お腹と心を満たす 映画『劇映画 孤独のグルメ』
ついに、テレビ東京の人気ドラマシリーズ「孤独のグルメ」が映画化された。
そして監督・脚本はなんと、主演の松重豊である。
※脚本は田口佳宏との共作
しかし私は愚かなことに「割と早い段階でサブスク配信がされそうだ」と勝手な判断のもと、本作を劇場で観賞しようとしていなかった。
ところが、ある重要なことに気がついた。
あの井之頭五郎(松重豊)を大スクリーンで観られる機会は、そうないのではないか。というか、この機会を逃すと今後一切訪れないかもしれない。
本作は、彼を大画面で観られることだけでも、映画館で観る意義があるのではないか、と。
公開2週目にしてようやく、劇場に足を運んだ。
本作の概要やあらすじが公式HPに掲載されていなかったので、HPの言葉を借りつつ、手製のあらすじを書いてみる。
井之頭五郎はとにかく平凡で、それでいてとても魅力的な主人公だ。
五郎の魅力の一つに、コミュニケーション能力の高さがある。
その能力の高さの所以には、仕事柄多くの商談をこなしてきたことが考えられるだろう。しかし、それだけではない。彼は食を愛していることはもとより、恐らく人間のことも好きなのだ。
誰とでもフレンドリーに接し、積極的なコミュニケーションで相手を知ろうとする。背が高く、イカつくも見える彼だが、人好きな一面が、相手の心をいとも簡単に開いていく。そして気がつくと彼の周りには、仲間が増えている。
今回はそんな彼の魅力が物語を繋いだ。
誰かを想い作られた料理が、また別の誰かと誰かを繋ぐ。料理に国境はない。
料理の作り手の想いにも、それを味わう者の姿勢にも、国境はないのだ。
本作での五郎の人との接し方が、私にそんなことを教えてくれた。
まるでスープのように、ホッと心が温まるロードムービーであった。
「劇映画 孤独のグルメ」はテレビ東京開局60周年記念作品だ。
そんな本作は、テレビ東京にしか作れない作品だ。
テレ東ならではのクスッと笑えるユルい演出も決して忘れてはいない。
特に遠藤憲一の使い所は、なんというかさすがテレ東、さすが松重豊といった感じで、笑えた。
展開にややご都合主義的な部分はあるものの、それもテレ東らしさと感じられる許容範囲内である。
余談だが、場内が明るくなってすぐに、後ろの席にいたギャルが「ダイエット中なのにラーメン食いたくなったんだけどー!許せねぇ」と、私の心を代弁してくれていた。
ギャルも楽しめる映画『劇映画 孤独のグルメ』ぜひ劇場で。
1997年生まれ、丑年。
幼少期から、様々な本や映像作品に浸りながら生活する。
愛読歴は小学生の時に図書館で出会った『シートン動物記』から始まる。
映画・ドラマ愛は、いつ始まったかも定かでないほど、Babyの時から親しむ。
昔から、バラエティ番組からCMに至るまで、
"画面の中で動くもの"全般に異様な興味があった。
MBTIはENFP-T。不思議なまでに、何度やっても結果は同じである。
コミュニケーションが好きで、明朗快活な性格であるが、
文章を書こうとすると何故か、Tの部分が如何なく滲み出た、暗い調子になる。(明るい文章もお任せあれ!)