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「俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー」の感想(ネタバレあり)

Amazonプライム・ビデオオリジナルの配信限定で、ジョン・シナとザック・エフロンがW主演のコメディ映画。

ジョン・シナはDC映画でのピースメイカー役で大好きになったし、ザック・エフロンは先日観たばかりの「アイアンクロー」でめちゃくちゃシリアスな名演とストイックな肉体改造でイメージを一変させられてこちらも素晴らしかった。
その2人が主演という事で観る前から結構楽しみにしていた。

冒頭でのクソガキ3人による結構大規模な事故からの、リッキー・スタニッキーが誕生していくエピソードがなかなか不謹慎で笑うし、それ以降も何か不都合な事があるたびに存在しないリッキー・スタニッキーのせいにしてガキのまま大人になってしまった3バカの悪行をポップなアニメで見せてくるのが、「それで済まないだろ」という感じも含めて呆れ笑い。
またその嘘がまかり通るんかい、というのが冒頭からなので映画内のリアリティがここでもう分かるし、ライトに楽しむコメディ的な世界観を示している。
妊娠中の奥さんを遊びに出るアホのくだりは結婚したばかりの身としては、より切実に「何やってんの、、、」という気持ちになって震えた。

嘘に嘘を重ねた結果、引くに引けなくなり、実際のリッキー・スタニッキーを用意しないといけなくなるのだけど、俳優をしているというアル中のジョン・シナに白羽の矢が立ち、出たとこ勝負のお披露目展開が笑った。
ここのコメディシーンで面白かったのは教会で赤ん坊の割礼シーン。(割礼の為にあれだけみんな集まってくるイベント化している文化が実際あるのかギャグなのかよく分からなかった)
地元の有名俳優を追い出さないといけなくなるのだけど、そのためにやる作戦も酷いし、その顛末の末に神父がよく分からない薬を飲まされた状態で割礼しようとして失敗し、リッキーがやらないといけなくなるくだりとか、何のための何だったのかと振り返るとおバカ過ぎるし、1から10まで酷くて笑ってしまう。

そこで予想以上に上手い立ち回りを見せたせいで、主人公達の会社に入社する事になったり、彼のドキュメンタリー番組を主人公の妻が作ろうとしたり、どんどん嘘に嘘が重なって取り返しがつかなくなり、遂に主人公が嘘のツケを払う展開になっていくのだけど、最終的に着地の仕方がいい話方向なのは結構サプライズだった。

ジョン・シナはピースメイカーの役柄と繋がる雰囲気のキャラクターで、本人的には真面目だけど側から見るとどう考えても狂っている人を演じさせたら絶品だなぁと思う。
登場シーンでのモノマネショーから子供時代の思い出を話す所があまりに下品で引きつつ、彼の哀しい子供時代が垣間見える感じでなかなか切なさもある。
実生活ではアルコール依存症で廃人みたいな人なのだけど、役者スイッチが入るとどこまでもストイックに役と向き合ってその人間になりきっていくという才能が異常過ぎて笑った。
スタニッキーになりきる為なら、アルコール依存症も乗り越えられるし、異常な量の知識を詰め込む勉強も出来るという役者としての覚悟が凄すぎる。
個人的には彼のハッピーエンドは俳優として再起していく方向だと思うのだけど、スタニッキーになり切って生きていく道を選ぶのは結構驚いた。
誰かを演じる事に喜びを見出す事に希望を見出すのかと思いきや、役と一体化していくことでハッピーエンドというのは、俳優としてかなり病んだ終わり方な気もする。

ザック・エフロンはこの馬鹿3人の中では比較的優しいしマトモな方なのだけど、小狡さも兼ね備えている為、クズ具合も際立つ印象。
軽薄さと優しさを兼ね備えたイケメンコメディ俳優みたいのが、「アイアンクロー」を観るまでの僕のザック・エフロンへのイメージだったのだけど今作はそのど真ん中という感じがする。

しかし当初リッキーは罪を被っていた訳だから、悪人になるはずだと思うのだけど、いつのまにか善人設定に変わっていったのが、大人になるにつれ「やらかし」を押し付けるのではなく、何かから逃げる為の口実に変更しているのとかは、彼らの欲望の変化がリアルに反映されている感じがしてマジで酷いなぁと改めて思う。

あんまりツッコむのも野暮だとは思うけど、ラストは良い話風に終わっていくし、個人的には主人公達がやらかした事に対しての罰として弱過ぎる気がした。
冒頭の放火を始め、もっと悪い事もしているはずで、それに対してはスルーしているのは真摯じゃない気がするけど、そういう倫理観の映画じゃないし、言ってもしょうがない気もする。
という感じで全体的には何も考えず笑ってライトに楽しむのがオススメな作品だと思う。

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