創作と自我、私は二者を重ねたくないって話
ここか、老舗の街中華。
赤いのれんをくぐり、古びた券売機の一番左上、おそらく最も押されたであろう「中華そば 800円」を押す。
小ぢんまりとした券が銀色のやたら広い発券口にストンと落とされ、それを手に取り大将に手渡す。「中華そばお願いします」
小気味良い湯切りやガスの音と、ラーメンをすする周りの客の音。充満するごま油の香り。
少し油でベタついた赤いカウンターの机上も、もはやスパイスである。
「中華そばお待ち」
低いながらも芯のある声で、カウンターの上にスッと置かれた中華そばは