【アニメ感想】Charlotte
先日YouTubeで期間限定一挙配信していたのを観た友人から勧められた。2015年のアニメらしいが全く知らない…。
勧められた時点で配信期間が残り2日だったけど無事に視聴完了。
というか惹き込まれて止まらなかった。
思春期に一部の人間にだけ特殊能力が発症する世界。
能力者になった主人公・乙坂有宇が「5秒間だけ他人の体を乗っ取る能力」を使って、カンニングをして優等生になったり、気になった娘とお近づきになったりとやりたい放題。
まぁこんな能力手に入れたらやるよね。
友利奈緒に見破られて、逆に能力者たちが能力を悪用しないように警告する生徒会活動に参加させられる。
能力者がたくさん出てくるけど『ONE PIECE』や『HUNTER×HUNTER』のように戦闘するわけではなく、日常系青春物語のように展開していくのは能力の内容とその不完全さに合ってる。コメディシーンも面白い。
友利の兄のエピソードはけっこうエグいし、黒羽美砂の旧友との別れのエピソードにはグッとくるものがあった。コメディシーンとの起伏があって飽きずに楽しめる。
そんな展開が打ち破られた妹・乙坂歩未の死。
自分が発症した能力「崩壊」によって死ぬとか、これまでのナックルボールとか念写とかとレベルが違いすぎ。
この展開には呆気に取られて言葉を失った。
妹を失ったショックで堕ちていく乙坂。
カップラ生活から逃避行してネカフェ民に。チンピラと喧嘩の日々。
チンピラから巻き上げたドラッグを吸引しようとした瞬間に登場する友利。
いや、どこかで登場するとは思ってたけど、まさかずっと姿を隠して見守ってたとは…。彼女の能力を知ってるのに全然予想していなかったので衝撃的だった。
そこからの友利の「人間やめますか?」等の言葉にもグッときた。強い言葉で糾弾する友利の熱量に愛を感じる。
そして「一口だけ食べたらもう関わらない」と友利が出してきた料理が乙坂家秘伝のピザソースを使ったオムライス、ね。前半でしつこいくらいに登場してたこの料理がここで回収される。
母親の残したレシピを再現し続けていた妹の愛と、責任を感じて見守り続けていた友利の優しさに泣けた。
ZHIENDの初披露の新曲がきっかけで気を失い、夢の中で別の世界線が描かれ、まさかの兄の登場。
確かにタイムリープや記憶消去の能力者がいてもおかしくはないわな。強者が集い始めた感じがしてワクワクの展開。
タイムリープを繰り返して理想の未来を創るって『STEINS;GATE』っぽいけど、視力を失うって代償がでかすぎる。
そして実は乙坂の能力が「略奪」という最強の能力だったっていう。クロロ=ルシルフルの「盗賊の極意(スキルハンター)」的な。実は別の能力だったとかゴムゴムの実みたい。
能力者たちを救うことができる唯一の人間ということで、全世界の能力を奪う任務へ出発。
海外組織に友利を人質にとられた際に直接的に救出できなかったから、友利の案に乗って恩を返すことにしたんだろう。
友利への告白がちゃんとあって◎。ハッキリさせずにモヤモヤするのは嫌いなので、しっかり恋愛要素も描いてくれたのがありがたい。
途方もない任務をやり遂げ、最後に殺されて終わるのかと覚悟もしたけど無事に兄貴に救われた。
代償として記憶を失くしたけど、それでも単語帳だけは手放さなかった。
乙坂に誰かと問われ「あなたの恋人です」と返す友利。
この病室でのやりとりからラストシーンまでが最高。
記憶を失くしても、友利の言うように"これから"を大切に生きるのであればそれほど大きい障害ではない。
ヒロイン友利奈緒が魅力的。声もキャラに合ってる。
自分がツンデレに弱いのもあるけど、理不尽なツンでは無く、親に売られ兄があんな状態にも関わらず優しさと愛を持っている素敵な娘。最後のデレ方もキャラを損なわない範囲での最高のデレ具合。
能力者であるが故の葛藤や苦悩を含め、心理描写がリアル。まぁ能力者になったことないんですけど。
乙坂歩未のキャラは当初「なんだこいつ」って感じだったけど、だんだん慣れていったところで唐突な死。失って初めて気づく大切さ。世界線が移動してからは娘を見るような温かい目で見守るようになった。
ZHIENDが作品を通して印象的だった。
友利の兄が憧れたバンド。
MVを撮りたいという友利の夢。
友利からプレゼントされた音楽プレーヤー。
友利の兄が復調の兆しを見せるきっかけとなったボーカルの歌声。
別の世界線の記憶を呼び起こされた友利と行ったライブ。
出発前に友利に預けた音楽プレーヤー。
ラストカットで寄り添うように置かれた単語帳と音楽プレーヤー。
当初はこんなキーになるバンドだとは思わなかった。音楽も含めて印象深い。
背景の美しさも素晴らしい。
美しい自然がしっかり描かれていて、セリフや状況も含めて美しいシーンが完成されていた。
青春、能力、コメディ、恋愛、戦闘、時間移動などなど要素がてんこ盛りで、多少粗削りな感じもするけどどれも及第点。後半から展開がガラッと変わるのにも惹きつけられる。
ハッピーエンドで自分が期待した展開(友利との恋愛、歩未の復活)もあったので満足度はかなり高かった。
…でXを見てたらアニメでは描き切れていないエピローグが漫画に載ってるという情報が。
我慢できずにKindleで即購入。電子書籍って素晴らしい。
表紙の絵がすでにエモい。
アニメ視聴直後なので声の脳内再生は余裕。
エピローグ読んでさらに満足度が高まる。
描かなくても充分素敵な物語だったが、自分はエピローグが大きな加点。
この物語がより好きになれた。