「エクソシスト 信じる者」の感想(ネタバレあり)
エクソシストの続編。
最近流行りの2とか3は無しにした一作目の直接的な続編という事らしいけど、観た感じだと普通に2、3の後の話として解釈しても良さそうな続編でちょっと安心した。2も3も割と好きなので。
今作を観る前に「エクソシスト」第一作を鑑賞してから映画館にむかったのだけど、一作目はやはり改めてめちゃくちゃ面白い。
エクソシストのシリーズの続編はその後四作作られているのだけど、4、5作目は前日譚の作品なので、今作の様に1作目の事件の後を描いたのは「エクソシスト2」と「エクソシスト3」になる。
いずれも一作目の事件を起点にして一作目の生き残った人達の誰に焦点を当てているのかというのを見比べるのが面白いポイントだと思う。
というのも、一作目で悪魔祓いをしたメリンもカラスも亡くなっているのでその後の作品はどれもある意味ヒーロー的な主人公不在という状態で作られるので、どうしたってバランスがヘンテコになってしまうのが難しいし、逆に面白い所でもあるのかなという気がする。
ある意味一作目で完結しているので普通に考えれば本来続編を作る様な作品ではないとも言える。
そんな中で猟奇殺人描写がマジで嫌な感じがして最高だし、まさかの一作目のカラス神父の自己犠牲を嘲笑うように悪が蘇る「エクソシスト3」は個人的には大好きで、バランスはヘンテコな気もするけどその容赦の無さになんとも痺れる傑作だと思う。
ラストの悪魔祓いシーンも変則的だけど熱かった。
そんな感じで2は生き残ったリーガン、3はキンダーマン警部という目線で描かれていたのだけど今回はリーガンの母であるクリスが協力者では出てくるけどそこまで関わらず、あくまで新たな主人公の物語をメインで見せようとしていた。
この悲劇的に母を失った父娘のドラマは見応えがあり、結構良かったと思う。
段々と悪魔によって愛する娘が変わっていく恐怖は観ていて気の毒だし、実は彼が娘に隠していた負い目が明らかになりそこを攻めてくる悪魔に、それでも愛情で対抗する様なラストも好き。
その見せ場であるラストの素人が知恵を出し合って教会の牧師の助け無しで悪魔を祓おうと頑張るシーンはあんまり除霊シーンとして観た事がなくて面白かった。
特に最初感じが悪いだけだったお隣のおばさんが自分の犯した罪と向き合う為に命懸けで悪魔祓いを主導していく展開とか、なかなか熱くて思わず応援してしまった。
この辺はこれまでのシリーズにない多様性によって協力し悪魔を打ち倒すという、とても今日的な描かれ方になっていて2020年代のエクソシスト映画という感じで良いと思う。
あとやはりあのメインテーマ曲が流れると無条件に上がる。
今回は本を見つけてクリスへと段々近付いていくのと同時に曲も少しずつあのメインテーマへと変化していく演出とかかなりグッときてしまった。
キャサリンの方が一作目のリーガンによく似ているのがなんとも皮肉で今は所在不明でリーガンと生き別れ状態のクリスの心を悪魔が攻撃してくるシーンは本当鬼畜で痺れる。
ただ不満点は結構あってまず思ったのは、悪魔祓いのシークエンスにクリスが居ない所。
もちろん今回の被害者家族や近親者だけで解決しようとする事に意味があるというのは分かるのだけど、最終決戦で一作目で何も出来なかった彼女が借りを返す様な展開があった方が良かった気がする。成功しても失敗しても良いのでそうしないと彼女の心のけじめがついていない気がしたし、中途半端なバトルによって戦線離脱をして、最後にリーガンが会いに来ても、肝心な時に現場に居なかった訳だしなんかスッキリしない感じ。
あとこの悪魔祓いシーンも何気に主人公である父親があんまり働いてない感じがして観ていて結構感じ悪いなぁとか思ってしまった。ほぼ動いていたのラストのスカーフ持ってくる所だけでは?って気がしてならない。若い牧師に「みんな闘っているぞ」と主人公が嫌み言いに来る所もお前が言う?
そんな牧師が終盤の勇気を振り絞って来たぞー!って展開もあまりに死ぬまでがあっさりし過ぎていて彼の気高さより気の毒さが勝つ印象。
結局また牧師に死人が出たし、今後より教会本部の人たちが「悪魔祓い」に消極的になりそうでメリン神父の様な逸材が生まれていかない環境になっていくんだろうなぁ、、、。
あと今回結局ただ死ぬだけじゃなく魂を地獄に引きずり込まれてしまったキャサリンはかなり気の毒だし、ここの父親のやらかしの部分にあんまりフォローが無いのがちょっと食い足りなさも感じる。
一応今作の後の続編も計画されていて三部作構成らしいので、この辺の食い足りない部分は点は今後に拡がりを見せていくのだとは思う。
特にリーガンが復帰してからの展開は色々と熱い展開に出来そうなのでその辺は楽しみではある。