直感の旅と、必然の出会い。
わたしが旅に出るのは、だいたい直感。
オーストラリアのワーキングホリデーへ行くことを決めたときも、直感だった。
「オーストラリアの景色をこの目で見たい」という幼い頃からの夢をもったわたしは、英語もろくに話せないくせにオーストラリアへと飛び立った。
オーストラリアの景色をひと目見たかっただけのわたしは、みんなの英語での会話についていけなかった。
内にこもって誰とも会話をしようとしないわたしが、そこにはいた。
英語を理解できない。英語を話せない。
そんな思いが大きすぎて、話している相手に寄り添うことをしなかったのだ。
自分から寄り添わないのだから、もちろん友だちなんてできない。
「なんのために、ここに来たんだっけ…」
そんなふうに思うこともあったけれど、なんとなく、自分で決めたことを自分でやりきらずに日本に帰るのはイヤだった。
そんなときに、わたしは出会ったのだ。
"ねえ、ちょっと自分の殻を破って外に飛び出してみたら?"
それは、これまでに出会ったことがあるような、ないような、そんな雰囲気の女の子。
"一緒に、みんなの輪のなかに入ってみない?"
"大丈夫、みんなきっと歓迎してくれるよ。"
その子の言うとおりだった。
みんなはわたしを歓迎してくれたし、英語がわからなくたって表情やボディランゲージをつかってみんなとの会話を楽しむことができた。
あれ、なんで今まで、飛び込んでいけなかったんだろう…。
そう思ったとき、その子はもう、いなかった。
わたしが出会ったのは、きっと「憧れていたわたし自身」。
わたし自身がどう在りたいかはっきりと思い描けたことで、憧れていた姿の見えないわたしの声が聞こえたんだろう。
これからもわたしは、直感で旅を続けるだろう。
またきっと出会うであろう、憧れているわたし自身の声を聞き逃さないよう、耳を澄ませながら。
with LOVE, nana
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