はそこまで酷い人居なそうなのはどういう事なんだろか?
クレタス&シュリーク&カーネイジ
ヴェノムの血と自分の血が混ざってカーネイジが生まれる理屈はビタイチ納得出来なかったけど、90年代位の良い意味でのいい加減なアメコミ映画テイストであんまり気にならず楽しめた。
恋人と無駄に人を殺しながら逃避行する感じはウディ・ハレルソン的には、まんまナチュラル・ボーン・キラーズだった。
その間にカーネイジが入って三角関係になっていくのだけど、この辺の描き方はもうちょっと上手く出来なかったのかなぁ、、、という印象。
カーネイジのキャラがかなり薄めで仲間割れしだす所とかもなんか急だった気が。
恋人のナオミ・ハリスの謎特殊能力の超音波もそんな活かしきれてない気がするし、もっとラストバトル盛り上がれた気もする。
ただウディ・ハレルソンもナオミ・ハリスも当然ながらめちゃくちゃ名優なので、こんだけ馬鹿っぽい役なのにしっかり人間味も感じれて、何なら2人で幸せになって欲しいとちょっと応援してしまう。
あとこの2人の出会いの経緯を説明するアニメのちょっとダークな感じも好き。人には理解されないけど2人にとってはかけがえのないラブストーリーになっている感じがちょっとティム・バートンっぽい切ない空気感。
ラストはいよいよMCU世界へ飛ばされたのが示唆されたけど、現実世界のソニーとのディズニーとの関係とか考えるとあんまり大したコラボは無さそうな気がするけど、どうなんだろ。
しかしこの流れでファー・フロム・ホームを年内に観たかったなぁ。