【詩】30分
30分開かない踏切
身を乗り出した先に
うっすらと見える燈火
今日こんなふうに
急な終わりが来るかもしれないなら
2度と疑ったりしないのに
2度と喧嘩したりしないのにな
明日もこんなふうに
誰かが絶望で身を投げるのを
横目で流しては
YouTuberがささやく
耳障りのいい言葉で
痛みをごまかす
今日も世間体ばかり考えて
他人の生命を軽く扱ったことは忘れ
自分が軽く扱われたと嘆く愚か
エゴや執着、過剰な期待すら吹き飛ばせないのに
線路に消えた生命に泣く人を思い
「君の体調が良くなりますように」と
祈りながら、トンネルを抜ける
踏切を迂回して
アパートの部屋の灯りを点すと
遅れていた電車の走り出す音が聞こえた