「孤狼の血LEVEL2」の感想（ネタバレあり）

狐狼の血の続編。
前作は面構えが良い悪人ばかり集まるヤクザ映画的な魅力も良かったけど、観る前に予想してなかった松坂桃李演じる日岡の潜入捜査映画的な要素が面白くて、最終的に存在感抜群の役所広司演じる大上の抗えない位の人間的な魅力に引っ張られ修羅の道を歩くラストがめちゃくちゃ燃える凄く好きな映画。
ヤクザ映画というよりはヤクザの世界にどっぷり浸かった警察の目線の映画だし、刑事モノという方が正しい気がする。

日岡と上林

何と言っても今回のMVPは悪魔上林を演じた鈴木亮平。
目力強いし、薄ら笑いが怖いし、残酷過ぎる暴力性が恐ろしい。
特に誰彼問わず目玉をえぐり出すバイオレンスシーンが際立っていた。
両親との恵まれない関係性によって、他人が自分を見る目に執拗な強迫観念を抱いている故の最悪な暴力描写。

そして彼を止めるべく闘う松坂桃李演じる日岡。
前作の役所広司が演じた大上の役割を継承してはいるのだけど、本来パディントンの日本語吹き替えをする様な優男なので、常に無理をしている感じ。
前作もそうなのだけど、無茶をしている様で1人で危ない橋を渡りながら街の平和を守って、ある意味でバットマン的な存在だと思う。

それに対して何も恐れず後先考えない暴力性で上林が追い詰めてくる感じや、ジョーカー程の深みはないにしてもお互いがお互いを執着していく構図は、ダークナイトを連想した。

だから心も身体も無理を重ねた日岡がラストに田舎の駐在所でのんびり暮らしているのは本来の性分と合っている感じがして安心して観ていたんだけど、本物の狼が彼を誘う様なラストはとても不穏な終わり方な気がした。
再び修羅の世界へ戻ってしまう次作があるんじゃないかという予感も漂う終わり方。

脇を固める役者陣

中村梅雀の相棒役も良かった。

中村梅雀と宮崎美子の夫妻という良い人アピールに、疑うより「この人達に危険が及びません様に、、、」と願う気持ちが強くなってしまい、僕は完全に騙された。
とはいえ日岡が簡単に心を許してしまう感じは大上に比べて良い人である彼の性分を表している。

村上虹郎も今犬の様に尻尾を振って酷い目に遭う若者役やらしたらトップクラスな俳優さんなのでそりゃ予想通り良い。

他、個人的には鈴木亮平にドン引きせず、文句も言わず、ひたすらくっついて悪さをする毎熊さんが愛らしかったので鈴木亮平との絆の深さを示す描写があっても良かったと思う。その割に何故か犬ちゃんを可愛がる描写とか入れてバランス悪くて笑った。

ただトータル的には前作に比べ、他の登場人物は存在感薄めな気もした。大物ヤクザメンバーも今回は映画的というよりかなりテレビドラマっぽい感じだし。
それと主要女性キャストに魅力的な人が居なかったのは残念。前作の真木よう子や阿部純子に対して西野七瀬だと正直かなり軽い印象。
どうしてもヤクザ相手に商売しているスナックのママの貫禄は感じなかった。本人のせいというよりはキャスティングが悪い気が。大人の事情かなぁ、、、。

暴力描写

素手による目玉くり抜き描写は、前作のち○○んから真珠くり抜くところ位ヒーッってなってフレッシュ暴力描写。
しかも何の罪もないピアノの先生の筧美和子が最初の犠牲者で直接描写で結構見せてくる感じはドン引く。こんな一般客向け映画でここまでやるのはかなり攻めている。

あと大御所俳優があっけなく次々と殺されていく感じは、はっきり悪趣味コメディ的で結構笑った。演じてる人達も最近こういう仕事がないせいか、執拗にデカい声出したりして、めっちゃノリノリでやっている感じが微笑ましい。

そんな感じでこんな大規模公開でここまでの暴力映画も多分なかなか出来ないとは思うので、もう何作か続けて欲しいなぁと思う。