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「フリー・ガイ」の感想(ネタバレあり)


正直なめていた。
レゴムービーの二番煎じっぽい予告の雰囲気で、そこまで期待していなかったのだけど、観てみたらコメディ映画としても終始笑えるし、世の中に無駄な役割の人なんて居ない!という前向きなメッセージに胸が打たれたし、切実な思いを乗せてクリエイトしたものが世の中を変えていく希望、それを搾取する人間への痛烈な批判、等々とても色んな要素があるのにそれをとても軽やかに一本のエンターテイメント映画としてまとめ上げる手腕が凄まじい。
笑いながらもポロポロ泣いてしまった。

世界観

こういうゲームのキャラが勝手に賢くなっているという設定、シュガーラッシュとかでも感じたけど、ゲームの作り手がそんな設定にしてないのになんで勝手に感情とか知能がついて暴れているのか理由がないので、結局映画を作ってる人間のさじ加減で世界観とかどうにでもなるじゃん、と若干引っかかって見ていたのだけど今回はゲーム内のキャラクターが学び成長していく人工知能によって生まれたキャラクターというのが結構効いているし、その自我に目覚めるきっかけが創造主であるクリエイターの個人的で切実な想いによるという理由づけがしっかりしてるので、ラストは普通に感動してしまった。

シュガーラッシュと同じ様にディズニー傘下になったから出来るサービスがあったけど、こちらはアイテムとして使われるのでゲーム世界として普通に説得力があって自然。それに合わせた音楽使いとかも笑いつつしっかり燃える感じでシーンとしても良い。
後、これからデッドプールで好き勝手やるからな!というライアン・レイノルズの宣言にも見える。

ライアン・レイノルズ

主演のライアン・レイノルズ。
今回はゲームキャラなのでいつもに増してわざとらしい笑顔、口角の上げ方が胡散臭くて登場から面白い。

デッドプールと同じく、とにかくよく喋るのだけど、全ての感情を表面に出してしまう感じがゲームのキャラという事でシックリきた。
何故彼だけが自我に目覚めたのか?という謎がゲームを作ったキーズの片想いを具現化したAIキャラだから、という理由付けが上手い。そして彼女に対し純粋に恋心を募らせていくシーンはコミカルさと「でも決して実らないんだよな、、、」という切なさもある。
そんなキースの恋心を乗せた分身でありながら、心の成長を重ねた彼がそういう「設定」を越えて自分の人生を踏み出して親友と歩いていくラストは全然湿っぽくないのにとてつもなく感動的だった。

デュードという自分そっくりなキャラクターと闘う所も、暴力じゃなく狭い世界から解放させてあげる様な決着でどこまでも優しい。ヒュー・ジャックマン声で出てたし「ローガン」のラストみたいな展開になるのかと思ったらこういう外し方が巧みだし、ギャグシーンのつるべ打ちに笑いながらも、しっかりした倫理観の映画だと思う。

コメディシーン


ゲームの中の住人とゲームの外からコミュニケーションを取ろうとする時のチグハグな温度差がいちいち面白い。キスして良い?の所の、彼からしたら本来ずっと片想いして永遠に彷徨う様なキャラなのでとても切実な良いシーンなのに、ゲーム映像として観た時の「何これ?」と思わず吹き出す落差の出し方が本当上手い。

脇のキャストに関しても最高で、前知識なかったので冒頭でいきなりチャニング・テイタム出てきてめちゃくちゃテンション上がった。クネクネした動きするだけで面白いのずるいし、中身のマティ・カーダロプルとの組み合わせもずっと笑える。

悪役のタイカ・ワイティティも最高。「ジョジョラビット」でもそうだったけど、よく考えたら結構な悪役なのに本当チャーミング。こちらでもヒトラー的にしゃべる時の熱で人を巻き込んでいくのが笑いつつ説得力あった。
今の世の中にある儲け主義みたいなものを軽やかに馬鹿にしながら体現している感じが流石。

あとライアン・レイノルズの繋がりと思われる、ヒュー・ジャックマンとロック様が本当どうでも良い役で出てくれるのとかライアン・レイノルズの人柄なのかなぁ。

そんな笑える映画としても素晴らしいけど、世界が残酷だったり搾取される事に生き方に嫌気がさしても、「目の前に困っている友達がいたら助けるだろ?」というセリフにもある通り、それでも「良い人」であり続ける事で世界は良くなっていくんじゃないか?というフィクションだから出来る希望も語っていて、とっても暖かい気持ちになる傑作だと思う。
本当見逃さなくて良かった。



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