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阿寒湖のマリモが天然記念物なのに売られているのは、ニセモノだから!?【3/29はマリモの日】

本日3月29日はマリモの日とされています。まりもっこりとかいうヤバいキャラクターもいましたね。

1952(昭和27)年の今日、北海道の阿寒湖のマリモが国の特別天然記念物に指定されました。これを記念して、マリモの日とされています。

マリモとは丸い藻ではない

このマリモは、19世紀の終わりごろに札幌農学校(現在の北海道大学)の川上瀧彌博士によって日本で初めて発見されて注目されていました。
マリモを簡単に説明すると、ひと株から細い糸状の藻がたくさん伸びて、湖の水流に洗われているうちに転がって丸まり、毛糸玉のような状態になるものです。つまり、丸く育つ種というわけではなく、糸が丸まったものというわけです。

同じような藻は阿寒湖以外でも生息しています。北海道では、北見のチミケップ湖、釧路のシラルトロ湖などで、本州にも富士五湖の山中湖・河口湖などが挙げられます。
しかしこれらの湖には、マリモが形作られる重要な要素である水流がないのです。そのため、水中で糸状の藻がユラユラと揺れるばかりで、全然丸くなってくれません。

この、丸くなるという現象は阿寒湖でしか見られない非常に珍しい現象で、阿寒湖産だけが国の特別天然記念物に指定されています。

天然記念物が土産物屋にズラリ

天然記念物にはオオサンショウウオやイリオモテヤマネコなどがいます。どれも非常に珍しく、法律によって捕獲や採集が禁止されています。

天然記念物に指定されたものは、荒らされたり傷つけられたりすることがないように、文化庁長官の許可がなければ、採集したり、樹木を伐採したりできないように厳しい規制がかけられるのです。
現状変更の規制に抵触するおそれのある学術研究が困難となるくらい厳しい規制です。
阿寒湖のマリモもオオサンショウウオなどと同様、この厳しい規制下で管理されています。

しかしよく考えてみてください。
阿寒湖を訪れた人ならわかると思いますが、湖畔の土産物屋を見ると当たり前のようにマリモが瓶詰めにされて並んでいます

採集禁止の天然記念物であるはずなのに、なぜ普通に売られているのでしょうか。

天然に丸くなった藻ではない

もしかしてニセモノを売ってるの? と思ってしまいますが、じつはそうではありません。
藻自体はちゃんと採集したものを使っています。
しかしひとつだけ違うところが、阿寒湖産ではないマリモを手作りで加工しているところです。

同じような種類の藻はほかの湖にも生息していることは前述しました。これらの湖のマリモは、阿寒湖産と違って天然記念物に指定されていません。

そこでマリモを加工・販売する業者は、これらの湖で(丸くなっていない細長い)マリモを採集します。そしてそれらを加工場に運び、手で転がしながら丸く形作り、阿寒湖産の丸いマリモそっくりに加工させているのです。

つまり、阿寒湖の湖畔で売っていても、別の湖の藻を丸めたやつだったというわけです。
パッケージをよく見れば、「阿寒湖のマリモ」とは書いてあっても、「阿寒湖産」とは書かれていないはずです。

ニセモノと言ってしまうと微妙ですが、限りなくニセモノに近い本物と言えるかもしれませんね。


Ⓒオモシロなんでも雑学編集部

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