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迫力満点時代劇! 映画『室町無頼』

時代劇ブームに勢いをつける本作の注目ポイント

昨年エミー賞にて史上最多の18部門受賞、そしてつい先日ゴールデングローブ賞で作品賞を含む4部門受賞を果たしたディズニープラスで配信中の時代劇ドラマ「SHOGUN 将軍」。
本作を皮切りに、現在日本の時代劇の面白さが再認識され始めている。
映画『侍タイムスリッパー』は、時代劇に馴染みのない若年層を含めた幅広い世代にヒットした。
その『侍タイムスリッパー』とは全く別の角度で、このブームに勢いをつける時代劇が誕生した。
それが、1/17(金)全国公開の映画『室町無頼』である。
本作のIMAX先行上映を鑑賞した。

昨年公開の映画『あんのこと』の入江悠監督作品として早くも話題だが、私は元々彼の作品のファンだ。
きっかけは、映画『日々ロック』。あのハチャメチャ感が、堪らなく好きだ。
登場人物たちも、設定も、展開も無茶苦茶なのに、なぜか纏まっている不思議な面白さと飛び抜けたくだらなさがある作品だ。
日々ロックの魅力について触れるのは本記事ではこれくらいにしよう。
このままでは5,000字は書けてしまうので。
とにかく、入江監督作品であること、そして東映初のIMAX作品でということで、期待を胸に先行上映へ。

概要

概要は以下。

時は室町、“応仁の乱”前夜の京――。 大飢饉と疫病の連鎖、路上に重なる無数の死骸。そんな混沌の世に風の如く現れ、巨大な権力に戦いを挑んだ者たちがいた・・・。

蓮田兵衛――日本史上、初めて武士階級として一揆を起こし、歴史書に唯ただ一度だけその名を留める男。
本作は彼の元に集結した「アウトロー=無頼」たちの知られざる戦いをドラマチックに描く。
空前の一揆を巻き起こす無頼たち、ラストはたった9人で幕府軍に挑む。
勝率ゼロに等しい無謀な戦い、その勝機と狙いとは!?

原作は昨年、直木賞を受賞した垣根涼介の『室町無頼』(新潮文庫刊)。
“リアル”な風と炎と砂塵が舞う中世の暗黒時代ダークエイジを駆け抜ける、エンタメ全開のアクション巨編!!

映画『室町無頼』公式HP

映像の迫力に重点を置いたシンプルな構成

さて。本作は、アクション好き、時代劇好きには堪らない面白さの作品であった。
本作のメインである一揆のシーンの迫力は満点で、圧巻だった。
IMAXで観ることができてよかったと、心から思った。

蓮田兵衛という、実在する人物を基に描いた時代劇ではあるが、物語自体はシンプルでわかりやすい、勧善懲悪もの。冒頭のナレーション説明にも助けられ、歴史的知見がなくても十分に理解ができる。
頓狂なヒーロー(主人公)・蓮田兵衛(大泉洋)と、彼とひょんなことから出会い、そして振り回されることになる子分・才蔵(長尾謙杜)のコンビが飢饉に苦しむ農民たちと立ち上がり、国に立ち向かうという設定も取っ付きやすい。

才蔵(長尾謙杜)

本作が本格アクション初挑戦だったという大泉洋。
しかし、初挑戦とは思えない殺陣シーンはさすがベテラン俳優!
バラエティ番組やコメディ作品で見せるのとは違う、カッコいい姿が新鮮だ。
頓狂でおちゃらけているように見え、その実、裏では農民のためを想い動く、頼りになる男。この二面性を演じ分ける蓮田の役は、大泉洋以外には考えられない。

惜しい点

ただ、残念な箇所が二点ほどあった。
まず、人物を深く描ききれていないこと。
才蔵の訓練シーンと、ラストの一揆のシーンをそれぞれメインに据えたためか、蓮田、骨皮道賢(堤真一)、芳王子(松本若菜)、名和好臣(北村一輝)、農民たちの人柄や関係性などの"背景"が薄かった。
特に、旧友でありながら敵対することになる蓮田と骨皮の関係性は、それぞれの台詞1、2行で撫でる程度に語られただけであった。
友人だった頃の過去の回想シーンなども混じえながら魅せてもよかったのではないだろうか。ラストのラスト、骨皮に”味のあるシーン”があったが、それ以前の背景が薄かったために感動しきれなかった。
蓮田をはじめとし、個性的で魅力的なキャラクターが多かっただけに、勿体なく感じる。

左から蓮田兵衛(大泉洋)、骨皮道賢(堤真一)

もう一点、劇中曲だ。
選曲と、その使い所がなんとも微妙。
映像と合わない、妙にカントリー調の曲が流れたかと思いきや、
見せ場に近いところで西部劇的な曲が流れ出す。
殺陣のシーンが作り込まれていて見応えがあっただけに、選曲とその使い所の不自然さで興醒めしてしまう場面が多々あり、残念。

IMAXである理由がある

上記二点を除けば、ストーリー、構成、映像(カメラワーク)、配役など全体的に素晴らしかった。

何度も言うようだが、本作は映像が圧巻だ。
故に、ぜひ映画館で鑑賞してほしい作品なのである。それも、IMAXで。
「4DXにした理由が謎」「三面スクリーンの無駄遣い」「この作品はIMAXでなくても良いのでは?」等々・・・。
残念ながら近年、映像の最先端技術に、作品のクオリティが着いて行けていないと感じる作品が多々ある。
しかし、本作は違う。迫力満点で且つ、細かいディテールまで拘りが見える。
IMAXで観る価値が十二分にある仕上がりとなっていた。


1997年生まれ、丑年。
幼少期から、様々な本や映像作品に浸りながら生活する。
愛読歴は小学生の時に図書館で出会った『シートン動物記』から始まる。

映画・ドラマ愛は、いつ始まったかも定かでないほど、Babyの時から親しむ。
昔から、バラエティ番組からCMに至るまで、
"画面の中で動くもの"全般に異様な興味があった。

MBTIはENFP-T。不思議なまでに、何度やっても結果は同じである。
ENFPらしい性格であると他者からもよく言われるが、文章を書こうとすると何故か、Tの部分が如何なく滲み出た、暗い調子になる。
(明るい文章もお任せあれ!)


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Nanochi
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