新たな価値観が生まれる映画『正欲』
2023年11月10日公開の映画『正欲』の感想を、今更ながら簡単に書いてみる。
※以前Filmarksにて掲載したレビューを、やや修正して再掲する
本作は、「桐島、部活やめるってよ」「何者」「武道館」などの話題作の作者朝井リョウ原作。
監督は、「情熱大陸」などのテレビ番組のほか、映画『二重生活』『あゝ、荒野』『前科者』の岸善幸。
演者に、新垣結衣、磯村勇斗、稲垣吾郎らが顔を揃えた。
本作は、ガッキーの今までになかった新たな一面が見られると話題になった作品だ。あらすじは以下の通り。
何が正解で、何が不正解か…。
人間は何事も白黒はっきりとさせたがるが、白か黒か判断するその人間自体が、
はっきりとした答えを持たない、曖昧な生き物であるということを、
私たちは再認識せねばならないのかもしれない。
人間という生き物そのものがぼんやりとしていて、白も黒もないにも関わらず、
その人間が、他の人間の言動や行動に対して、白だとか黒だとか、言及すること自体が、毛頭おかしいということである。
この作品は、改めてそのことを想起させてくれるような、そんな内容であった。
頭や心の中では分かっていて、どこか片隅に眠っている感覚を、映像という目に見える形で分からせていく、そんな丁寧な作品であったと感じた。
この映画のポスターには「観る前の自分には戻れない」との宣伝文句が添えられている。鑑賞前から、少々大袈裟な言い方ではないかと思っていたが、
正直、鑑賞後もやはり大袈裟だと思ってしまった。
映画の作りが丁寧であった分、より残念に感じた。
観る前には戻れなくなるほど、自身を変えられた感覚はない。
しかし、本作を鑑賞してからしばらくの間、私はこの映画が伝えてきたメッセージや映像を、忘れることができなかった。宣伝文句ほどではないが、確かに私は、本作で新たな価値観や発見を得たように思う。
宣伝文句に釣られて本作を観る人がいるとすれば、
きっとその人たちにとっては不足だろうと想像するが、
それでも本作の内容は、私の心にしっかりと刻み込まれた。
一見の価値ありだと思う。
1997年生まれ、丑年。
幼少期から、様々な本や映像作品に浸りながら生活する。
愛読歴は小学生の時に図書館で出会った『シートン動物記』から始まる。
映画・ドラマ愛は、いつ始まったかも定かでないほど、Babyの時から親しむ。
昔から、バラエティ番組からCMに至るまで、
"画面の中で動くもの"全般に異様な興味があった。
MBTIはENFP-T。不思議なまでに、何度やっても結果は同じである。
コミュニケーションが好きで、明朗快活な性格であるが、
文章を書こうとすると何故か、Tの部分が如何なく滲み出た、暗い調子になる。(明るい文章もお任せあれ!)