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食品ECとは|市場規模と課題、成功させるポイント6選を解説
こんにちは!NA×NAです。
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EC業界に限らず、幅広い分野・業界の知識を活かして正確な情報配信を心がけています!
食品ECは、オンラインで食品を購入する方法として急成長を遂げています。
消費者が自宅から簡単に商品を注文できる便利さを提供し、特に近年ではネットスーパーや定期販売(サブスク)型サービスが注目されています。
食品ECには大きな市場ポテンシャルがある一方、商材とECサイトの適合性やコストの問題など、いくつかの課題も抱えています。
本記事では、食品ECの市場動向、課題、成功のポイントを解説します。
食品ECとは
食品ECとは、食品をオンラインで販売・購入する電子商取引のことを指します。インターネットを介して、消費者が自宅で手軽に食料品を購入できる仕組みです。
食品ECには、主に3つの形態販売があります。
これにより、消費者は日々の食事や特別な商品の購入を手軽に行えるようになり、販売者にとっても広範な市場へアプローチできる利点があります。
また、近年では冷凍食品や保存食品の取り扱いが増加し、オンラインでの食品購入はますます一般的な選択肢として定着しています。
食品ECの主な販売形態3選
食品ECの主な販売形態には、消費者のニーズに応じたさまざまなサービスが存在します。以下の3つの形態が代表的です。
①一般的な食品EC
一般的な食品ECは、消費者がインターネットを通じて様々な食品を購入できるECサイトです。ここでは、加工食品、飲料、調味料、スナック、輸入食品など、幅広いジャンルの商品を取り扱っています。
大手のECプラットフォーム(Amazonや楽天など)を利用した販売も一般的で、消費者は自分のペースで商品を選び、購入することができます。
商品の配送は通常、数日以内に行われ、利便性が高いのが特徴です。
②ネットスーパー
ネットスーパーは、実店舗の食品をオンラインで注文できるサービスです。
消費者は、近隣のスーパーと同じ商品ラインアップから選んで注文し、自宅に届けてもらうことができます。
生鮮食品や日常的に必要な食品が中心となり、実際の店舗と連携しているため、商品は新鮮で、配送スピードも比較的早いことが特徴です。
多くのネットスーパーでは、配達エリア内で即日配送や翌日配送のオプションを提供しており、忙しい家庭にとって便利なサービスとなっています。
③定期販売専門EC(食品サブスク)
食品サブスク(定期販売専門EC)は、定期的に食品を届けるサービスです。
消費者は自分の好みやライフスタイルに合わせて、定期的に新しい商品や特定の商品を受け取ることができます。
例えば、毎月決まった量の果物や野菜を自宅に届ける「野菜定期便」や、サステナブルな食品を提供する定期便などが人気を集めています。
この形態のメリットは、消費者が毎回商品を選ぶ手間を省けること、また、特別な商品や旬の食材を定期的に楽しめる点です。
販売者にとっても、定期的な収入が見込めるというメリットがあります。
食品ECの市場規模とEC化率
経済産業省が2024年に発表した「令和5年度 電子商取引に関する市場調査 報告書」によると、2023年時点で飲料や酒類を含む食品ECのEC化率は4.29%でした。
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この数字は、物販系の中でも自動車やバイクのパーツを取り扱う分野に次いで低い割合となっており、食品ECのオンライン販売はまだ発展途上であることがわかります。
しかし、食品ECの市場規模は非常に大きく、2023年には2兆9,299億円に達し、成長を続けています。特に、前年からの市場規模は6.52%も伸びており、成長の勢いがある分野です。
また、2023年のデータでは、1世帯あたりの「食品、飲料、酒類」の年間平均支出は698,876円となり、新型コロナの前と比べて7.7%増加しました。
特に調理食品の消費が増えており、酒類や菓子類、肉類なども伸びていることから、食品の消費がオンラインで活発に行われていることがわかります。
このことから、食品ECは今後さらに成長する可能性が高いビジネスであると言えます。
食品ECの主な課題3選
食品ECには大きな成長の可能性がある一方で、いくつかの課題も抱えています。主な課題は以下の3つです。
生鮮食品などの商材とECサイトがマッチしない
