電子サイコロ
中学生のときの技術の授業で、電子工作を行う単元がありました。
学校では何種類かの電子キット (簡単なラジオや電子チャイムみたいなもの) を用意してくれるということで、そこから選んでも良いし、自分で大体同じくらいの金額で部品を集めて、好きなものを作っても良いということになりました。
私は、その頃子供向け科学雑誌に出ていた「電子サイコロ」を作ることにしました。サイコロの目のように並べた7つの発光ダイオードがスイッチを押すとパラパラと光り、スイッチを離すとしばらくパラパラと表示が変わった後、自動的にランダムにサイコロの目を表示するようなものでした。
その頃、同じく雑誌で読んだのが、電子サイコロの乱数は本当の乱数かと言うような記事でした。
何となく、どの数字もまんべんなく出て欲しいし、同じ数字が何度も続かないで欲しいし、同じパターンを繰り返さないで欲しいし、かといってある数字が全く続けて出てこないのも不自然だし、乱数に対する要望はいろいろありますが、そもそもコンピューターが作り出せるのは本当の乱数ではないというようなことが書かれていました。
それを読んで、コンピューターで「乱数」のようなものを発生させるアルゴリズムは結構奥が深いということが分かって、非常に興味を覚えた記憶があります。。
最近、ネットで、「あなたの使っている乱数、大丈夫?」という広島大学理学研究科数学専攻の松本 眞さんという方が2014年11月の第50回市村学術賞記念 先端技術講演会で発表された資料を見つけて懐かしく思い出しました。
[あなたの使っている乱数、大丈夫? 第50回市村学術賞記念 先端技術講演会 松本 眞]
http://www.math.sci.hiroshima-u.ac.jp/m-mat/TEACH/ichimura-sho-koen.pdf
乱数の品質を検定する方法について書かれた論文もありました。
[講座 シミュレーションのための乱数入門 4. 乱数の品質と検定法]
https://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2020_07/jspf2020_07-372.pdf
私も、石油開発のための地質モデルを作成すために、乱数を発生させてシミュレーションを行うようなこともしていました。地質モデル程度ではそれほど影響はないのかもしれませんが、モンテカルロ・シミュレーションなどで、何万、何十万とサイコロを振り続けるようなシミュレーションを行う場合、結構乱数の品質が問題になってくるのかもしれません。
乱数をコンピューターのセキュリティなどに利用している場合、乱数の質はもっと深刻に影響するのかもしれません。
いつか地域の子供たちと理科教室を開くときに、電子サイコロを作ってみたいなと思っています。そして確率や乱数についても考えるきっかけになればいいなと思っています。
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