棄権票に意味を持たせる選挙制度設計は可能か – AIとの模擬議論
現在の選挙制度においては、投票を棄権したり白票を投じたりすることは、選挙の当落の結果においては実際に有効票を投票した人たちの結果に無条件に従うことと同じと考えられます。
もちろん、選挙に対する関心度や、候補者に対する全有権者から見た支持率 (信認度) という指標という点では意味があると思いますが、当選、落選の結果については実際に投票した人たちの投票結果に無条件に従うことと同義になります。
強い意志をもって棄権したり白票を投じたりするのであれば「選挙自体に争点を見いだせない、選挙に意味を感じない」などの批判メッセージとしてとらえることもできるかもしれませんが、特に投票を行わない棄権票に関しては、そのようなメッセージを意識的に発信しているかどうかも第三者にとって判断することは難しく、民主主義における意思表示の手段としては消極的過ぎる感じがします。
無効票でも白票でも何かしら投票行動を起こした場合を除いて、なにも投票行動を行なわず棄権となった票に意味を持たせる選挙制度改革は可能なのでしょうか?
もしそれが可能なのであれば、私は非常にポジティブな効果を生むのではないかと期待しています。
改革後の選挙制度のイメージとしては以下のようになります。
期日前投票、不在者投票、在外選挙、当日投票所での投票を含め、いずれの投票方法でも投票されなかった票を棄権票とする。
国政選挙であれば、比例代表選挙においては政府与党を除く候補者を擁立している他のすべての政党に、選挙区選挙においては現職議員を除く他のすべての候補者に、(1)のすべての棄権票を、その実際の有効得票数に比例した割合で割り振る。
実際の有効得票数+割り振られた棄権票数を比例代表選挙における政党、および選挙区選挙における候補者への得票数として当落を判断する。
国政選挙でなくても、地方公共団体の長の選挙や一般選挙(地方の議会)においても、現職の長や議員を除いて、棄権票数をその有効得票数に比例した割合で他の候補者に割り振ります。
このような選挙制度にすることによって期待される効果としては
現在の政府与党や現職の長、現職の議員が、その政策や法案、条例などの立案、実施などにおいて、自動的に次の選挙で自分に不利になる棄権票を増やさないように、常に投票率を上げる努力をする必要が生じる。
投票率を上げる努力と同時に、有権者の支持が得られ有効投票による得票率が上がるように真剣に政策や審議に取り組み、それを有権者に示していく必要がある。
有権者がやむを得ず、あるいは意識的に投票を行わず棄権しても、その票は与党や現職以外に有利に働く機能を有することになる。
自分の持つ投票権が、投票する・しないに関わらず選挙結果に影響を及ぼすことになるので有権者の選挙に対する関心が高まる。
それでも自分の意思で白紙票を投じるなど無効票とする手立ても残されている。
などが考えられるかと思います。
この案について ChatGPT3.5 と模擬議論を行ってみました。ChatGPT3.5 の私の案に対する回答は以下のようなものでした。
一方で、ChatGPT3.5 は以下のような指摘もしてきました。
ごもっともだと思います。専門家による具体的な検討や実際の選挙データを用いたシミュレーションなどを行ってみる必要もあると思います。
そしてなによりも与党や現職からの理解が得られるか、もし与党や現職が毎回のように入れ替わることが起こるのであれば、政策の継続性などの問題も生じるかもしれません。
ただいずれにしろ、この制度によっても有権者がその意志によって与党や現職を継続させることができる余地があることは重要だと思います。また、次の選挙ではその時の与党、現職が同様のプレッシャーの中で戦わなければならないということも重要だと思います。
私はこの制度改革によって「与党であること」「現職であること」にあぐらをかいて市民の立場に立たない政党や議員が、真剣に市民のことを考えるようになることを期待します。
ChatGPT との模擬対話のなかで、「その考えは荒唐無稽である」とののしられなくて良かったと思っている自分がいます。AIに一喜一憂してしまう危険な兆候かもしれないですね。
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