サブスクリプション(サブスク)とは|意味やメリット、市場規模についてわかりやすく解説
近年、サブスクリプションサービス(サブスク)は私たちの生活に欠かせない存在となり、多くの分野で利用されています。
映画や音楽、書籍、食品、さらにはソフトウェアまで、月額や年額で定額支払いを行い、サービスを利用するスタイルは、便利で手軽な選択肢として広がっています。
この記事では、サブスクリプションの基本的な概念から、実際のサービス例、そして始め方について詳しく解説します。
サブスクリプション(サブスク)とは
サブスクリプション(サブスク)とは、一定の期間ごとに定額料金を支払い、サービスや商品を継続的に利用する仕組みのことです。
最も一般的な例としては、音楽や映画のストリーミングサービス、オンラインソフトウェア、定期配送される食品や化粧品などがあります。サブスクリプションの特徴は、消費者が一度契約すれば、その期間中に何度でもサービスを利用できる点です。
これにより、個別に購入するよりもコストパフォーマンスが高く、便利で手軽な利用が可能になります。また、提供側にとっても安定した収益源を確保できるため、両者にとってメリットが多い仕組みです。
また、サブスクリプション(Subscription)は「定期購読」や「定額制」、「会費」などという英語の意味があります。似た言葉にレンタルやリースがありますが、サブスクとレンタル、リースとの違いはサービスの内容です。
サブスクは定額料金の中で一定期間、自由にサービスを利用できるのに対し、レンタルやリースは料金を払って特定のものを一定期間借りる仕組みになります。
そのため、サブスクは気になったものを手軽に利用したいというニーズに向いているサービスといえるでしょう。
サブスクリプション(サブスク)の市場規模
矢野経済研究所が調査結果を基に2020年度のサブスクリプションサービスの市場規模から、2024年度の予測までをグラフ化した表になります。
この表から分かる通り、サブスクリプションサービス国内事情規模は年々右肩上がりで上昇し、今後も上昇していくことが予測されています。
2020年度までは8692億円4400万円だったのに対し、2024年の予測数値では1兆2422億4000万円になるとされており、たった4年間で約43%成長することが予測されています。
また、ナイル株式会社の調査によると、調査対象の50.6%がサブスクリプション型サービスを経験したことがあると答えていました。
年代別で見てみると、経験割合が最も高いのが20代の62.4%で、10代~50代はいずれも40%の割合が利用経験があると答えていました。
さらに、利用経験のあるサービスを調査したところ、最も多いのは「動画配信(1,712人)」、次いで「音楽配信(1,155人)」、「電子書籍(511人)」でした。全体の7割が動画配信サービスを利用したことがあると結果が出ています。
現在も様々なサブスクリプション型のサービスも出て、利用者も増加しているため、今後も市場規模は大きくなることは間違いないでしょう。
サブスクリプションのメリット
サブスクリプション(サブスク)のメリットは、消費者にとってもサービス提供者にとっても多くの利点があります。
コストパフォーマンスの向上
定額制でサービスを利用できるため、個別に購入するよりもコストを抑えられる場合が多いです。
例えば、音楽や映画、書籍のストリーミングサービスでは、月額料金を支払うことで、数多くのコンテンツにアクセスできるため、個別に購入するよりも経済的にお得です。
利便性の向上
サブスクリプションは一度契約すれば、定期的に自動で更新されるため、再度購入手続きをする手間が省けます。
例えば、定期的に届けられる食品や日用品、ソフトウェアなどでは、必要なものが自動的に届き、生活が非常に便利になります。
サービスの利用し放題
サブスクリプションサービスによっては、契約した期間中は何度でもサービスを利用できるため、利用頻度が高い場合に特にお得です。
例えば、映画や音楽のストリーミングサービスでは、月額料金で視聴し放題なので、様々なコンテンツを自由に楽しめます。
アクセスできる選択肢の広がり
定額制で複数のサービスを利用できる場合、消費者にとって選択肢が豊富になります。
例えば、サブスクリプションによって、複数の書籍や映画、音楽など、普段はアクセスできない多様なコンテンツを手軽に試すことができ、ユーザーの選択肢が広がります。
最新のコンテンツやアップデートの提供
サブスクリプション型のサービスは、常に新しいコンテンツや機能を提供することが一般的です。
例えば、ソフトウェアの定期的なアップデートや新しい映画、音楽の追加などが行われ、利用者は常に最新の情報やサービスを享受できます。
サービス提供者の安定した収益
サブスクリプション型モデルでは、利用者が継続的に料金を支払うため、サービス提供者にとって安定した収益源を確保できます。これにより、提供者はサービスの改善や新しいコンテンツの追加、品質の向上に投資しやすくなります。
柔軟な契約期間とプラン
