クラウド型ECサイトとは|ASP・ECパッケージとの違いやおすすめサービスを紹介
ECサイトの構築手段はいくつかあり、その中でクラウド型ECサイトが近年、注目を集めています。
クラウド型ECサイトは、インターネットを通じてサービスを提供するため、初期投資や管理コストを抑えつつ、スケーラビリティや柔軟性に優れた特徴があります。
従来のASPやECパッケージとの違いを理解し、クラウド型のメリットや注意点を押さえることは重要です。
本記事では、クラウド型ECサイトの基本から、おすすめのカートシステムまでを解説します。
クラウド型ECサイトとは
クラウド型ECサイトとは、インターネット上にあるプラットフォームを用意てECサイト構築ができるサービスです。SaaS(Software as a Service)と呼ばれる提供形態に分類されます。
自社ECを立ち上げるには、商品・在庫の管理機能、コンテンツの編集機能、決済機能などのシステムを運用するためのプラットフォームがなくてはいけません。
クラウド型ECサイトは自社のサーバーにインストールが必要がなく、クラウド環境上でECサイトを運営できます。
クラウドECは長期的な視点で見たときのコストパフォーマンスがよく、かつ機能性やカスタマイズの自由度も比較的高いサービスです。業種を問わず先行事例も豊富にあり、条件にさえ合えば多くの企業・ショップにおすすめといえます。
ASP・ECパッケージとの違い
ECサイト構築方法の中でもASP・ECパッケージとクラウドECは特徴の一部が似ており、よく混同されています。そこで、ここでは3つの構築方法の違いを紹介します。
クラウド型ECサイト
ASP型ECサイト
ASP型ECサイトは、クラウドという概念だけでいうとクラウド型ECサイトとほぼ同じタイプです。ASPは初期費用・月額費用が非常に安価ということがメリットとして挙げられます。しかし、クラウドECとASPでは機能性に大きく差があります。
拡張性がない(独自のECサイトができない)
外部システムとの連携ができない
拡張性がないということに関しては、販売するフロント機能から管理側のバックエンド機能まで、ASP型ECシステムを提供する会社によってはやれることが限られてきます。
売上が拡大するにつれ、お客様へのサービス向上をするために必要な機能の追加や、受注書影をさばくための管理機能を拡張していきたいと思うが、そういった機能の拡張が難しいです。
また、外部システムとの連携ができないことに関しては、店舗や基幹システムとのデータ連携を始め、オムニチャネルを行うにあたっては必須のカスタマイズになります。 要するにカスタマイズができないという点がASP型ECシステムの弱点です。
パッケージ型ECサイト
パッケージ型ECサイトはカスタマイズが可能なECシステムです。国内の大規模ECサイト構築においてはECパッケージで構築されていることが一般的です。クラウド型ECサイトはASPではなくこちらのパッケージに該当することが多いですが、ECパッケージとの違いとして以下が挙げられます。
ECシステムの導入後、システムが古くなっていく
構築費用がASPに比べて割高
パッケージ型ECサイトはASPのように常に最新のシステムに自動アップデートがされません。システムを事業者のためだけに切り出して構築をするため、共通のプラットフォームではなくなってしまい自動アップデートができないという点がECパッケージの弱点です。
拡張性が非常に高く、基本的にはどんなカスタマイズでもできるようになりますが、独自のカスタマイズが可能なプラットフォームとなるため、費用はASPに比べて割高になります。
クラウド型ECサイト構築のメリット
クラウド型ECサイト構築のメリットは以下の通りです。
低コストでの導入
クラウド型ECサイトは、サーバーやインフラの設置が不要で、初期投資を大幅に抑えられます。多くの場合、月額料金制や売上に応じた手数料が設定されており、必要な分だけコストがかかります。
スケーラビリティ
販売規模に応じて、サイトのパフォーマンスを簡単に拡張できるため、ビジネスの成長に合わせて柔軟に対応可能です。売上の増加に合わせて、負荷に強いサーバーリソースを自動的に追加できる点が大きな魅力です。
運営の簡便さ
インフラ管理やセキュリティ対策はクラウドサービスプロバイダーが担うため、企業側は商品管理やマーケティングに集中できます。専門的な技術知識がなくても、簡単にオンラインショップを運営できます。
高い可用性と信頼性
クラウド型サービスは、多くのプロバイダーが高可用性を提供しており、障害発生時にも自動的にバックアップや復旧が行われるため、システムダウンのリスクが低減します。
セキュリティ対策の充実
クラウドプロバイダーは、最新のセキュリティ対策を講じており、データ保護や不正アクセス対策が強化されています。これにより、企業は安心して運営を行うことができます。
クラウド型ECサイト構築の注意点
クラウド型ECサイト構築の際の注意点は以下の通りです。
カスタマイズの制限
クラウド型ECサイトでは、プラットフォームが提供するテンプレートや機能に基づいてサイトを構築するため、自由なカスタマイズが難しい場合があります。独自のデザインや機能を追加したい場合、制限があることを考慮し、必要な機能が提供されているか確認することが重要です。
競合との差別化の難しさ
クラウド型ECサイトは、多くの他のショップも同じプラットフォームを利用しているため、独自性を出すことが難しくなる場合があります。特に、大手のECモールに依存している場合、ブランドの認知度や差別化が困難になることがあります。
プラットフォーム依存
クラウド型サービスはプロバイダーに依存するため、サービスの変更や価格の引き上げ、提供停止などのリスクがあります。サービス内容が変更されたり、突発的な障害が発生したりする可能性もあるため、契約条件やサポート体制をよく確認する必要があります。
データの所有権と管理
クラウド型ECサイトでは、顧客データや販売データがプロバイダー側に保管されるため、データの所有権や管理について慎重に検討する必要があります。データが第三者に不正アクセスされるリスクを避けるため、セキュリティ対策がどれだけ強化されているかも重要です。
ランニングコストの継続的な発生
クラウド型ECサイトは月額費用や売上に応じた手数料が発生するため、長期的に見るとコストが積み重なることがあります。利益率や予算に合わせて、費用対効果をしっかり評価することが求められます。
おすすめクラウド型ECカートシステム
メルカート
ECパッケージの大手ecbeingが2017年、新たにクラウド型サービスとしてリリースしたのがメルカートです。参入してまだ数年ですが、すでに多くの導入実績をもっています。
ベースとなっているのがecbeingであるため、標準機能の充実度が高いです。運営していく上で売上アップに貢献するフロント・バックオフィス機能も豊富にそろっており、また手厚いバックアップやサポートも受けられます。
makeshopエンタープライズ
人気ASPサービスのmakeshopをベースとしたクラウドECです。基本機能はmakeshop、そこに利用者がより理想のサイトに近づけるために、カスタマイズを加えていく形でネットショップを作成します。
外部サービスとの連携性も申し分なし。カスタマイズできる幅も広く、さまざまな要件に対応します。
なお、月額利用料が固定である点も他社サービスと比較した際の特徴のひとつです。
まとめ
クラウド型ECサイトは、低コストでスケーラブルな運営が可能であり、運営の手間を削減できる利点があります。
しかし、カスタマイズ制限や他の店舗との差別化が難しいこと、プラットフォーム依存やデータ管理のリスクも伴います。さらに、ランニングコストの継続的な発生を考慮する必要があります。
これらの注意点を理解し、企業のニーズに最適なサービスを選ぶことが、クラウド型ECサイトの成功に繋がります。