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もう買わなくていいじゃんのよだれ鶏
休日になると夫が行きたがるレストランがある。
中華街の四川料理店、京華樓。
中華街なかでも比較的庶民的で価格もお手頃なのに、おいしいくてお気に入り。
夫は趣味の掃除機を終えると、だいたい「中華街行こうよ」と家族を勧誘し始める。
家族はもう、中華街に飽きている。
趣味の掃除機:
日常の掃除機はルンバにお任せ。それじゃ足りないと感じた場合に夫があくまで趣味として、コード付き掃除機で1時間かけて行う、本気の掃除機がけのこと。
仕事をしなくなったわたしが家事に大して専念しないことに不満を覚えた夫とのいざこざの末、夫が要求するレベルの掃除機を”趣味の掃除機”と定義することで、お互いが納得した。
いざこざの詳細を書いた過去記事はこちら
1. 横浜のおすすめ中華
京華樓のメニューでわたしの一番のお気に入りは、黒酢酢豚。
横浜中華街の京華樓本館に行かれたら、ぜひ食べてみて欲しい。
豚は角切り肉ではなくこま切れみたいなお肉で、柔らかく脂身も少なめ。酢豚において、かさ増し要員感がでてしまう豚以外の具材も、京華樓では主役級。特になすびが外カリッ、中じょわ〜んで、これがおいしい。
家でも作れるようになりたいけれど、あのなすびのカリじゅわ加減が出せるのはプロの技かな〜。
一方、夫が必ず注文するのは、よだれ鶏。
茹でるか蒸すかした鶏もも肉に、花椒(ホアジャオ)がガツンと効いたラー油たっぷりの真っ赤なピリ辛だれ、いや、激辛だれがかかっている。気をつけないとむせるレベルでしっかり辛い。
四川料理代表ともいえる冷菜。夫はこれが大好きで、中華料理屋さんで見つけたら必ず注文するのだ。
近所の町中華、横浜中華街の高級中華、それにデパ地下の中華デリなど、夫が食べる側でいろんなよだれ鶏を食べてきたけれど、どれも違ってどれもおいしい。
花椒の痺れる辛さと香りがラー油や黒酢と相まって、何してもおいしいやつ。
その手軽さゆえ、Chat GPTによると家庭でも定番の料理だそう。
2. おうち中華はじめます
SHIORIさんのお料理教室にもよだれ鶏があったので、ベースはSHIORIさんのレシピで、自分が好きなように少しだけアレンジを加えて作ってみた。
作ったことのない料理を作る時、まず大変だと思うのは絶対にこれ。
買い物。
わたしももれなく、本格黒酢、花椒、そしてよだれ鶏に欠かせないピーナッツの入手に苦戦した。
一回揃えちゃえば、いつでも作れるのにねー。
最初のハードルが高めなあたらしい料理。とはいえ、こういう初めて使う食材を買いに走るのは、大好き。
自転車をかっとばして、カルディ→富澤商店→近所のスーパーと3件をはしご。
ようやく必要な材料が揃った。
さて、おうち中華はじめます。
鶏もも肉は、余分な脂を綺麗に掃除する。
塩をふって少し置いたら、大きな中華せいろでお皿ごと15分蒸して蒸し鶏に。ただ茹でるのが色々面倒で蒸すことにしたのだけど、こ〜れがよかった。
しっとりプルンプルンの蒸し鶏が、放置するだけで出来上がり。
タレは、京華樓みたいなごまだれ感があるタレがいい。
SHIORIさんが教えてくれるレシピをベースに、すりごまと太白ごま油、白味噌を加えてよく練った、自家製ねりごまを合わせてみる。そこにホールの花椒を入れて、京華樓でいつかもらったラー油をたっぷりと。
ちょっと味見・・・
!!!
