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ストレスぶっ飛ぶ痛快詐欺コメディ 映画『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』


概要

映画の概要は以下。

上田慎一郎監督が「カメラを止めるな!」公開前から動いていた渾身のプロジェクトである本作。ソ・イングク、 スヨン、 マ・ドンソクの豪華共演で日本でも話題を呼んだ韓国ドラマ「元カレは天才詐欺師~38師機動隊~」を原作に上田監督が存分にオリジナリティを加え、監督のもと豪華キャストと精鋭スタッフが集結しスケール感もビッグに実現した待望企画となります。
主演は、「きのう何食べた?」シリーズや映画『八犬伝』では葛飾北斎を演じるなど話題作への出演が続く内野聖陽。税務署に務めるマジメで気弱な中間管理職の公務員でありながら詐欺師と組んで、脱税をひた隠す大企業から未納の10億円を徴収することになった男・熊沢二郎を演じる。
そんな公務員、熊沢と異色のタッグを組む天才詐欺師役には、NHK連続テレビ小説「虎に翼」や、映画『ラストマイル』も話題の岡田将生。頭脳明晰で素早い判断力に大胆な話術と行動力を持ち合わせる天才詐欺師で、熊沢とともに壮大な詐欺を企てる男・氷室マコトを演じる。
さらに、川栄李奈、森川葵、後藤剛範、上川周作、鈴木聖奈、真矢ミキ、皆川猿時、神野三鈴、吹越満、小澤征悦と日本屈指のキャストが集結し、観客を操るプロたちの鮮やかな手口でラストまで怒涛に“騙され”“嵌められ”“欺かれる”痛快なクライムエンターテインメントが誕生した!

映画『アングリースクワッド』公式

2017年、一大ブームを巻き起こした映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督が、メガホンを取った本作。
目立ったアクションもない、命の危機に陥ることもない、泣けるわけでもない。
しかし、スタート直後から、心地よいハラハラとドキドキが連続して起こる楽しい映画であった。
メインである詐欺師たちが捕まってチャンチャンとなるわけが無いので、読もうと思えば読める展開ではあったものの、騙しの種は意外と単純で、だからこそ、見落としてしまっていた。
「あぁ…!そういうことか!」。感嘆のため息が出る。
とにかくテンポよく進む、痛快な騙し合いゲームだ。

名優・内野聖陽だからこそなす業

またしても、内野聖陽が凄い。”カメレオン俳優”という言葉が存在するが、
彼こそ、その言葉にふさわしい俳優の一人だ。
見る度に違う顔を見せてくれる彼に、今回もまた魅せられた。
本作では、気の弱い税務署職員という役どころ。哀愁漂う困り顔のオジサン姿は、現在公開中の映画『八犬伝』の葛飾北斎の演技からは全く想像がつかない。
また、安定した職と家庭を持ち、波風立てない代わりに出世もない年増のオジサンが、詐欺師集団の仲間入りを果たすという非日常に触れることで得る、小さな活気をほんの少しの表情やオーラで感じ取らせてくる演技にも、思わず唸った。
八犬伝では、お調子者の葛飾北斎そのものだったが、打って変わって本作ではいまいちパッとしない弱気で真面目な公務員・熊沢二郎そのものであった。
いずれの演技にも、良い意味で”内野聖陽らしさ”を微塵も感じなかった。
いや、なりきるその業こそ、ある意味で内野聖陽らしさと言えるのかもしれない。

それから、出所したてのイケメン天才詐欺師・氷室マコトを演じた岡田将生。
彼も様々な役柄を演じてきているが、私はその中でも、ドラマ「リーガルハイ」などで見せてくれたような、余裕綽々とした生意気な演技が大好きだ。
今回はまさにそんな役柄であったので、私の好きな岡田将生を堪能できた。
あの、片方の口角を上げた笑い顔、イケメンなのに憎たらしくて大好きだ!

ところで本作は、概要にもある通り韓国のテレビドラマを原作としている。
その邦題は「元カレは詐欺師」らしい。本作とはかなり違う物語になっているとのことだが、ドラマの邦題もなかなか魅力的なので、観てみようと思う。

そして今回のタイトル「アングリースクワッド」は、本作を観ればその意味が分かるようになっていた。

もっと丁寧に知りたかった部分

本作は副題に「7人の詐欺師」とあるが、メインはあくまで主人公の熊沢と詐欺師のリーダー格である氷室で、ほか6人の詐欺師ついてのバックボーンは語られない。元役者、闇金との兼業など、個性派揃いであったが、なぜ詐欺師になったのか、なぜ氷室を慕っているのか、金銭を得ること以外の目的があるのか…など、気になる部分は明かされなかった。物語が進むうちに、6人にも愛着が湧いてきていただけに、少し勿体無いように思えた。

また、熊沢が詐欺師の仲間入りを決意したきっかけとなった、税務署の同期(矢柴俊博)について触れるシーンもかなり少ない。そもそも同期には台詞がなく、他者によって事実が述べられているのみで詳細な背景がない。真面目な公務員を詐欺師に転身させるくらいの大きな出来事なのだから、もう少し丁寧に描いても良かったのではなかろうか。
本作は登場人物たちが騙し合うシーンがメインどころなので、そこまで描ききる時間的余裕がないこと、その必要性が無いという考えになることも十分に理解ができる。しかし、だとしたら背景の語り方にもうひと工夫ほしかった。
過去に何があったのかの事実は理解できるが、共感しきることは難しいように思えた。

続編を期待してもいいの?

氷室の父親は冤罪によって刑務所に収監されているようだ。
つまり彼の過去にも、”何か”がありそうだ。
しかし、それも要点がかいつまんで語られる程度で終わってしまった。
今回のターゲットを陥れることで一応復讐を果たしたようだが、
あまりに詳細が語られなかったので、思わず続きがあるかも?と期待してしまう。
もし続編が制作されるのならば、是非観たい。
その時熊沢は、まだあのグループの一員であるだろうか…。


1997年生まれ、丑年。
幼少期から、様々な本や映像作品に浸りながら生活する。
愛読歴は小学生の時に図書館で出会った『シートン動物記』から始まる。

映画・ドラマ愛は、いつ始まったかも定かでないほど、Babyの時から親しむ。
昔から、バラエティ番組からCMに至るまで、
"画面の中で動くもの"全般に異様な興味があった。

MBTIはENFP-T。不思議なまでに、何度やっても結果は同じである。
ENFPらしい性格であると他者からもよく言われるが、文章を書こうとすると何故か、Tの部分が如何なく滲み出た、暗い調子になる。
(明るい文章もお任せあれ!)

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Nanochi
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