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「ヴェノム ザ・ラストダンス」の感想(ネタバレあり)

本来はスパイダーマンのヴィランであるヴェノムを主人公にしたアメコミ映画シリーズ、3作目。
今回で一応完結作っぽいけど、観終わってみると想像以上のアッサリ具合にちょっと困惑している。

上映時間的にはアメコミ映画にしては結構短い作品ではあるけど、映画の語り口的にはめちゃくちゃ早足なシーンと、割と冗長なシーンとが混在していて独特なリズム感だと思う。
前半とにかく話の展開がめちゃくちゃ早くて、映画が始まってバーを乗っ取って酒を作り出したかと思ったら「なんか指名手配されてるし、なんとかする為にニューヨークに行こう」と、今回の目的地を決めるまでのくだりがめちゃくちゃ強引で笑ってしまった。
その割に出発してすぐに可哀想な闘犬をチンピラから解放してあげるという、いるのかいらないのかよく分からないシーンとかも入ってきて(多分いらない)、かなりヘンテコな展開の連続で本当に行き当たりばったりという言葉がピッタリなロードムービーになっていた。

そこにヴェノムを追う組織のエピソードと、ただ宇宙人に会いたいだけの家族のエピソードが、エディ&ヴェノムの旅に絡みながら物語が進んでいく。

このヴェノムを追う組織内のいざこざは、ヒロイン的な研究者の過去エピソードとかが、マジで薄味で全然印象に残らなかったし、MCUでもお馴染みのキウェテル・イジョフォーはいつも通りの神経質そうなキウェテル・イジョフォーという感じ。

宇宙人に会いたい一家もめちゃくちゃ記号的であまりにアッサリし過ぎて驚いたけど、父親を演じたリス・エヴァンスのぶっ飛び演技とかが面白いし、彼を中心になかなかみんなキャラが立っていて嫌いになれなかった。
中盤今回のテーマ曲的なデヴィッド・ボウイの「スペースオデッセイ」をみんなで歌って、ヴェノムが合いの手を入れるシーンは「マジでなんなの?コレ?」なギャグ感がキレッキレでめちゃくちゃ笑ってしまった。
この家族を終盤でシンビオート達が助けるシーンは唐突にヒーロー映画度が増してくるのだけど、個人的には結構好きだった。

ヴェノム&エディ

今作を観た後、改めて一作目を観直してみたけど、シリーズを重ねる毎にエディもヴェノムも2人とも知能指数がどんどん低くなっていて驚いた。
完全に忘れてたけど、一作目ではエディも記者の仕事をしっかりやっていたし、ヴェノムもエディから主導権を奪う為に知性を感じさせる脅しかたをしていたし、それぞれ何かをする為の目的意識をしっかり持って行動していたと思う。
それがお互いに好きになり過ぎて共依存する事でどんどん頭が悪くなってきたバカップルみたいな状態になっている。
途中のラスベガスで浮かれまくるシーンは最初から最後までマジでどうかしていてめちゃくちゃ面白かった。
スロットで一瞬で全財産無くす所から、何故か偶然会ったシリーズお馴染みチェンさんにホテルのスイートルームに招待してもらい、敵に見つかってしまうと分かっていながらチェンさんとダンスしたいが為にヴェノムモードになって踊るくだりは、勢いだけでアホ過ぎて最高。
その後案の定、大ピンチになるのも空いた口が塞がらなかった。

ただ今回はそのまるまるヴェノムに変身すると、敵に見つかり殺されるせいで、いかにもヴェノム的なアクションが少なくなっているのは、正直かなり不満。(そもそも2人が合体した状態の時のみ出る物質がラスボスの牢獄の鍵になるという設定も意味分からなくて、お話的にめちゃくちゃ飲み込み辛い)

ラストの2人の最後の大暴れで一作目の見せ場を彷彿とさせるバイクアクションシーンとかを持ってきて熱いと思う所もあったけど、その他にはあんまり心踊るアクションシーンが無くて最後の作品なのに映画としてはかなり地味。

ただ観終わって考えると、それよりも印象に残るのは2人がイチャイチャ話し合ってずっと夫婦漫才を見せてくる様なシーンの数々で、最後の作品だからこそアクションじゃなくエディ&ヴェノムのバカップル感を見せ場に作っている気もする。

しかしそれならラストの2人の別れが異常にアッサリしていて、あまり感動しないのはどうなのだろうか。
最後1人で歩くエディがこれまでの回想をして最後に「あれが自由の女神だ」と言うシーンとかも、なんだかとってつけた感じで絶妙に感動出来なかった気がする。

演じたトム・ハーディは相変わらず他人から見ると、頭のおかしいおじさんが大きい独り言を言ってる様にしか見えない演技が上手くて観ていて楽しかった。

気になった所

確かシンビオートって一作目でヴィランだったライオネットみたいな凶暴なヤツばかりだから、地球に連れてきてはダメという話だったと思うのだけど、今回大量に登場したシンビオートは無条件でみんなヒーロー的な活躍しているのはかなり強引に設定を補正している感じ。
もうここまで来るとスパイダーマンシリーズとかとの合流も無さそうだし、完全にシンビオート自体をヒーローチーム化方向で話を締めくくりにかかっていた。

最大の敵であるシンビオートハンターも観終わったら一瞬で忘れるデザインでこちらも全く印象に残らない。
不死身で弱点がほぼ無いしシリーズの中でも屈指の強敵であるはずなのに、知性がゼロの生命体なので、とにかくキャラクターとして薄い。

というのも、操っているのが本当の親玉であるヌルという存在なのだけど、コイツが強者感だけ出すだけ出して全く活躍せずに終わるというのが、かなりビックリした。
創造主であるヌルとシンビオートの中でも落ちこぼれだったヴェノムが対決する展開がシリーズの締めとして美しいと思っていたので、全く華のない手下を自己犠牲で倒してシリーズ完結というのは、めちゃくちゃスケールが小さい。

この後もしかしたら続編等を考えているのかも知れないけど、ヴェノムサイドがあまり続編に繋がる様な終わり方をしてないし(最後のゴキブリが何とかするのかもしれないけど・・・)、ただただ消化不良。
あと匂わせるだけ匂わせて結局最後までトム・ホランド版スパイダーマンとの絡み無かったね・・・。

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