腰痛に苦しめられる
比較的若い頃から、私はなんどか腰痛に苦しめられてきました。
はじめて腰痛に苦しめられたのは高校に入学したばかりの頃です。前かがみになれず、体育の授業では準備体操から苦しめられました。当時、「鬼」と恐れられていた体育の先生に、「無理しなくていいから」と言われたのが救いでした。
通学中も腰が痛くてロボットのようにぎくしゃく歩く感じでした。まわりからは「運動不足のせいではないか」との声も聞こえてきましたが、市販の湿布薬でなんとか乗り切り、いつしかそれほど痛くは無くなりました。
その後しばらくは、腰に関しては何事もなく過ごしてきたのですが、社会人となり、UAEに赴任して、洋上の石油掘削現場に頻繁に行くようになってから、また腰を痛めてしまいました。
現場では中腰で長時間顕微鏡をのぞき込むなど、無理な姿勢を長時間続けていたせいかもしれません。あるとき突然ぎっくり腰のように腰に力が入らなくなり、椅子からしばらく立ち上がれなくなったこともありました。そして腰が痛くて前かがみになれず体が固まったような状態になってしまうのです。
現場に行くためのヘリコプターに乗り込むのも辛かったことがあります。
この突然襲い掛かるぎっくり腰のような腰の痛みは恐怖でした。いつどこで来るかわからないからです。ある時はモルジブのリゾート地の海岸で家族と一緒にくつろいでいる時に突然痛みに襲われたこともあります。
幸い、その時はホテルに常駐していたお医者さんに、痛み止めの注射をしていただき、なんとか動けるようになりました。
ここまで経験してきた腰の痛みはぎっくり腰のような感じで始まり、痛くなると前かがみになれないような痛みでしたが、私が海外赴任の合間に日本で働いていたころ襲われた腰の痛みは、今までの痛みとはその強さも、痛みの質も全く違うものでした。
前兆は何となく感じる足の違和感から始まりました。腿や脛がつったような、あるいは足の指に糸が絡まっているような感覚が何度かあり、あるとき、ドカンと腰に来たのです。
この痛みは腰を伸ばすことが出来ない痛みでした。前かがみや、椅子に座っているぶんにはなんとか耐えられるのですが、腰を伸ばして立ったり寝たりすることが出来ませんでした。
腰を伸ばして立っていると、足にまで強烈な痛みが来て、あまりの痛さに脂汗が流れました。こんな痛みは今まで味わったことがありませんでした。通勤を試みましがが、挫折しました。
たまらず病院に行くと椎間板ヘルニアと診断されました。あまりに痛くて腰に注射をする神経ブロックなども試みましたが、ほとんど効果がありませんでした。
2週間ほど痛みで会社に行くこともできず、コロナのずっと前でしたが、いち早くリモートワークを体験させてもらいました。そしてその後もしばらくは杖を使いながら前かがみで歩くことしかできませんでした。
医者の話では手術という選択肢もあるとのことでしたが、これでも私の痛みは絶対に手術をしなければいけないような状態ではないとのことで、1~2か月たてば自然と痛みは治まるはずだとおっしゃっていました。
泣きたいほど痛かったので、手術も真剣に考えましたが、医者の言うとおり、1ヶ月を過ぎるころから徐々に痛みが治まってきました。結局、3ヶ月ぐらいは杖の助けを借りましたが、手術することなく切り抜けました。
この時の痛みは今でも思い出しただけでも苦しくなります。このころ杖を使って通勤していた時、私は多くの人から優しさをいただきました。
実は、この椎間板ヘルニアの痛みに突然襲われた翌日、私は母を病院に送りにいく約束をしていました。母が手術のため病院に入院することになっていて、車で送っていく約束をしていたのです。
痛みをこらえてなんとか病院に母を連れていき、入院の手続きを終えましたが、病院内を歩く姿は明らかに私の方が重病でした。病院の方からも付き添いのはずの私の方が「大丈夫ですか」と声をかけられる始末で、なんとも情けなかったです。
腰痛。皆さんも気を付けてください。