多くのサブスクリプションサービスでは、ユーザーのニーズに合わせて、月額や年額など、柔軟な契約期間やプランが選べるため、利用者は自分に合ったプランを選択できます。また、契約を簡単に変更したり、解約できることが一般的です。
これらのメリットにより、サブスクリプションは、消費者にとって便利でお得な選択肢となり、多くの分野で普及しています。
サブスクリプションのデメリット
サブスクリプション(サブスク)には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
長期的なコストの積み重ね
サブスクリプションは月額や年額で支払いが続くため、長期間利用すると総額が予想以上に高くなることがあります。複数のサブスクリプションサービスを利用していると、月々の支出が積み重なり、気づかないうちに大きな額になることもあります。
また、定額料金を支払っていても、必ずしも毎月サービスを利用するわけではありません。音楽や映画のサブスクリプションサービスを契約していても、利用しない月が続くことがありますが、それでも料金が発生してしまうため、「無駄に支払っている」と感じることがあります。
解約が面倒な場合がある
サブスクリプションのサービスによっては、解約手続きが複雑であったり、手数料がかかる場合があります。特に、自動更新設定にしている場合、解約し忘れると料金が継続的に請求されることもあります。
利用者が解約方法をしっかり把握していないと、不要な支払いを続けることになりかねません。
利用するコンテンツの制限
サブスクリプションサービスには、利用できるコンテンツに制限がある場合もあります。たとえば、映画や音楽のストリーミングサービスでは、契約サービス・プランによって視聴できるコンテンツに違いがあったり、特定の地域でのみ利用できるサービスもあります。
希望するコンテンツが含まれていない場合、追加料金を支払う必要が生じることもあります。
サービス契約内容の変更や終了
サブスクリプションサービスは、提供者の都合で内容が変更されることがあります。サービスの機能やコンテンツが削除されたり、価格が引き上げられたりすることがあり、ユーザーがその変更に満足しない場合があります。
また、サービス自体が突然終了することもあり、その場合は新しいサービスを探す必要が生じます。
依存性のリスク
サブスクリプションサービスに依存してしまうと、そのサービスが提供するコンテンツや機能に依存することになります。
例えば、特定のソフトウェアをサブスクで使っていた場合、サポートや更新が停止や価格が高騰など、突然利用できなくなるリスクがあります。
特にビジネス用途で利用している場合に問題となることがあります。
これらのデメリットを避けるためには、利用するサブスクリプションサービスを定期的に見直し、自分の利用状況に合ったサービスに絞ることが重要です。
また、解約手続きを忘れずに行い、支払いが過剰にならないよう注意することも大切です。
サブスクリプションのサービス例
サブスクリプションサービスはさまざまな分野で提供されており、日常生活のあらゆる場面に便利さと楽しさをもたらしています。
化粧品
化粧品のサブスクリプションでは、月額料金でスキンケアやメイクアップ製品を定期的に受け取ることができます。
例えば、ビューティボックスのサービスでは、毎月新しい製品を試せる機会を提供しています。これにより、ユーザーは自分に合った化粧品を見つけやすくなり、便利に利用できます。
食品・飲料
食品や飲料のサブスクリプションでは、定期的に新鮮な食材やお菓子、ドリンクが届けられます。
例えば、オイシックスなどのサービスでは、健康的な食材が宅配され、忙しい人々にとっては手軽に料理ができるメリットがあります。また、コーヒーサブスクリプションでは、様々な種類のコーヒー豆が定期的に届くサービスもあります。
洋服
洋服のサブスクリプションサービスでは、月額料金で新しい衣類をレンタルできるサービスが人気です。
例えば、レンタルファッションのサービスでは、季節ごとのファッションアイテムを自宅で試着でき、気に入ったものを購入したり、返却することができます。
家具・家電
家具や家電のサブスクリプションでは、定期的に新しい家具や家電をレンタルすることができます。
例えば、CLAS(クラス)などのサービスでは、必要な家具を月額料金でレンタルでき、引越しや生活の変化に合わせて簡単に家具を変更できます。
本(書籍)
本のサブスクリプションでは、月額料金で多くの書籍を借りたり、読み放題のサービスが提供されます。
例えば、Kindle Unlimitedや楽天マガジンなどでは、ジャンルを問わず数百万冊の本が読み放題となり、読書好きには非常に便利なサービスです。
音楽
音楽のサブスクリプションサービスでは、月額料金で無制限に音楽を楽しむことができます。
例えば、SpotifyやApple Musicなどのサービスでは、好きなアーティストやジャンルの音楽を自由に聴け、広告なしで高音質で楽しめます。
動画
動画のサブスクリプションサービスでは、映画やドラマを定額で視聴できます。
例えば、NetflixやAmazon Prime Video、などが代表的で、豊富なコンテンツをいつでも視聴可能にすることで、ユーザーは好きな時間にエンターテインメントを楽しめます。
