フォルケホイスコーレとは〜デンマーク留学の手引き
2019年7月から北欧・デンマークのフォルケホイスコーレに留学します。日本でも知っている人は知っている、フォルケホイスコーレって一体なに?初めての人でも分かりやすいよう、解説していきたいと思います。
フォルケホイスコーレとは
フォルケホイスコーレ(Folk high school / Folkehøjskole)とは、デンマークうまれの全寮制成人教育機関のことを指します。特に3つの点でユニークな学校です。
- 入学資格は18歳以上であること(年齢上限なし)
- 入学試験、成績表なし
- 生徒、先生が同じ宿舎で共同生活を送る
学校ごとに学べる教科はさまざまですが、すべてのフォルケホイスコーレにおいて対話を通して民主主義を学ぶこと、自分の情熱を知ることが重要視されています。
フォルケホイスコーレの成り立ち
フォルケホイスコーレは今から約180年前、1840年代に生まれました。最初はデンマーク人の哲学者・教育者であるN.F.S.グルントヴィが「すべての人に教育を」をコンセプトに、学校に通えない貧困層農家の人々に教育の機会を提供するためフォルケホイスコーレという学校の概念を提唱します。
その後同じくデンマーク人のクリステン・コルが、フォルケホイスコーレを創設しました。フォルケホイスコーレの民主主義的色合いを強めたのは彼だと言われています。
フォルケホイスコーレにくる人
フォルケホイスコーレに通う人の中で、もっとも多い年齢は18〜24歳。デンマーク人は高校と大学の間のギャップイヤー、もしくは大学在学中の休学期間に利用するケースが多いようです。
フォルケホイスコーレは任意で通う教育機関で、デンマーク人の約10%がフォルケホイスコーレに通っていると言われています。デンマーク人全員が通うわけではありません。
ちなみに、フォルケホイスコーレ在学生の国籍トップはデンマーク人、次いで日本人が多いそう! 私の知り合いから話を聞く限り、フォルケホイスコーレに留学する日本人のなかでは社会人経験を経た25〜30歳前後の女性、大学生が多いように思います。人生の休息期間ないし見直し期間としてフォルケホイスコーレで学び直しを試みるケースが多いようです。
フォルケホイスコーレで学べること
2019年現在、デンマークには約70校のフォルケホイスコーレが存在します。各フォルケホイスコーレごとで教える分野に特色があり、自分の興味関心にあった学校を選びます。たとえば手芸やアート、社会福祉、観光、サステナビリティなどがあります。
各フォルケホイスコーレで何が学べるのか、自分の興味分野を学べる学校について詳細を知りたい方は、下記の情報を参照してみるといいでしょう。
・北欧留学情報センター
デンマークのフォルケホイスコーレや大学院、ワーキングホリデーを含めた北欧留学の相談ができる。デンマークとの繋がりが深い方が丁寧に説明してくれるので、おすすめ。最寄りは東京・神楽坂。
・フォルケホイスコーレコミュニティ
フォルケホイスコーレの日本人卒業生が集まるfacebookグループ。気軽に質問を投稿できる。希望の学校に卒業生がいればリアルタイムの情報が手に入る。
・IFAS
各フォルケホイスコーレのカリキュラムが掲載されたプラットフォーム。自分の興味から検索をかけられるので、候補を絞り込むのにおすすめ。学校から許可をもらった情報を掲載しているため正確ではあるが、たまに情報に時差あり。
今一度抑えておいたほうがいいのは、フォルケホイスコーレは学位取得ができる教育機関ではないということです。社会人留学で箔をつける、就職に有利になることはほぼないと考えたほうがいいでしょう。私がフォルケホイスコーレ留学について相談させてもらった北欧留学情報センターの担当の方からも、「そういった目的の方にはおすすめできません」と何度か念を押されました(笑)
フォルケホイスコーレは「生涯学習の場」と言えるかもしれません。
実利主義から抜け出して、自分が夢中になることを見つけたい、固まった思考回路を解きほぐしたいと考えている人にはおすすめできます。
フォルケホイスコーレの滞在期間
フォルケホイスコーレへの入学時期は、基本的に1月はじまりの春タームと8月はじまりの秋タームの2つがあります。
滞在期間は1ターム4〜6ヶ月。まずはお試しで1ヶ月くらいで行けたらいいなーと思う方も多いと思うのですが、基本的に1ヶ月以下の短いコースはあまりないそう。学校に交渉して短くできたとしても、国の規定で滞在費用が値上がりしてしまうらしいです。
※ 学校によって差はあるので、詳細は学校の公式HPで確認しましょう。
フォルケホイスコーレの滞在費用
フォルケホイスコーレの公式サイトには1週間ごとの滞在費用が記載されていますが、基本的には1ターム(4〜6ヶ月)分を一括して払います。1週間2〜2.5万円、1ターム換算だと50〜60万円が相場のようです。
フォルケホイスコーレは全寮制のため、上記の費用には入学金・施設費・宿泊費・食費すべて込みです。食事は週末の土日分も含まれます。北欧は消費税が50%ととにかく物価が高いので、北欧でこの価格は本当にありがたいですね。
フォルケホイスコーレの入学フロー
前述の通り、入学試験はありませんが志望理由やパーソナリティに関するエッセイの提出が求められます。それぞれの学校で1タームあたりの定員が設けられているため、学校によってはエッセイ内容を審査し人数調整をおこなう場合もあります。
入学までの基本手順は下記の通りです。
- 志望の学校の公式ホームページからアプライ
- 個人情報やエッセイの提出
- 学校から入学可否の返信
- 入学費用振込
- ビザ申請
- 渡航
フォルケホイスコーレの価値
私個人の意見ですが、フォルケホイスコーレの価値は「対話を通して自分を知る」ことにあるのではないかと考えています。
先生や生徒と過ごす時間が長いからこそ、対話がうまれ「自分はどう生きたいのか」を考えられる。忙しい毎日を生きる中では一見無駄に思えることに集中する。でもそこに、人間らしさや生きがいを見つけることができるのではないかと考えています。
フォルケホイスコーレのような既存の教育機関から抜け出したオルタナティブ教育は、日本はじめ先進国に求められているのではないかと考えているので、わたしはこの辺りをきちんと言語化できるようにしていきたいです。
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ちなみに、わたしが訪れるフォルケホイスコーレはInternational people's college(IPC)です。ここはデンマークで唯一公用語が英語の国際派フォルケホイスコーレで、日本人の方にも一番馴染みのある学校かもしれません。
IPCに関しては、また別の記事でアプライ理由や入学フローをご紹介していきたいと思います。