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2/12 『深層心理への道』河合隼雄

おはようございます。
昨夜は華流『鳳凰の飛翔』をチラ見しながら、訳ありりんごの加工作業をしました。冷蔵庫にこうした甘味があると、こころ豊かに過ごせます。

さて、今回の河合隼雄は『深層心理への道』岩波書店です。
河合先生の幼少期からの読書を振り返りながら、臨床心理学の道を切り開いていった経過をたどる本書。先生の思考形成に大きな意味を持った200冊近い本を具体的に取り上げているのでブックガイドにもなっている。
ドイツ語や英語の本には挑戦しようとすら思わないが、先生は読んだだけでなく、疑問を著者に手紙を書いて問い、それがきっかけとなって道ができていく。受け身の読書ではないということだ。

いくつか印象的な部分を引用しておく。本書は話し言葉で書かれているので非常に読みやすい。

【意識と無意識】
自我を確立するのに母なるものを殺してしまって自立をするが 、そのままだと関係が切れて孤立に陥りますから 、その自我がもう一度女性的なものと関係を結び直すという意味で 、ここで 新たな女性との結婚ということが出てきます。

西洋の昔話で、旅に出た若者が様々な冒険苦難を経て、お姫様と結婚するパターンについて、ですね。なぜ欧米は「自我」が確立しているのか。なぜ日本人は自我が弱いのか。
昔の日本人は自我の必要性がなかったのでは?と考えました。
ですから日本の昔話の場合、結婚で終わるものが極めて少ないですもんね。

【箱庭と昔話】
夢というのは 「イメ」の転訛で、「イ」というのは眠り入るの 「眠る」の方で、「メ」は見るものだから、寝ている間に見られるものが夢、 つまり イメージです。

おおー、夢はイメだったのですね。「夢は自我と自己をつなぐもの」とワタシは考えています。日常生活の意識の「自我」に、非日常または無意識領域あるいはもっと奥にある「自己」からのメッセージを伝えるのが夢ではないか。よく夢の内容を反芻するのはそのせいです。
夢を覚えているようにするには、寝る前に「夢を覚えておく」と強く念じる。起きた瞬間、夢の断片でもいいので覚えていることをメモする。最初は夢の解釈をしない。
夢を記憶するようになって20年くらい、だんだんオノレの夢傾向が分かってきて、嫌な夢を見ないようにするには、楽しい夢を見るには、なんてこともある程度できる(ような氣がしているだけかも)。

【臨床の知】
「あ、 分かった 。これで行こう」と思って喜んでいるのは2日くらいで、あとは…。そういうことの繰り返しです。それを繰り返して繰り返して、何度も何度もやっているうちに、しかし少しずつ、 人間って変わるのではないでしょうか。 右から左にちょっと変わるということは、まあないです。 

どうやらニンゲン、180度変わるのはできないらしい。
「すこーしずつ、緩やかな変化でいい」とショローはそう思います。
今、十数年前のblog抜粋作業をやっていますが、「あぁ、昔からたいして変わってないなぁ」とも思い、「あ、この辺は少し丸くなってるかも」とも思うのです。内面的にものすごく変わったというのはない。
そうやって一生を終えていくんだろうな。
若いころはさておき、もう確固たる信念なんてものは逆に持たないほうがいいように思います。そのときそのとき、場面場面で「テキトー」「ほどほど」をこころがける。「人生なりゆき」これで大丈夫でございます。


【東洋の知、西洋の知】
ところが キリスト教徒にとってはものすごく大事なことで 、これが「 原罪」ということです 。「原罪」ということを根本に、いろいろな彼らの強い自我が生まれてくるわけですが、 日本では原罪をなくしてしまうのです 。

遠藤周作『沈黙』を思い出しました。
あと、日本に入ったキリスト教が日本風にアレンジされていったこと。日本のグレートマザーの力、すごいです。なんでも呑み込んでしまう。そしていつのまにか日本風に変えてしまう。メリットデメリット両方ですよね。原罪意識のないまま、自我だけを主張すると「利己主義」になってしまう。うむむ、コレが現代日本のいいとこどりのデメリットじゃないかしらん。

【エノラス会議】
例えば夢の中で、自分が悪者に襲われたりします 。何とか 逃げて「あー 助かった」と思って目が覚めて、「 助かって良かった。あの時 うっかりしていたら相手に殺されたかもしれない」と思うけれども 、それは起きている時の 日常の考え方です。 日常の考え方で言うと 殺されたら困ります。 しかし、 魂の考え方で見たら、「 ひょっとしたら捕まっていた方が良かったのではないか 」、「せっかく 捕まえに来て 、せっかく 殺しに来ているのだから私は殺された方が 、魂としては良かったのではないか」という風に、 とことん考えていくわけです

また夢の話ですが、コレ、面白くないですか。
悪い夢に思える内容、実はそう思う判断が日常意識から出ているわけですね。でも夢を「自我を補償すべく出動してくる助っ人隊」と考えたら、殺されそうになるなら、いっそのこと殺されてしまう。殺されるのは生まれ変わる必要性のサイン。夢なら死んでもヘッチャラですから。こういう視点を持つと、夢が変わって来る。夢からのメッセージを活用できるようになる。
なので、ワタシは毎日10時間くらい寝ます。まぁ、夜中に読書もしますけど。夢を見ない手はない。

副題は「グーテンベルクの森」

グーテンベルクとは、活版印刷技術のことですね。
私たちはこのおかげで、本を読めるのです。

この中でワタシが読んだ本は『ゲド戦記』や宮沢賢治、佐野洋子くらい……。あんまり難しそうでない本から図書館で借りて読んでみようかな、と思います。

ではでは、今日もご機嫌元氣な1日にいたしましょう。
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
今週もしなやかに、ゆっくり深い呼吸をしていきましょう。


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