仕事の楽しみってなんだろね
「仕事を楽しんでやってみたい。やれれば人生が楽しくなるに違いない」
「なんか今の世の中の仕事に対する考え方って賛同できないんだよなあ」
こんなことを感じたことはないだろうか。私はある。
そこから少しだけ掘り下げて以下のようなことを考えたこともある。
そもそも、どんなものに対しても、人間はそこに快を感じるからこそ、行動し、没頭することができるものだと思う。今後は大きく社会システムが変貌し、仕事をすることが必要条件ではなくなる可能性が高いと私は見ている。
とはいえ、さしあたって仕事は大方の人たちにとっては必要であろうし、ゆえにこそ、我慢したり、心身を崩したりしてまで、仕事を優先するような価値観には違和感を覚えるし、心身を崩してしまえば、元も子もないし、幸せではないだろうし、仕事をするような余裕は見いだせないだろうから、本末転倒だろうとさえ思う。しかし、仕事はなおも私たちを呪縛する。
ディスカバートゥエンティワンを創始した干場弓子さんの著作を読む機会を得た。この人はバリバリのキャリアウーマン第一世代なのであるが、「楽しくなければ仕事ではない」とまで言い切ってしまっている。むろん、本のタイトルをほぼそのまま援用しただけであり、内実は異なる。
どうやら仕事、そしてより広く人生とは能力であるらしい。そしてその能力はだれしもが持っているもので、たとえ、その能力が失われていたとしても、ちょっとしたコツや視点を変えるだけで、取り戻すことができるという。それはすなわち、仕事を好きになることでもある。ん、そんなに簡単にできてしまうものなのかい?
世の中、書籍やネットからの情報あまた溢れかえっていて、正直、自分にあっているものとそうでないものがある。干場さんの書籍に関しても、ホントにそれだけで仕事を好きになれるかといわれれば、必ずしもそうとは思わない。ただ、なるほどなと思う点はいくとかあるし、論理整合的なビジネス本と異なり、肩の力を抜いたエッセイ風に書かれているので、内容が理解しやすく、その点で好感を抱いた。
干場さんの仕事や生活に対する行動様式をまとめてしまうと、今を大事にすると、それが糧になってめぐりめぐって、将来の自分にもかえってきますよということにある。ゆえに、無駄なことなど一切ないということになる。
また、幸せとはすでに今あるものだし、遠い先に幸せになろうとするよりも、今現在幸せになることの大切さを説いている。それが楽しくなければ仕事にあらずという発想につながり、換言すれば、仕事を楽しくする要諦になるわけで、この点、人によっては凡庸な人生論・スピリチュアル的視座のものとらえる方もいるかもしれない。
とはいえ、読みやすさを旨としている単行本のビジネス本のなかでも、格段に読みやすく、一日あれば余裕で読み終えてしまうようにおそらく工夫されている。章立てもきちんとできていて、この点は、出版社の社長の著書らしい。
またビジネスの巷でよく言われていることに対する違和感や「ではどうすればいいか」というフォローもきちんと盛り込まれているので、これは立派なビジネス本であろう。仕事をしていく上での参考にもなると思う。
結局のところ、仕事における楽しさというのは問いかけてもすぐにレスポンスがくるわけではないと思う。問いかけた結果、突然ひらめくかもしれないし、今やっていることに集中してみた結果、回答が生じるかもしれないし、視点を変えてみたりすることで、得られるものかもしれない。ゆえに、私は「今やっていること」がどんどん好きになるという発想をする干場さんに賛同したいと思うし、今を生きることが大事だと思っている。
マインドフルネスが流行る前から、過去様々な偉人が「今現在」の大切さを唱道してきたが、最近はそうなのかなということがようや実感的にわかりつつある。あなたはいかがだろうか?