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「ボーダーランズ」の感想(ネタバレあり)
Amazonプライム・ビデオで鑑賞。
大人気ビデオゲーム「ボーダーランズ」の映画版で、大好きなイーライ・ロス監督の最新作。
「ボーダーランズ」自体はPS4版で少し遊んだ事があったけど、対戦型のシューティングアクションという印象しか残っておらず、世界観や物語等全然分かっていなかったのだなぁと、今回映画版を観て改めて思ったりした。
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全体的に映画作品としては、スペースオペラとしてのフレッシュさとかは無いしめちゃくちゃ傑作と言う感じでもないけど、キャストのコミカルなやりとりや、決め画もしっかりあるガンアクションシーンも良いし、物語もちゃんと意外な展開も用意されていたし、結構エンターテイメント映画として堅実に面白い作りで、最後までしっかり楽しんで観る事が出来た。
改めてゴア描写とかホラー的なシーンが無くても、しっかり作品に出来るイーライ・ロスの職人的な手腕が光っていたと思う。
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イーライ・ロス監督作でケイト・ブランシェットとジャック・ブラックがチームで子供を助ける映画だと「ルイスと不思議の時計」を思い出す。
それまでホラー映画監督としての印象が強かったイーライ・ロスが「ルイスと不思議の時計」は一番万人向けで子供でも観れるポップな作品だったと思うけど、今回の「ボーダーランズ」ともそういう意味では通じる気もする。
世界観的には冒頭の宇宙船でのローランドによるティナの奪還作戦のシーンとかはめちゃくちゃスター・ウォーズ的だし、メインの舞台にある星「パンドラ」の雰囲気は色味とかもそうだし主人公達が載っているのが普通に自動車なのでめちゃくちゃ「マッドマックス」っぽいカーアクションが満載だし、その他星に住む住人やクリーチャーやキャラクターの雰囲気は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」の影響も強そうだし、とにかく色んな映画の良いとこ取りという気はするのだけど、それらを物語へと自然に溶け込ませる手腕が上手いので個人的には観てて結構楽しかった。
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キャスト的にはやはり主演のケイト・ブランシェットはやはり圧倒的に華があったと思う。長い手足を駆使してのガンアクションシーンも見栄えが良かった。
ラストの無敵状態とかは、ザ・ケイト・ブランシェットらしい魔女的な圧倒的強キャラ感満載で、敵をバッタバッタと倒していく感じが気持ち良かった。
自分の運命に重ねる様に不憫なティナに向ける目線とかは、演技の重みをしっかり感じさせるし、ティナとのやりとりは結構グッとくるシーンも多かったと思う。
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ローランド役のケビン・ハートもいつもと違う雰囲気だったけど良かった。
今作と同じくAmazonプライムビデオ配信限定作品「ダイ・ハート」「ダイ・ハート2 ダイ・ハーター」で、アクション俳優に転身したい自分をパロディ的に撮っていたけど、今回それが身を結んだのか(?)めちゃくちゃアクション俳優的なポジションで頑張っていたと思う。
しかし吹き替えがオーランド・ブルームやトム・ヒドルストンでお馴染みの平川大輔がやっているのが、無駄にイケメン感を増していて笑ってしまった。
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あと何と言っても、ジャック・ブラックが声優をしている小汚いR2-D2的なロボ「クラック・トラップ」が常に空気を読まず喋り続けていて楽しい。
銃弾が脱糞されるシーンはとても下品で好きだったを
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とはいえ、興業的には世界的にかなり失敗した作品だったというのも納得で、SFとしての目新しさは無いし、原作のゲームが好きな人が好きになってくれるのかは微妙な気がするし、イーライ・ロスの持ち味のゴア描写も無いので映画ファン的にもあまり受けが悪そう。
僕自身配信だから楽しく鑑賞したけど、映画館でやってたら観に行ったかと言われると微妙だし、日本では配信限定位で確かにちょうど良いかもしれないと思ってしまった。