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【詩】音の雨粒


夕方の雨
ミッキーの傘と
繋いだ小さな手
歌いながら歩く帰り道

君が歌う
「あめあめふれふれ母さんが」
私が歌う
「ちょうちょのお家は、草の影♪」

道行く人に手を降って
渡る時は指差し確認  
いつものお家が近づくと
窓辺の「わんわん」に挨拶

小さくて愛おしいから
憎しみも悲しみも
喪失感も癒されて
ただ一緒に笑うよ

沢山の痛みをお裾分けして
お別れした
あの人にそっくりな君の眼鏡

はっきりした歌詞に
ならない歌声は
雨粒に乗って
カラスとコウモリも
耳を澄ませる

君の歌声は
天才と称えられずとも
唯一無二の光

※発語障がいのある子どもと歌をテーマに書きました。彼らは言葉が不自由ですが、それでも健常者の大人以上に音楽を楽しむ力を持っています。




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