見出し画像

EC アプリとは|開発方法やメリット・デメリット、導入ポイントを解説

ECアプリは、オンラインでの商品購入を支援する重要なツールとして、ビジネスにおいて欠かせない存在となっています。ユーザーが手軽に商品を探し、注文できる便利なアプリケーションですが、その開発方法やメリット・デメリットは理解しておくべきポイントです。

本記事では、ECアプリの概要から、制作方法、実際の導入事例に至るまで、導入に役立つ情報を詳しく解説します。これからECアプリの導入を検討している方にとって、参考になる内容をお届けします。

ECアプリとは?

ECアプリとは、ECサイトと同じ販売機能を持ったスマートフォンのアプリケーションのことです。現在、多くの企業やブランドがEC販売を進める中で、ユーザビリティの向上や顧客との接点を増やすための施策として、ECサイトのアプリ化が注目されています。

代表的なアプリ機能としては、スマートフォンならではのプッシュ通知や位置情報、カメラ機能などを活用できます。さらに、検索せずにホーム画面から簡単にアクセスできるほか、実店舗では会員カードとして使用できるなど、ECサイト以上にユーザーにとって便利な利用体験が提供されています。

現在、国内のスマホ普及率はかなり高い水準にまで達しており、同時に携帯端末からのEC利用の割合も年々伸びてきています。ECサイトのアプリ対応は、時代の流れに即したものといえるでしょう。

ECアプリの作り方は大きく2種類

ECアプリを制作する方法は、大きく分けて2種類です。

ネイティブアプリ

ネイティブアプリは、特定のプラットフォーム(iOSやAndroidなど)向けに開発されたアプリケーションです。各プラットフォームの開発言語(SwiftやJava/Kotlin)を使用して作成され、端末にインストールされて動作します。

インターネット接続がなくても利用できるオフライン機能や、デバイスのカメラ、GPS、通知機能などのハードウェア機能へのアクセスが可能です。ユーザーにスムーズで最適化された体験を提供するが可能です。

ネイティブアプリの制作方法には、一からアプリを構築する「フルスクラッチ」と、Yappli(ヤプリ)やbetrend(ビートレンド)などの「ASPサービス」を利用する方法の2種類あります。

フルスクラッチは自由度が高い一方、制作期間が長くコストも膨らみやすいのがデメリットです。ASPサービスは比較的安価に導入でき、プッシュ通知などのCRM機能が標準装備されているものの、カスタマイズには限度があることが難点です。

PWA(プログレッシブWebアプリ)

PWA(プログレッシブWebアプリ)は、Web技術(HTML、CSS、JavaScript)を使って開発されるアプリケーションで、ウェブサイトとしても機能しますが、ネイティブアプリのように端末にインストールしてオフラインでも使用できる特徴があります。

PWAは、プッシュ通知やホーム画面への追加、デバイス機能へのアクセスなど、ネイティブアプリに近い体験を提供します。

プラットフォームに依存せず、ユーザーがブラウザを通じてアクセスできるため、開発やアップデートが簡便で、複数のプラットフォームに対応できるのが利点です。

ECアプリのメリット・デメリット

ECアプリには、ユーザー体験や企業運営の効率を向上させるメリットがある一方、いくつかのデメリットも存在します。以下に主なメリットとデメリットを紹介します。

メリット

利便性の向上
ECアプリは、ユーザーがスマートフォンを使って簡単にアクセスできるため、ショッピングが便利になります。ホーム画面からアプリをすぐに開け、検索や注文がスムーズに行えるため、ユーザーの購買意欲を高めやすいです。

プッシュ通知機能
プッシュ通知を利用することで、新商品情報やセール情報、個別のプロモーションなどを直接ユーザーに届けることができます。これにより、ユーザーの再訪問を促進し、売上を向上させることができます。

オフライン機能
一部のECアプリでは、インターネット接続がなくても商品カタログの閲覧や購入履歴の確認が可能です。これにより、ユーザーはどこでもアプリを利用でき、便利さが増します。

ブランドの認知向上
アプリをインストールしたユーザーは、頻繁にアプリを開くことでブランドの認知度が高まります。アプリ内でキャンペーンや新商品を紹介することで、消費者の関心を引きつけることができます。

デメリット

開発コストと時間
ネイティブアプリの場合、プラットフォーム(iOS、Android)ごとに異なるコードを作成し、テストや保守を行う必要があるため、開発コストが高く、時間もかかります。

インストールのハードル
ユーザーがアプリをインストールする必要があるため、アプリをインストールしないユーザーやインストールの過程を面倒に感じるユーザーを避けることがあります。これにより、アプリの利用者数が制限される場合があります。

ストレージの消費
ユーザーがスマートフォンにアプリをインストールすると、端末のストレージ容量を消費します。特にストレージ容量が少ないスマートフォンでは、アプリのインストールを避ける原因となることがあります。

アップデートの負担
アプリのバージョンアップや不具合修正のために、ユーザーにアップデートを促す必要があります。ユーザーがアップデートを怠ると、古いバージョンのアプリを使い続けることになり、機能やセキュリティ面での問題が生じることもあります。

