脇汗、スパルタ英会話
みなさん「notteco(のってこ)」ってご存知ですか?
それは同じ目的地に向かうドライバーに相乗りをお願いしたり、ドライバー自身が相乗りを募集できるサイトなんです。
つい最近その存在を知ったんですが、2015年からあったみたい。
1人で向かうより相乗りしてワリカンする方が運転手的にはお得だし、乗せてもらう方も安い料金で乗れる。
お金を払ったという建前があるから見知らぬ人の車でもあまり遠慮せずに乗れる。
興味本位で大阪ー東京までの道のりを「notteco」で移動してみようと思う。
【メリット的には】
・比較的安く移動できる
・融通が効く
・移動時間が早い
・面白い出会いがありそう
「notteco」の大阪ー東京間の相場は3000円〜4500円ほどだ。
夜行バスの4列シートだと大体、2000円〜5000円くらいなので、そこまで安いという印象は受けなかった。
それに毎日相乗りが募集されてるわけではないので、タイミングも大事だった。
僕は60歳の男性が運転する車を選ぼうとした。
というかその日の出発便はその男性しか選択肢がなかった。
相乗り料金4400円
それなりの料金やん
夜行バスなら3列独立シート座れる値段やん
長考の末、その60歳男性に決めた。
「notteco」のサイトで数件のメールのやりとりをして待ち合わせの場所を決めた。
運転手の独自の注意書きがそれぞれあり、
喫煙者NGやら、
休憩は3回とりますやら、
飲食NGなど書いてある。
【そして待ち合わせ】
車の窓を開けて「どうも〜」と呼びかけてくるおっちゃん。
想像していたより随分と若々しく、小綺麗なおっちゃんだった。
「助手席でも、後部座席でもお好きな方に」
迷わず助手席に座った。
会話を楽しむのが1番の目的だ。
軽く自己紹介をして出発。
おっちゃん「喋ってもいいですし、会話しなくてもいいので好きにしてくださいね」と紳士な一言。
もちろん喋りましょうといった。
そしておっちゃんは商社マンで海外にも長期で住むほどのエリートな人だった。
その土地での話を深掘りしたりして、かなり楽しかった。
nottecoいいじゃーん!!と僕はノリノリだった。
おっちゃんの車のナビは英語だったり、常に英語と接するように生活しているエリートおっちゃん。
話の流れで「僕も英語喋りたくて最近オンライン英会話を始めたんですよ〜」と言うと、
「じゃ今から英語で会話しましょう」とおっちゃんのスイッチが入った。
途端に僕は喋れなくなり、ギリギリ知ってる英語を使ってありきたりな質問をした
「今どこに住んでるんですか?」
おっちゃん「・・・・そういうのじゃないんだよ」
え?(怒った?!)と焦る僕。
おっちゃん「そんな教科書に載ってるような英語を喋ってても上手くならないよ?今の状況を喋ろうよ」
その時外は強い雨が降っていたので、
「雨が強いですね」をつたない英語で言ってみた。
「hard rain」みたいな事を言ったと思う。
おっちゃん「違う!携帯あるんだからちゃんと調べて!」
どんどん熱を帯びてきているのがわかった。
そして携帯で調べた末
「The rain today is terrible.」
と答えを導き出した。
おっちゃん「じゃその英文を携帯のメモ帳にでも書いて保存しておいて。そうしていけば、どんどん英語が覚えれるから」
車内は楽しい雰囲気から、
マンツーマンのピリピリ英会話教室に変わった。
携帯で僕が英語を調べている時、一切言葉を発しないおっちゃん。
わからなくて質問をしても
「ちゃんと調べた?」だ。
夜中4時。
英会話が始まって数時間が経っていて、気がつけば東京に着いていた。
脇汗もかいていた。それほど緊張感のある授業だった。
「やっと帰れる」
心底ホッとした。
おっちゃんのご好意で家の前まで送っていただけた。
そこで最後に自分から出てきた別れの一言が意外だった。
「また乗せてくださいね」
え?ほんま??ホンマに思ってる?
この一言が本心だったのか、
緊張からの解放感で出てきた思ってもない言葉なのかわからなかった。
しかしこれを書いている今わかった。
おっちゃんの車にまた乗りたいと本当に思っていると気がつけた。
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