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うらにし

流れくる 重たい靄に 灯る銀杏


秋は変わりやすい天気です。
青空が広がっていたかと思うと、山から重たい雨のかたまりが風にのってあっという間に街を覆い、柔らかい小雨を降らせます。
私の出勤時間は朝の7時なのですが、川沿いを走っていると靄におおわれている事がよくあります。
朝晩の気温差に、段々と色づいてきた銀杏や紅葉がぼんやりと燃えているのを見ると、ため息が出るほど綺麗です。絵本や絵画の世界です。

私の実家の方では、「弁当忘れても傘忘れるな」ということわざがあります。
日本海側の秋から冬にかけては、特に天気が変わりやすく、丸一日カラッと晴れ!という日は少なく、どんよりと重たい雲におおわれている事が多いのです。
私が学生の頃、自転車にまたがり川の欄干に足をかけてぼんやりと川上を眺めていた時。
天気は晴れていたのですが、川上の山に雲がかかってきたな…と思っていると、しばらくするとものすごい勢いで雨のかたまりが流れてきて、私はあっという間に雲の中に入りました。
雲の中はミストを浴びているような感じで、視界はゼロに近いです。
この事を父に話すと、「うらにし、やな。」
と教えてくれました。
日本海側のこの変わりやすい天気を「うらにし」というそうです。
車を運転するときは正直怖いですが、本当に神秘的な光景です。

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