#1 チームラボ・ボーダレスで目指したこれからの顧客体験 by チームラボ代表 猪子さん ✖️ 森ビル室長 杉山さん
#CXDIVE
※2018/09/04に開催された、CXDIVEレポの第1弾です。
※メモ書き含めなのであとで編集する可能性があります!
もくじ
1. 森ビルさんから、施設とプロジェクトについて
1-1. 施設について
1-2. 目指した顧客体験
1-3. 森ビルの想い
2. 猪子さんから、ボーダレスな世界の表現について
3. 質問タイム
1. 森ビルさんから、施設とプロジェクトについて
今年オープンしたお台場の施設『チームラボ・ボーダレス』。
森ビルさんとチームラボでの共同開発となっています。
CXDIVEの幕開けとして、まずは森ビル杉山さんがお話を聞かせてくれました。
1-1. 施設について
『チームラボ・ボーダレス』は、迷路のような空間で作品を発見していく施設になっています。
子供の教育的要素や身体を動かす内容も詰まっています。
トランポリンがあったり、アート空間に没入する作りだったり、とにかく楽しそうです!
1-2. 目指した顧客体験
「Webでは体験できない、身体を使った顧客体験をしてほしかった」と語る杉山さん。
コンセプトは「さまよい、探索し、発見する」。普通ではネガティブな印象になりやすいものを、別の面から捉えることでポジティブな体験へ変換しています。
チームラボ・ボーダレスで、ネガティブ要素になりえるポイント
・順路もなく地図もない
・入り口を潜ると、いきなり道が3又に別れる
・どこへ向かっていくかわからない
・自分の目当ての作品にたどり着けない
一方、マインドセットによってポジティブに変換するとこうなる
・作品を見付け出し楽しみ、喜びへ
・不安や不便さを新しいチャレンジと捉える
・ここへ来ることでしか経験できない体験を提供する
・自分が作品の一部になる
確かに、ただそこにあるだけの事象って本来はニュートラルなのに、捉え方によって良いことにも嫌なことにもなりますよね。
1-3. 森ビルの想い
森ビルの目指すところに「東京を世界一の都市にしたい」というのがあります。そのためには、文化・芸術があることが大切で、日本のサブカルも含めて発信できるデジタルアートの拠点も作ろう、ということになったそうです。
しかし都内の不動産デベロッパーは競争が激しいです。そこで、差別化も含めて、「より身体的な価値(リアルでの体験)を提供すること」と
「デベロッパーは”場”を持っている立場として、自ら場を活用しプロデュースしていくこと」が大切だと考えました。
2. 猪子さんから、ボーダレスな世界の表現について
猪子さんはチームラボの代表として2001年からこのようなデジタルアートに取り組んできたそう。目指していたのは、「作品そのものの境界がなくて、全てが繋がってるもの」。
世界もそうですよね。本当は空間が連なってるだけなのに、都市や国にはまるで境界があるみたいで、もともとそれがそこにあったよう。一方、森は境界がなく、すべてが繋がっている感覚が得られます。
昔からチームラボはそうやってボーダーのないもの作りに取り組んできたけれど、小さい中でやってしまうと境界が見えてしまう(別の先品として認知されてしまう)のが課題だったそうです。
どちらかというと、境界のない世界を作りたいと思ったのが最初で、施設を作るというのは後からついてきたようです。
さらに、この施設で実現したボーダレスな表現について、猪子さん自身がいくつか紹介をしてくださいました。
違う作品の中に他の作品が入ってくる、群の作品。
カラスという作品があるんですが、こちらはもともと空間で上映する作品だでした。しかし、チームラボボーダレスでは、カラスの群が飛び出して行って他の作品に入っていきます(乱入?)。
「このムーンライトの部屋にカラスが入ってくんだけど、心の目でみないとわからないかも(笑)」(照明を使った作品のようなので、表現難しそう)
「あとは、作品同士がコミュニケーションとる。入ってこないで、ってなったら他のとこに行ったり、逆に先にいた作品を追い出したりする。」
これも面白いですね。まるでそれぞれが生き物のようです。
また、蝶々が無数に飛んでいる作品があるのですが、この蝶々たちはお客さんの体に蛹(さなぎ)がついて生まれるか、自分で絵を描いて生まれるかの2択なんだそうです。そして会場には毎日たくさんのお客様がくるので、蝶々は増え続けます。”蝶が生まれつづけて、永遠にコミュニケーションをとり続ける。お互いが影響しあっている世界”になっているそう。まるでリアルみたいですね。バラフライエフェクトを思い出しました。
以下、猪子さんのお話を抜粋。
「テレビで見る都市はほんとは繋がってるのに、全然別の世界にみえた。
それってレンズのせいかもと思っている。
自分の身体で感じることによって、その感覚が取りはらえるのではないかと感じた。境界があいまいになるような世界。
自分もそうなんだけど、他者も没入して自分も没入して、影響しあってる空間にすることで、他人との繋がりも感じられるようにしたかった。
エンターテイメントとよばれるものはわりと固定されている。こういうイベントもそうだし、映画とかもそう(基本はその場から動けない)。
また、時間の流れを感じさせるような、刻々と変化していく空間。花や景色など、季節や時間の流れのある空間を作りたかった。
アニメなんかが悪いわけじゃないけど、自分の意思を捨てて、身体もすてて、主人公に完全移入する物語みたいなものとは違って、自分は世界の一部だし、変化させることもできるんだと感じて欲しい。」
たしかにレンズの向こう側の世界って、どこか客観的ですよね。
また出来上がってしまった作品では、自分が影響できないということも事実。
自分が影響できて、しかもそれが残り続ける(蝶々)、そんな作品を体験しに行きたくなりました。
質問タイム
どういうきっかけで森ビルとチームラボはタッグを組んだのか?
杉山さん曰く、前述の森ビルの想いもあり、デベロッパーとして施設自体をプロデュースするという取り組みに至ったため。
ネガティブな顧客体験をポジティブに変えるという発想はどこから?
猪子さん
「関係者を招いて先行体験を実施したら、クレームだらけだった。友達と見たものが違う!とか、迷う!とか(笑)。
自分としては、作りたいものをつくってみたら不便だって言われた。
『いやいや、これはね…』って上記のコンセプトっぽいことを言ったらなんか納得してくれたみたい。」(会場笑)
猪子さんの反応をみると、実は後付け要素なのかも…?
さいごに
都市開発的な側面の森ビルさんのお話も、表現したいものを作ったアート的側面のチームラボさんのお話も、とても面白かったです。
蝶々を生み出しに、ちょっとお台場行って来ます!
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