ECアプリの導入事例

以下は、代表的なECアプリの導入事例です。それぞれのアプリがどのように機能し、企業にとってどのような効果を上げているかを紹介します。

Amazon

AmazonのECアプリは、最も広く使用されているオンラインショッピングアプリの一つです。アプリは、簡単な商品検索、ワンクリック購入、プッシュ通知による新商品やセール情報の配信、そして音声検索機能(Amazon Alexa)など、ユーザーにとって便利な機能を提供しています。

Amazonは、アプリを通じて顧客との接点を増やし、リピート購入を促進しています。また、Prime会員向けの特典や配送料無料のサービスを強化し、ユーザーの定着率を高めています。

ニトリ

ニトリのECアプリは、家具やインテリア商品を購入するための便利なツールです。アプリ内では、商品の購入だけでなく、商品を部屋に配置した様子をシミュレーションできる「AR機能」や、実店舗と連携した「店舗検索」など、リアルとデジタルを融合させた機能が提供されています。

さらに、クーポンやセール情報をプッシュ通知で配信するなど、ユーザーにとって利便性の高いサービスが整っています。このアプリにより、オンラインショッピングの利用促進と実店舗との相乗効果を狙っています。

無印良品

無印良品のECアプリは、シンプルで直感的なデザインが特徴です。ユーザーは、商品情報や在庫情報をリアルタイムで確認でき、実店舗での商品の受け取りも可能です。

アプリでは「お気に入り」機能や、「無印良品週間」などの限定セール情報をプッシュ通知で受け取ることができ、ユーザーにとって利用しやすい環境を提供しています。

また、購入履歴やお気に入り商品を簡単にチェックできるため、リピート購入を促進し、効率的なショッピングを実現しています。

ユニクロ

ユニクロのECアプリは、シンプルで使いやすく、商品検索や購入がスムーズに行えるよう設計されています。

アプリ内での「セール情報」や「おすすめ商品」の提案機能に加えて、ユーザーは自分のサイズや好みに合わせた商品の提案を受けることができます。

また、ユニクロアプリは、オンライン購入だけでなく、実店舗での商品受け取りや、在庫確認も可能な機能があり、オンラインとオフラインの連携が特徴的です。

会員サービス「UNIQLOアプリ」を通じて、ポイント還元や特別割引などの特典が提供され、顧客のロイヤルティを高めています。

ZOZOTOWN

ZOZOTOWNのECアプリは、ファッション業界における代表的なアプリであり、豊富なブランド商品を取り扱っています。

アプリの特徴は、ユーザーが自身のサイズや好みに合わせた商品を簡単に見つけられることです。特に、顔写真を使って服を試着できる「ZOZOSUIT」などの技術的な革新を導入し、購買体験をさらに便利にしています。

アプリ内では、最新のセール情報や限定商品をプッシュ通知で受け取ることができ、ユーザーの購買意欲を高めています。また、アプリ内での購入履歴やお気に入り商品の管理ができ、リピート購入をサポートしています。

ECアプリ導入のポイント

実際にアプリを開発した際、うまくその効果を得るためには、いくつか抑えておきたいポイントがあります。

アプリをダウンロードさせる導線を確保

顧客にアプリをダウンロードしてもらわない限り、何も始まりません。ネイティブアプリの場合、ユーザーが多く集まるApp StoreやGoogle Playといったアプリストアで配信するのが効果的です。

しかし、これには審査を通過する必要があります。その他のプロモーション方法としては、店頭のPOPや配布チラシにアプリのダウンロードQRコードを掲載したり、ECサイトに告知を掲示したりする方法があります。

さらに、SNSを活用した告知も非常に効果的です。

軽く使いやすいアプリの開発

スマホユーザーが過半数を占める現在、スマホアプリは一般消費者の日常に深く浸透しています。さまざまな場面でアプリのダウンロードを求められることが多い一方、スマホ自体が重たくなりがちです。

そのため、ユーザーは使わないと判断したアプリをすぐにアンインストールしてしまいます。操作性が悪かったり、起動に時間がかかったりするアプリは、すぐに削除される可能性があります。

ユーザビリティを向上させるためにも、軽量で使いやすい操作性を維持することが重要です。

顧客との接触回数を増やす、利用率アップ施策

アプリを活用するメリットとして、ECサイトや実店舗のみの運営よりも顧客との接触機会を格段に増やせる点です。一般的に、顧客との接点が多いほど販促に有利とされています。

そのため、プッシュ通知などを積極的に活用することが重要です。プッシュ通知の開封率は、メールマガジンの3~5倍とも言われています。しかし、通知が多すぎるとユーザーが煩わしく感じ、通知をオフにされてしまう可能性があるため、配信内容とタイミングを慎重に検討することが大切です。

また、アプリ内に更新されるコンテンツを配置することで、ユーザーが買い物以外の目的でもアプリを開くようになり、さらにエンゲージメントを高めることができます。

まとめ

ECアプリは、顧客との接点を増やし、販売促進に効果的なツールです。アプリを活用することで、プッシュ通知やパーソナライズ機能を通じて、ユーザーに対してターゲットを絞ったアプローチが可能となります。

また、ECサイトとの連携により、アプリからWEBサイトに遷移させる手法が一般的で、二重管理のコストを避けつつ、効率的に運営できます。

成功には、ユーザーにとって使いやすく、魅力的なアプリの提供と適切なシステム連携が重要なポイントとなります。

いいなと思ったら応援しよう!