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【自作小説】弐話 夢の中の少女

 僕は夢を見ていた。 あの子が出てくる夢。 夢の中で彼女はこう言っていた。 『もうあそこには行ってはいけない…』と僕は何故?と思いつつも彼女を見つめていた。 僕が一步を踏み出そうとすると『来ないで!!!!』と耳を貫くほどの大きな声で叫んだ。 僕は踏み出そうとしていた足を止めた。 あのときはあんなに優しく微笑んでくれたのにと思いながらまた彼女を見つめていた。 そして彼女が何か言おうとした時、僕は夢から覚めた。 あれは何だったんだろうか…。 僕は悩んだ。 (でも考えてもどうにもなんないしもう一度あそこに行ってみよう)そう思い僕は階段を降りた。

 朝食を食べているとき母に「顔色が悪いけど大丈夫?食欲もなさそうだし…」と心配されてしまった。 僕は(まずい!)と思って「大丈夫だよ、ちょっと変な夢を見ちゃっただけ」と言い朝食を食べ進めた。
 僕は(やっぱり母さんは優しいな)と思い朝食を食べ終え、自分の部屋に向かった。 着替えを終え、あの場所に行ってみることにした。 あの場所につくと彼女はおらず、ただ奇麗な桜が咲き誇っていた。 僕は(ここは何かあるのかな?)と思い辺りを探索することにした。 探索をしていると一枚の紙切れが落ちていた。 そこには[コノ地ニ  
 ノ  、現ルトキ、   ノ  愛スモノ現レリ
フタリ   トキ、コノ地ノ門開カン ソノフタリ
    トキ、 ニ モタラサン]と記されていた。 「何これ、所々読めないところがある…家で調べてみよ」と僕は言いその場を後にしようとしたが
、「何してるの?」と聞いたことがある声が聞こえた。 振り向くと彼女がいた。 「何もないよ」と僕は言い紙切れをカバンに隠した。 「僕はもう帰るよ」と言ったが彼女は「ま…待って!もう少し一緒にいよ?」と言ってきた。 僕は「わ、分かった少しだけね」と彼女に言うと彼女は「やった、ありがとう」と笑顔で喜んだ。 (やっぱり可愛い)僕はつい彼女を見るとそう想ってしまう。 彼女は色々話してくれた、家の事、家の場所、学校での事や好きな事、嫌いな事など沢山話してくれた。 僕は彼女が話す事全て興味深く、彼女といると楽しかった。
 
 でももう帰ろうとすると彼女は少し肩を落としたが僕が「明日もここで一緒に話そ?」というと彼女の顔がパッと明るくなり「うん!また明日!」と言って笑顔で手を振ってくれた。 僕はあの子との距離が縮まった気がしてとても嬉しかった。 


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