生鮮食品や冷蔵・冷凍食品などの取り扱いは、食品ECにとって大きな挑戦です。これらの商品は鮮度が重要で、配送中の温度管理や劣化を防ぐための特別な物流が必要です。
しかし、一般的なECサイトではそのような取り組みが十分に整っていない場合が多く、消費者に新鮮な状態で商品を届けることが難しいことがあります。
このため、生鮮食品を扱うには高度な物流システムや冷蔵・冷凍配送の設備が不可欠です。
利益とコストがマッチしない
食品ECでは、特に配送コストが大きな問題となります。商品の価格に対して配送費がかさむと、利益率が低くなりがちです。特に、小さな商品単位で注文が発生すると、配送コストが収益を圧迫することがあります。
また、配送の迅速化や温度管理など、追加のコストが利益を削ってしまう場合もあります。
このため、食品ECビジネスは利益とコストのバランスをうまく取ることが課題となっています。
実店舗の利便性を超えられない
実店舗には、消費者が直接商品を確認したり、すぐに手に取って購入できるという利便性があります。対して、食品ECでは、実物を見て選ぶことができないため、商品選びや配送のタイムラグに対する消費者の不安が残ります。
特に、急ぎで必要な食品や、その場で使いたい食材を求めている場合、実店舗の利便性に劣る点が課題となります。
この点を解決するためには、即日配送やリアルタイムでの在庫更新、便利な商品提案などの取り組みが必要です。
食品ECを始めるメリット3選
食品ECを始めることには、いくつかの大きなメリットがあります。主な3つのメリットを紹介します。
商圏・販路を大幅に広げられる
食品ECを導入することで、物理的な店舗に縛られず、広い商圏や販路を持つことができます。
実店舗では立地や地域に制約があり、販売できる範囲が限られてしまいますが、オンライン販売なら全国、さらには海外への販売も可能です。
これにより、より多くの消費者にアプローチでき、売上の増加が期待できます。特に、地域に依存しないため、商品が気に入った消費者がリピーターとして戻ってくる可能性も高くなります。
販売時間の制限がないため受注機会を増やせる
ECサイトでの販売は、24時間いつでも行うことができます。
実店舗では営業時間が決まっているため、消費者がその時間内に来店できなければ購入の機会を逃してしまいますが、
食品ECではその心配がありません。消費者が夜遅くや早朝に注文しても問題なく、受注機会が大幅に増えます。
これにより、営業日に縛られることなく、より多くの注文を受けることができるため、売上の機会を最大化できます。
ユーザーに商品の魅力をダイレクトに届けられる
食品ECでは、商品をオンラインで詳しく紹介できるため、ユーザーに対して商品の魅力を直接伝えることができます。
写真や動画、説明文を使って、商品の特徴や品質、使い方、産地などを具体的に伝えることができ、消費者がより商品に対する信頼を感じやすくなります。
実店舗では店員との対話を通じて商品の魅力を伝えることが主ですが、ECサイトではこのような情報を視覚的にわかりやすく伝えることができ、消費者の購入意欲を高める効果があります。
食品ECを成功させるポイント6選
食品ECを成功させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
以下の6つのポイントに注意を払うことで、競争の激しい市場で差別化し、効果的に事業を成長させることができます。
独自性
多くの食品が販売されている中で、他と差別化するためには独自性を打ち出すことが重要です。
オリジナル商品やユニークなサービス、地域特産品、特定の食材に特化した商品など、他のオンラインショップでは手に入らないものを提供することで、消費者に「ここでしか買えない」と感じさせ、魅力的な選択肢として認識してもらえます。
これにより、ブランドの個性を際立たせ、競争力を高めることができます。
商品情報の充実
オンラインで食品を購入する際、消費者は実物を手に取って確認できません。そのため、商品情報を詳しく提供することが非常に重要です。
商品の特徴や使用方法、産地、賞味期限、栄養価、アレルゲン情報など、消費者が安心して購入できるように、必要な情報を十分に掲載することが求められます。
写真や動画を活用して、視覚的にも魅力的な商品説明を行うことが効果的です。
リピーター施策
一度購入した顧客が再度購入するような仕組みを作ることは、食品ECにおいて非常に重要です。
定期購入プランや割引クーポン、ポイント制度など、顧客が継続して商品を購入したくなるような仕掛けを取り入れることが有効です。
