日本で起こっている、人種差別
以前、僕が働いていたホテルには日本語をすごく上手に話せる(とは言っても少し片言)賢い台湾人の女性スタッフがいた。僕と同じフレンチレストランで働いており、そこらへんの日本人スタッフよりも仕事も出来る子だった。コミュニケーション能力も高く、いつも元気いっぱいの明るい女性。
とある日のディナーでの出来事。彼女はいつものようにお客様を席まで案内し、簡単にコースの紹介、そしてアレルギーの有無を伺い、飲み物のメニューを渡してその場を離れた。
するとすぐに少し遠くにいた僕とそのお客様の目が合った。飲み物のオーダーが決まったのかな?と思い、席まで伺うとそのお客様はこう発した。
「さっきの女性のスタッフなんだけど、あの子にはこのテーブルに近づかせないでもらってもいいかな?よろしく頼むよ。」と。
最初のやりとりでなにかあったのかな?と思い、
「恐れ入ります。先程のご案内の際になにか不手際がございましたか?」と伺ってみると
「いや、不手際ってわけではないんだけど。なんか嫌なんだよね。彼女中国人か台湾人でしょ。日本語もまだ十分に話せないだろうし。食事に集中できないんだよね。だからよろしく頼むよ。」と。
僕はその席を離れ、上司に今あったことを相談した。そして上司から彼女になにかしらの説明がなされた。どんな風に伝えたのかまでは分からなかったが、その日の営業中の彼女はいつもの元気いっぱいな彼女とは違っていた。
僕らスタッフは同じ環境で働く仲間として彼女と向き合ってきた。そこには信頼関係が築かれていて、誰も彼女のことを外国人(よそ者)扱いはしていなかった。
しかしながら、お客様からすれば違う。どれだけ社内で評価されていようと、日本人より仕事が出来ていようと、そんなことは関係なく、「外国人」という1つの括りとして捉えられてしまう。
フレンチレストランという空間であれば、なおさらなのかもしれない。それなりのお金を出して食事をしているのだから自分のストレスになりうる事象をなるべく避けたい。
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今現在、アメリカで繰り広げられている人種問題、黒人の差別。テレビをつけてニュースを見れば目につくし、TwitterやNEWSアプリなどスマートフォンからも目に入る。
なにかしらのメディアに接している日本人であれば、ほとんどの人がアメリカで暴動が起きていて、大変なことになってるんだな~。ということくらいは理解できているだろう。
僕ら日本人からすれば、人種差別の問題って日常的に意識することのない問題である。僕自身も学生の頃に同じようなニュースを見て、「同じ人間なんだから素直に仲良くすればいいのにな~。」なんて他人事に単純に考えていた。
人種問題、人種差別に少し距離があるように思える日本だが、本当に遠いところにある出来事なのだろうか?現に僕は実際に日本でそれに当たるであろう出来事を目にした。
日本に住んでいれば、普段の生活からは感じることが少ないかもしれないが、ふとニュースを見れば近隣国である中国や韓国、北朝鮮との対立は当たり前のようにある。ネットを見ればそれらの国の悪口を書きまくる人達も目に入る。これらは今アメリカで起こっている暴動と関係のないことなのだろうか?
長く村社会を経験してきている日本人という民族。今はまだ異なる人種の人達と接する機会は少ないかもしれない。しかし比較的カジュアルなリゾートホテルではインバウンド需要の増加とともに、外国人スタッフの採用数がものすごく増えている。
ホテル業界だけでなく、他の業界でも同じような流れはあるだろうし、僕達が思っているよりも世界の境界線というのはあいまいなものになってきている。
今は当事者として意識できないかもしれないけど、当事者になった時に日本人はこの問題を乗り越えられるだろうか?
そんなことを考えながら、アメリカのこれからを見守る
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