意外と知らないアメリカでの地震
実のところ、日本に住んでると日本と中国、台湾、トルコや中東あたりの地震についてニュースがあったりしますが、今日、珍しくアメリカのカリフォルニア西部で大地震が発生しました。
今日は、調べた中でアメリカの地震対策ってどんな感じなの?という話をしていきたいなと思います。
「Drop(低く)」
「Cover(頭を守り)」
「Hold on(動かない)」
アメリカではこのように地震時の行動をまとめます。
日本でも小学生の頃から、似たような訓練を受けるかと思います。正直、「おかしも」よりも大切です。
耐震基準
ただ、アメリカだと州によって対策には違いがあるようです。
その代表例が「耐震基準」。
カリフォルニアやアラスカでは、地震に耐えられる建築基準が厳密に策定されています。これらの基準は、建物やインフラの安全性を高め、被害を最小限に抑えるための重要な取り組みです。
アメリカでは、IBC(International Building Code)が全国的な建築基準とされています。この基準には耐震設計が含まれており、州や自治体がこれをローカルルールとして調整しています。
IBC は、建築物の設計や改修、安全性などに関する包括的な国際基準です。国際建築基準協会(ICC:International Code Council)によって策定され、アメリカやカナダ、中南米などをはじめとする多くの国や地域で採用されています。
ただし、日本はIBCに一部影響(外資系として各国に店舗や支社を持とうとする場合や国際コンペの出展など)を受けているものの、独自のローカル基準を設定しています。
日本がIBCを採用しない理由は明白だと思います。日本は、地震が頻発する特殊な地理条件を持つため、IBCの包括的基準を導入するよりも、日本独自の地震対策を優先する方が効果的です。日本の建築基準法は国内の法律や規制に密接に結びついているため、IBCを直接採用すると制度間で矛盾が生じる可能性もあります。
日本が異常なほどの地震大国だからであるため、IBCに問題があるというわけではありません。
カリフォルニア州の特例
カリフォルニア州はIBCを参考に、「地震建築基準法(California Building Standards Code)」という国内でも厳格な建築基準を設定しているようです。
カリフォルニア州はアメリカ国内でも一番の地震州であり、その規制は厳格です。州の西部にはサンアンドレアス断層とよばれる太平洋プレートと北アメリカプレートの境界に位置する地震源があります。
この断層が原因で、1906年のサンフランシスコ地震や1989年のロマプリータ地震が発生しました。
サンフランシスコやロサンゼルスなど、軟弱地盤の地域では地盤調査が必須です。地震時に液状化現象が発生する可能性があるため、地盤改良や杭打ちなどが求められます。
カリフォルニア州の歴史で、最大だった地震は二度。いずれもマグニチュード7.9を記録したようです。
1857年には「南カリフォルニア最後の大震災」とされるフォートテホン大地震が発生しました。当時はゴーマンにある日干しレンガ造りの家屋が倒壊して少なくとも1人が死亡し、強い揺れが約1~3分間感じられたとの報告があったようです。
1906年のサンフランシスコ地震では、カリフォルニア史上最も壊滅的な死者を出したと言われています。およそ3000人の人々が亡くなり、市内全域で火災や家屋の倒壊がありました。この大地震は、東はネバダ州西部、北はオレゴン州北部の一部まで発生しました。
マグニチュード7.0以上で、被害を出した地震はこれまでに12回発生していた。
しかし、アメリカの大地震はサンフランシスコ地震を除けば、死者が少ないことも特徴です(そうはいっても、2-40名ほど出るが、日本と比較すると少ないようにも思える)。
この原因は様々でありますが、アメリカの活断層の多くが都市部を直接通っていないことも挙げられます。つまり、震源地が都市部から離れていることも多いのです。また、東日本大震災での死者は多くの場合津波が原因でしたが、アメリカの地震多発地域の多くは内陸部や比較的浅い海域に位置しているため、日本のように巨大津波が頻発する条件はありません。また、人口がそれほど密集していないことも理由として挙げられるでしょう。
こうした要因から、アメリカの場合は活断層に生活圏を近づけず、独自の厳格な建築基準に従うことで、地震災害を乗り越えてきたという歴史があるようです。
アメリカの防災対策機関
アメリカでハリケーンや地震災害が発生するとよく目にする機関が「FEMA(Federal Emergency Management Agency)」であり、地震が発生するとよく目にするのが「USGS(United States Geological Survey)」です。
まず、FEMAは、被災者支援、緊急対応の調整、緊急資金を提供する「アメリカ連邦緊急事態管理庁」のことです。主に「物資支援」、「州や自治体、民間団体の調整指揮」、「復興支援」、「防災教育」を担当する機関です。
日本だと、防災政策の策定や関連省庁と自治体との連携指揮を担当する「内閣府防災担当」、防災訓練を担当する「消防庁」がこれに該当します。
次に、USGSは、地震の監視とデータ収集、早期警報システム「ShakeAlert」の運用を行うアメリカ地質調査所です。
日本で言うところの「気象庁」や「防災科学技術研究所(NIED: National Research Institute for Earth Science and Disaster Resilience)」にあたる機関です。
将来のリスク「The Big One」
アメリカでは、サンアンドレアス断層沿いでマグニチュード8クラスの巨大地震が発生する可能性が指摘されていました。今回の地震がその「BIG ONE」であるのかは、専門家の見解が待たれますが、科学者たちは、今後「30年以内」に「カリフォルニア州南部」で大地震が発生する確率を「約50-60%」と予測しています。
日本においても「南海トラフ巨大地震」と「首都直下型地震」への警戒が呼びかけられていますが、太平洋を越えた隣人であるアメリカにも、こうした地震という悩みがあるということです。
皆さんも、是非、災害に備えましょう。