また、顧客との信頼関係を築くために、商品のお礼メールや、個別対応でのサポートを行うことも、リピーターを増やすために役立ちます。
SNSを活用してUGCを収集
SNSは、食品ECのマーケティングにおいて重要な役割を果たします。
ユーザーが自身の購入した商品をSNSでシェアすることで、自然に口コミが広がり、新たな顧客を引き寄せることができます。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)を集め、SNSで積極的に活用することで、信頼性を高め、他の消費者に商品を試してもらいやすくなります。
また、インフルエンサーとのコラボレーションも、ブランドの認知度を上げる手段の一つです。
ECサイトの利便性
ECサイトの利便性が高いと、消費者は購入までの過程がスムーズに進み、ストレスなくショッピングを楽しむことができます。
サイトのデザインは直感的でわかりやすく、商品の検索機能が充実していることが大切です。
さらに、スマートフォンやタブレットからのアクセスにも対応したモバイルフレンドリーなデザインを採用し、誰でも簡単に商品を注文できる環境を整えることが必要です。
配送方法や送料の設定を工夫
配送は食品ECにおいて重要な要素です。
消費者はスピーディーで確実な配送を求めています。即日配送や翌日配送、冷蔵・冷凍配送の選択肢を提供することで、消費者に利便性を提供できます。
また、送料の設定も消費者にとって大きな要因となります。
送料無料のキャンペーンや、一定金額以上の購入で送料を無料にするサービスなど、消費者にとって魅力的な送料制度を導入することで、購入意欲を高めることができます。
食品ECの成功事例5選
株式会社ヤッホーブルーイング
ヤッホーブルーイング株式会社は、「よなよなエール」などのクラフトビールを販売しています。
LINEの活用を強化した結果、予想以上に多くの定期会員がLINEに登録しました。
これにより、LINEを通じて簡単にお届けビールの選択ができるようになり、お客様の手間を減らし、定期会員の解約防止にもつながりました。
オイシックス・ラ・大地株式会社
オイシックス・ラ・大地株式会社は、ECサイト「Oisix」を運営しています。
オイシックスのビジネスモデルは、ネットで購入できる有機野菜や無農薬野菜を提供し、配達日時や野菜の選択が自由な利便性の高いサービスを展開しています。
また、ミールキットの定期購入を促進することで、リピーターを獲得し、大きな収益を上げています。
全国農協食品株式会社
全国農協食品株式会社は、ECサイト「全農食品オンラインショップ」を運営しています。
全農食品オンラインショップは、頒布会と定期購入で成功を収めています。
頒布会では、毎回異なる商品を顧客が選べるようにすることで、顧客の好みに合わせた柔軟なサービスを提供しました。
これにより、通常の頒布会では避けられない不満を解消し、顧客から高い評価を得て、売上の増加に繋がりました。
株式会社 加賀麩 不室屋
株式会社 加賀麩 不室屋は、ECサイト「不室屋オンラインショップ」を運営しています。
スマートフォン対応や実店舗とオンライン顧客データの統合など、使いやすいサイトを作り上げました。
特に贈答品を意識したサイト構成が特徴で、「のし」や名入れ、紙袋選択など、実店舗と同様のサービスを提供しています。
また、ついで買いを促す商品提案など、ECの特性を活かしたサービスも充実しており、これによりリピーターを獲得しています。
株式会社JEAN-PAUL HÉVIN JAPON
株式会社JEAN-PAUL HÉVIN JAPONは、ECサイト「JEAN-PAUL HÉVIN JAPON CHOCOLATIER」を運営しています。
オンライン限定品を展開することで、実店舗の顧客をオンラインショップへ誘導しています。
オンライン限定商品を提供することで、実店舗利用者がオンラインでの購入へ移行し、ニュース配信などを通じて継続的にアプローチできるため、オンラインへの誘導が効果的に行われています。
まとめ
食品ECは、オンラインで食品を購入できる利便性を提供するビジネスモデルで、特に最近では生鮮食品やミールキット、定期購入サービスの需要が高まっています。
オンラインならではの利点として、時間や場所に縛られずに商品を選べる点、さらに配送サービスの充実が挙げられます。
しかし、物流や利益とのバランス、実店舗の利便性に勝ることが難しいという課題もあります。
成功には、商品の魅力を伝えるコンテンツや独自のサービス提供が重要で、リピーターを増やすための工夫やSNSの活用も鍵となります。