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世界がティム・バートン色に変わる 映画『ビートルジュース ビートルジュース』
ティム・バートンが大暴れ
一昨日、現在公開中の映画『ビートルジュース ビートルジュース』を鑑賞した。
まず、私は普段このような類の映画はあまり観ない。
意識的に避けることはしないが、映画に限らずドラマや小説なども、サスペンスやミステリーばかりに興味を持ってしまうからである。すると、自然とコメディー(ホラー?)作品からは遠ざかっていく。
ところが、あれは劇場で映画『あの人が消えた』を観た日だろうか。
本編前の映像で、本作の予告動画がスクリーンに映し出された。
その色彩、音楽に強く惹かれ、その時点で今回の鑑賞を決意した。
振り返ってみれば、ティム・バートン監督作品を劇場で観るのは、2010年公開の映画『アリス・イン・ワンダーランド』以来かもしれない。今作は、そのティム・バートンがビートルジュースにのり移って、暴れまくっているかのような作品であった。
彼のファンであれば、あの世界観に「これこれ!」となるのだろうが、
あまり見慣れない私は、なかなか驚いた。
生の世界と死の世界が今作の舞台だが、死の世界の"死に姿たち"がかなりリアルでヒヤッとした。無論、本物を見たことはないが、多分、リアルだったという感想は間違いではないと思う。
昼や夜のご飯どきに、ポップコーンやチュリトスを買って観に行くのはあまりオススメできない。当然、朝もだ。
この映画にメッセージはない。だがそれでいい
さて、映画の中身について話したい。今作は、死後の世界にいるビートルジュース(の面を被ったティム・バートン)が好き勝手をし、ある親子が巻き込まれていくストーリーとなっているが、正直明確なテーマはない。
強いて言えば家族愛とか、親子の絆とかだろうが、別段それを伝えよう!とする意気込みも感じられなかった。
さぁ、ティム・バートンのファンたちよ!この世界観を存分に楽しんで!
作中から得られたメッセージはこれだ。
故に、彼の作る世界観に魅了されるつもりの人以外は、
テーマ性がないなとか、何が言いたかったんだろうかとか、そんな感想を持ってしまうかもしれない。
しかし、世界観を楽しんでもらう映画であるならば、恐らくそれで正解なのだろう。私も、はて?とは思ったが、映画自体は楽しめた。
鑑賞のきっかけとなった、音楽や色彩は大変よく、作られた空想の世界と、前述したリアルさの融合が目に楽しかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1727794596-J5gE8CLkxqSXbc2Y7GtlD3hV.jpg?width=1200)
劇中曲について
美術の凝り方も凄まじかったが、私は鑑賞中、なんと言っても音楽に夢中になった。
今作は、今我々が生きている世界と、死後の世界が両方存在する世界線だ。
序盤は人間界と霊界それぞれのシーンが交互に出てくる構成となっているが、世界線が違うと、曲調がまるっきり違う。後半は、人間界が霊界に侵食されるので、その境目がなくなっているのだが、最初の方は棲み分けの役割を、音楽が大きく担っていた。
さらに、暴れまくるビートルジュースと、彼をとっ捕まえようとするふざけた刑事がいるのだが、彼らのシーンの切り替わりの時の音楽の自然な移り変わりが最高だった。
ハロウィンっぽい、不気味な曲が流れているかと思いきや、シーンの切り替わりと同時にトレンディドラマの見せ場で流れるような音楽になる。はたまたビートルジュースが画面に映ると、また不気味な曲に、自然な流れでもって戻っていく。
この音楽の自然さや耳心地の良さが、現実ではあり得ない世界を舞台にしながら、観客にチープさを全く感じさせない要因の1つになっていると言える。
ビートルジュースが劇中で歌う歌も、非常に良かった。
なんというか、ずっと聴いていたかったし、Apple Musicのプレイリストに入れておきたいとも思う、そんな曲だった。メロディが好みだった。
いつの間にかティム・バートンの世界に取り込まれている
明らかな作り物とはいえ、リアルな描写があって驚いたとか、本作には特段テーマ性がないとかぶつぶつと言ったが、観終える頃には、私もティム・バートン監督の独特すぎる世界観に、すっかり取り込まれていた。
見える世界が、ティム・バートンが作ったそれになっているのだ。
劇場を出ると、20代前半と思しき男の子たちの集団が前を歩いていた。いつもなら目に留めることもないが、今日に限っては、ビートルジュースの手下たちに見え、思わず顔を確認したくなった。それ以外にも、道ゆく人々が、劇中に出てきた様々な形をした死後の人たちに見えた。
一人、家に戻ると静かな空間がある。ふと、彼の名前を3回呼んでみようかと思った。2回呼んで、ちょっと怖いから止めた。
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