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「立憲的意味の憲法」

憲法とは何かと調べてみると「固有の意味の憲法」と「立憲的意味の憲法」という言葉があることがわかります。

たとえば衆議院憲法審査会事務局が2016年11月にまとめた「立憲主義、憲法改正の限界、違憲立法審査の在り方」に関する資料 (衆憲資第91号) によると、(https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kenpou.nsf/html/kenpou/shukenshi091.pdf/$File/shukenshi091.pdf)

「固有の意味の憲法」とは、

憲法とは、どのような自然人の意思が国家の意思とみなされるべきかを定めた基本法である。強制力の独占を正統化された国家の意思は、国家権力により強制される力を獲得する。国家意思を形成し執行していく権力、すなわち統治権が誰に帰属し、どのように行使されるべきかを定めているのが憲法なのである。この意味での憲法は、あらゆる国家に存在する。憲法なくして国家は存在し得ない。この意味での憲法を「固有の意味の憲法」と言う。

つまり、「固有の意味の憲法」とはいつの時代のどのような国家においても存在する国家の基本原則や基本組織を定めた根本法のことを指す言葉です。

一方、「立憲的意味の憲法」とは、

人権保障と権力分立原理を採用し、権力を制限して自由を実現するという立憲主義(constitutionalism)の思想を基礎にしている。立憲主義とは、政治は憲法に従ってなされなければならないという思想を言うが、そこで言う憲法はいかなる内容の憲法でもよいのではなく、人権保障と権力分立の原理に支えられたものでなければならないと考えられたのである。1789 年のフランス人権宣言 16 条は「権利保障が確保されず、権力分立が定められていない社会は、全て憲法を持つものではない」と規定したが、立憲主義の典型的な宣言と言われている。このような立憲主義を基礎にした近代の憲法を「立憲的意味の憲法」と呼ぶ。

つまり、「立憲的意味の憲法」とは立憲主義に基づいて定められ、人権の保障、法の下の平等、国民主権、法の支配、権力分立などを基本原理とする憲法を指す言葉です。

立憲主義とは憲法を国家の最高法規として制定し、その枠内でのみ国家権力の行使を認めようということですから、「立憲的意味の憲法」とは、憲法を、権力を制限することで国民の権利・自由を保障しようという立憲主義に基づく法ととらえたものと言えます。

私たちが手にしている日本国憲法はまさに「立憲的意味の憲法」というわけです。

「立憲的意味の憲法」という立場で考えると、政府与党から「改憲」という言葉が出てくるのに対してどうしても違和感を感じてしまいます。そして国民に対する義務を憲法に入れようということに対しても。

もちろん、議論を提起すること自体は誰にでも権利はあるのかもしれませんが、近代的な立憲主義を標榜するのであれば、どのような政党でも政権についたならば「憲法をしっかり守ります」というのが筋であり、私たちは「憲法を変える声をあげるとすれば政権についたあなたたちではないですよ」と言うべきなのではないでしょうか。だれが政権についても政権についた人には立憲主義の立場は貫いてもらおうというのが私たちがとるべき態度なのではないでしょうか?

そもそも今の日本国憲法を変えなければ解決できないような人権の保障、法の下の平等、国民主権、法の支配、権力分立などにかかわる重大な問題は今現在なにかあるのでしょうか?

むしろ憲法の精神をしっかり活かして私たちの暮らしや人権を守っていってほしいと感じます。

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