うまっ。
ガツンとおいしいあのタレが、こんなにも簡単にできるなんて。
感激。
きゅうりはお店によって千切りだったり、ひとくち大だったり、ピーナッツも砕いてあったりまるまるだったり色々。私の好みで、きゅうりは叩いて手で割ってぶつ切りに。ピーナツは砕かずに手で半分にしたものをゴロゴロと。
食べ応えのある感じに仕上げる。
久しぶりのピーナツ料理に、ナッツ好きの母がよく作ってくれた、いんげんのピーナツ和えを思い出した。母とダイニングテーブルの上で、落花生の殻をむいたあの頃が、懐かしさとともに頭に浮かぶ。
そして今は、私の隣で小一の娘がCanonのカメラを抱えている。出来上がった料理を写真に撮ってくれるというのでお願いした。
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3. もう買わなくていいじゃん
お店で食べるよだれ鶏は、冷菜なのでよく冷えている。
あったかいままで頂くのは、冷やす時間がない”おうちよだれ鶏”ならでは。あったかよだれ鶏はこれまたおいしくて、白ごはんのおかずになるという発見があった。
よだれ鶏大好きの夫も
「もう買わなくていいじゃん」
なんてご機嫌で食べすすむ。
夫のためにつくったよだれ鶏、喜んでもらえてわたしも大満足。
誰よりもおいしいおいしいと言いながらビール片手に食べていたら、おねむ限界の娘から一緒にお布団に行って欲しいと懇願され、仕方なくもぐもぐしながらお布団まで同行する。
布団の中で歯に詰まった花椒を見つけたので噛んでみると、いい具合にビリビリと痺れた。
(もうちょっと食べたかったな)
なんて、よだれ鶏の余韻に浸っていると、遅れて食べ始めた夫の食事が終わった音がした。
ガチャガチャと食器を下げている。
(洗い物しないと。)
あったまった布団を抜け出す瞬間はなぜこんなにもつらいのか。このまま寝たふりをするには時間が早すぎるので、渋々キッチンに戻った。
そしたらよ?!
肉だけ食べて残ったのか、たたききゅうりが、1本弱分くらいシンクの水切りカゴに廃棄されているではないの。
なんでーなんでよー。
この大きめのきゅうりをボリボリと、ソースに絡めて食べるのが好きなのに。
余ったらしみしみのきゅうりを明日の昼ごはんにするの、楽しみにしてたのに。
きゅうりが特売の店まで、わざわざ行って買ったきゅうりなのに。
きゅうりを何やと思ってるんやー!飾りじゃないで!
喫茶店のパセリじゃないんやで!
怒りともったいなさと悲しみに襲われました。
夫よ。野菜を食べ物と認識して。たのむわ。
3. 昔取った杵柄ってやつ
2品目はキンパ。
よだれ鶏はおかずにならないとおもっていたから、ごはんのかわりにキンパを用意した。中国と韓国の大満足コラボだ。
野菜を食べない夫も、キンパにして巻いちゃえば食べてくれる。お肉は何でもいい。”わが家は焼肉屋さん”で甘辛く炒めれば何だっていい。
お肉、ナムル、キムチにたくあんを巻いただけのお手軽キンパのできあがり。
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巻き寿司の巻き方は、高校生の時にお寿司屋さんのアルバイトで教えてもらった。
もう30年近く前のことでも、一度習得したものは忘れないもの。
大それたものではないけれど、これもひとつ、昔取った杵柄というやつ。
アルバイトはいろんなものを経験した。お寿司屋さん、居酒屋のホール、家庭教師、老舗ホテルの結婚披露宴とかの宴会スタッフ。あと時給の高いコンパニオンも1回やったな。
お寿司屋さんのアルバイトは暇な販売員だったけど、厨房も手伝わせてもらえた。
包丁の使い方から魚や野菜の下処理、巻き寿司の巻き方まで、基本的なことは教えてくれる、かなりいいアルバイトだった。
あの頃のわたしにこっそり提案してみたい。厨房を手伝わせてもらえるアルバイトを探してみたら?って。パン屋さんにケーキ屋さん、居酒屋やレストランもいいな。なんなら今からでも、やってみたい。厨房ができるアルバイト。
購入した調味料は、おいしかったのでブログにまとめました⇩