車(Car)
車のサブスクリプションサービスでは、月額料金で車を利用できる仕組みです。
例えば、カレコやマツダのカーシェアリングなどのサービスでは、車の購入を避け、必要なときに車を借りることができます。これにより、車の維持費や保険料、税金などを節約できます。
習い事・趣味
習い事や趣味に関連するサブスクリプションサービスでは、定期的にレッスンや教材が提供されます。
例えば、オンライン英会話のサービスやヨガのサブスクリプションなどがあり、いつでも学習を進められることができます。
ソフトウェア
ソフトウェアのサブスクリプションサービスでは、月額や年額でアプリケーションを利用できるサービスがあります。
例えば、Microsoft 365やAdobe Creative Cloudなど、業務やデザイン作業に必須のソフトウェアを定期的に更新し、常に最新バージョンを利用できる点が魅力です。
花(Flower)
花のサブスクリプションサービスでは、定期的に新鮮な花を自宅に届けてもらえます。
例えば、The Bougainvilleaなどでは、毎月異なる花を届けるサービスを提供し、部屋の雰囲気を常に新鮮に保つことができます。
香水
香水のサブスクリプションサービスでは、月額料金で香水を定期的に配送してくれるサービスがあります。
例えば、Scentbirdなどのサービスでは、ユーザーが毎月異なる香水を選べ、気に入ったものを長期間使用することができます。
ホテル
ホテルのサブスクリプションサービスでは、月額料金で特定のホテルグループの宿泊特典を受けることができます。
例えば、One Fine Stayなどでは、高級な一軒家やアパートメントに定期的に滞在できるサービスが提供されています。旅行やビジネスで頻繁に泊まる方に便利です。
サブスクリプションの始め方5ステップ
サブスクリプションサービスを事業者として始める際には、以下の5つのステップを踏んで、顧客に価値を提供し、安定した収益源を確保することが重要です。
STEP1:ターゲット市場とニーズの分析
サブスクリプションサービスを成功させるためには、まずターゲット市場を明確に定め、顧客のニーズを徹底的に分析することが大切です。どの層を対象にするのか(例:若年層、ビジネスマン、高齢者など)、どのようなサービスが求められているのか(例:エンタメ、健康、食品など)をリサーチします。
STEP2:サブスクリプションモデルと価格設定の決定
次に、サブスクリプションサービスの料金体系を決定します。サブスクにはさまざまなモデルがありますので、事業の内容や顧客層に合った形態を選びます。
STEP3:プラットフォームと決済システムの整備
サブスクリプションサービスを提供するためには、安定したプラットフォームと決済システムが不可欠です。
システム構築方法から顧客が簡単に登録・契約・管理できるUI/UX(ユーザーインターフェース)を整えます。サービス内容やプランの説明、FAQなどを分かりやすく掲載します。
また、顧客が安心して定期的に支払いを行えるようにクレジットカード、銀行振込、PayPalなど、複数の支払い方法を用意し、定期課金に対応できる決済システムを導入します。
自動更新機能や、解約時の簡単な手続きも重要です。
STEP4:コンテンツやサービスの提供準備
サブスクリプションの肝となる部分は、提供するコンテンツやサービスの質です。顧客が長期間利用し続けるためには、常に新しい価値を提供し続けることが求められます。
定期的に新しいサービス、商品、コンテンツを追加することで、顧客に新鮮さを提供します。例えば、毎月異なる商品や特典を届けるといった仕組みを考えます。
また、顧客の好みや利用履歴に基づいてサービスをパーソナライズすることで、満足度を向上させましょう。
STEP5:マーケティングと顧客維持施策
サービスを立ち上げた後は、顧客を集め、維持するためのマーケティング活動が不可欠です。
新規顧客を引きつけるために、初回無料や割引キャンペーンを実施することが効果的です。無料トライアルを提供し、サービスの良さを体験してもらうことも重要です。
また、定期的に顧客に対して価値を提供し、解約を防ぐための施策が必要です。例えば、ロイヤルティプログラムや、継続利用者への特典提供、パーソナライズされたメールマーケティングなどがあります。
ソーシャルメディアやインフルエンサーを活用し、ターゲット層にリーチすることで、ブランドの認知度を高めることや、顧客の口コミを活用した信頼獲得も効果的です。
まとめ
サブスクリプションサービスを成功させるためには、まずターゲット市場のニーズを徹底的に分析し、適切な価格設定とサービスモデルを決定することが重要です。
ユーザーにとって使いやすいプラットフォームと決済システムを整備し、魅力的なコンテンツやサービスを定期的に提供する必要もあります。
効果的なマーケティング施策と顧客維持活動を通じて、新規顧客を獲得し、長期的な成長を促進します。これらのステップを順序立てて実行することで、安定した収益を確保できるでしょう。