思いつき短編:貼り付いている
私の住んでいるアパートの壁に汚れがある。
目を壁に近づけてみると、土埃のような汚れなのだ。
入居したての頃は幾度となく掃除しようと挑戦したが、仕事の忙しさで休みの日はダラダラと過ごしてしまっていた。
金曜日の仕事終わりに同僚と夜中まではしご酒をして、土曜日のお昼頃に目を覚まし二日酔いと戦う。
夜までには体調が回復し、夜中に1日分の夕飯を食べる。
休みの前の日から最中はこんなルーティーンだ。
で、日曜日に平日のルーティーンへ戻す努力をしてブルーマンデイを迎えるのだ。
どの職種でも月曜日って辛いよなぁ。
まず月曜日を喜ぶ人間はどのくらいいるのだろうか。
まぁそんなことはさておき、そんな私に転機が起きた。
金曜日は同僚と飲みに行けなくて早めの帰宅となった。
たまにはと思い、夕食を作るために買い物に行って料理をした。
ひとしきりやることを終わらせたあと、ふと壁の汚れが気になった。
ずーっと掃除をしていないので汚れの範囲が広がっていた。
どことなく人の形にも見えなくもなかったのでいっそのこと部屋の掃除しようとおもいたった。
道具と万能洗剤は買ってきたので明日、大掃除だ!!
ーーーー早朝。
早速、掃除の準備にかかる。
まだ、薄暗かったので部屋の明かりを付けて開始。
吊り下げ式の電気の傘をモコモコしたシートで取り除く。
茶色くなった小さな虫と埃で汚れがとんでもないことになっている。
その後に万能洗剤を含ませた布で綺麗に拭き取った。
そこから徐々に下へ掃除を進ませていくーーーーーーーーー。
最後に壁の掃除だ。
なぜだか壁に何かをしようとすると、ふと、忘れてしまう。
でも今日は、そうは問屋が卸さない。
時刻は午前10時、起きてから4時間くらい作業をしていたらしい。
いつの間にかカーテンの隙間から陽が差し込んでいる。
ベランダのカーテンを思いっきり開けた。
朝の陽射しを受けながら、私は思考が停止してしまう。
その状況を理解するのに1分はかかった。
何せ私の目の前の窓ガラスに、女性が貼り付いていた。
私はよろめいて尻餅をついてしまう。
全身が、今、水から出てきたかのようにびしょ濡れで、髪は女性の腰のあたりまで長く窓に貼り付いている。
前髪の隙間から白く濁った2つの目が、こちらを見て、ありったけ大きな口を開いている。
茶色い不揃いの欠けた歯から細く長い舌が何かを探しているかのように、窓を這わせていた。
遠くから見ると、まるでヤモリが家の壁に張り付いているかのようだ。
ふと、その格好に見覚えがある。
いつも見ていた気がする。
なぜだ、どこで?………。
………………思い出した、壁だ。
しかも、汚れの形と今、目の前にいる女性の格好が同じだ。
こいつは私が入居した頃からこの窓に貼り付いていた。
この事実に耐えきれなくて、その場で気絶した。
後日、新しいアパートへと入居した。
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