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「人生でこんなにハマったサービスはない」。1日3曲ペースで投稿するヘビーユーザーがCOOになった理由

nana music COOの細野は、2012年のローンチ直後から欠かさず投稿を続けている「nana」のヘビーユーザー。もともと楽器や音楽をやっていたわけではなかった細野は、なぜ「nana」にハマったのか?1日3曲ペースで投稿していたヘビーユーザーから、nana musicに最高執行責任者としてジョインすることになったのか?「nana」との出会いから入社、そして現在に至るまで、そのルーツを教えてもらいました!

ー 社員随一のヘビーユーザーである細野さんが「nana」を使い始めたきっかけから教えてください!

リクルートで新規事業開発を担当していた際に、「nana」のリリースに関するニュース記事を読んだのがきっかけです。昔から“ハモる”ことがすごく好きで、カラオケでは誰かが歌い始めたら2本目のマイクでハモリ始めるタイプでした。でも同じメンバーにハモってばかりだと飽きてくる。“ハモラー”の生きづらさを感じている時に、興味本位でアプリをダウンロードしたら、「これはハモっても良さそうだぞ?」となったんです。

ー なるほど!ハモってみて、反応はいかがでしたか?

最初はソロでアカペラで歌って投稿したんです。そしたら全然知らない人から拍手(※SNSでの「いいね!」のような機能)が届いた。

その後、とても素敵な歌を歌っている人がいたので、ハモって投稿してみました。「ハモっていただきありがとうございます!」と、とても喜ばれたんです。「“ハモラー”の需要と供給がマッチする場所を初めて見つけた!」と思いました。一気に「nana」にハマり、1ヶ月に100曲くらい投稿してました。今でも1日平均3曲はアップしてます。

ー 1日3曲!すごいですね。他の音楽アプリと「nana」はどう違ったのでしょうか?

自分が好きな歌を歌って、人と出会い、交流できるところですね。「プロになりたいわけじゃないけど歌が好き」な人って、割と生きづらいと思うんです。高い機材を揃えて動画配信するほどでもない。でも知り合いとカラオケに行ってもあまり刺激的じゃない。

そもそも「プロ」と「アマ」という分け方もあまり好きではないんです。プロもアマも関係なく、歌うという経験はもっと日常に自然と溶け込んでいいものだと思うんです。

ー 「nana」に強い思いを持つユーザーだった細野さんが、実際にnana musicに関わるようになるきっかけは何だったのですか?

新規事業開発を担当していたので、ふと「『nana』ってどうやって儲けているんだろう」という疑問が湧いてきたんです。どれだけ考えても、マネタイズするプランがどうしても思いつかない。

万が一サービスが潰れたら、コツコツ投稿した100曲が消えてしまう!そう思い、nana musicのTwitterアカウントに連絡をして、実際にビジネスモデルについて聞きに行ったんですよ。

ー オフィスに突撃訪問したんですね...!文原さんはじめ社員の方たちはどんな反応だったんですか?

返ってきた答えは「ビジネスモデルはありません」でした。その答えに驚くと同時に、絶対に存続させてやる!と燃えてきまして、勝手にコンサルティングを始めたんです。

文原も当初は「変わったユーザーさんが来ちゃった」と焦ったそうなんですが、悪い人じゃないと思ってもらえたようで、受け入れてくれました。「nana」のヘビーユーザーという信頼関係がベースにあったのだと思います。

ー どのようにコンサルティングを進めていったんですか?

新規事業開発を経験し、マネタイズのパターンやメディアの伸び方が少しずつわかってきたので、nana musicの事業を長期的に伸ばしていくための提案を持っていきました。

しかし、当時の文原はサービスをいかに多くの人に使ってもらえるのかを優先していて、マネタイズに積極的ではなかった。「ユーザーから課金してもらうのはちょっと…」と反対され、「へビーユーザーである私がお金を出すと言ってるのに...!」と議論が白熱する場面も多々ありました。その後1年ほど関わっていたのですが、事業に関する方向性が合わず、一度離れることになったんです。

ー 一度離れていた時期があったんですね。nana musicに再び関わることにしたのはなぜですか?

ある日、文原から電話がかかってきたんです。会って話を聞くと、「nana musicの資金が尽きてしまった」と言われました。もしnana musicが潰れたらリクルートを辞めて、nana musicの事業を買い取ろうと思っていたんですよ。だから最初は助けるつもりはなかったんです。

でも話しているうちに、サービスをゼロから生み出し、ここまで伸ばしたのは文原だし、私だったら「nana」のようなサービスは絶対に思いつかなかっただろう…。そう思い直したんです。なのであくまでいちユーザーから「『nana』を1年間楽しく使ったことへの感謝」という名目で個人的に少し支援しました。

それを機にコンサルティングを再開しました。その後、しばらくして他の投資家からも無事に資金調達ができ、なんとか危機を乗り越えました。

ー その時点ではまだユーザーだったんですか?

資金調達の段階で優秀な人材が集まっていたので、もう私の出る幕じゃない、いちユーザーに戻って楽しもうと思ってました。そこで再びnana musicから離れたんです。

それから2〜3年経ってDMMからの買収が持ち上がったとき、文原が私のところに相談にきたんです。「安定して報酬を支払う準備ができたから、この会社にジョインしないか」という誘いでした。しかし当時はまだリクルートで役員になったばかりだったため断ったんです。

ー リクルートの役員を辞め、nana musicにジョインしたのは、買収から半年が経った頃ですよね。

そうです。本職の異動で事業統括という仕事にまわり、経営を管理するようになりました。けれど、面白いサービスを自らの手で作って事業化してみたいという想いが拭えずにいたんです。そのタイミングで、文原から再び声をかけられました。

「やるにしても『nana』を存続させるために俺は自由にやらせてもらうよ」と文原にはあらかじめ伝えました。それでも「お願いします」と文原は言うんです。思い返せば人生でこんなに夢中になったサービスは「nana」の他になかった。私自身もこれ以上nana musicに関わるなら外からではなく、内部から変えなくてはと感じていました。ここでやっとnana musicに入社を決めたんです。

ー 実際に入社してからはどのような施策に取り組んだのでしょうか?

まずはデータ分析に取り組みました。これまでユーザー目線で抱いていた仮説が正しいのか、データを元に検証していくような感じで、楽しかったですね(笑)

そこでわかったのは、投稿しないユーザーは定着しないし、増えていかないということ。聞く人や曲のリピート率を上げようとしてもユーザー数は伸びない。ユーザー登録しているにも関わらず、投稿しないすなわち歌っていない人たちも多くいる状態をどうにかしなければいけなかった。

当時、社内では海外向けのプロモーションに注力していました。しかしデータをみるとなかなか成果は芳しくない。「まずは日本の投稿者を増やす必要があるのでは」と課題を共有していきました。方針転換を行う中で、データを元に戦略的に判断する文化を社内に根付かせたいという意図もありましたね。

ー COOとしてnana musicに加わってから1年が経ちましたが、nana musicの組織としての変化は感じますか?

データに対する意識は圧倒的に変わりましたね。また、毎月定例会議を行って事業戦略や経営状況を共有していくうちに、「事業化していくぞ」というモチベーションの高まりも感じます。「本当にやりたいことを自由にやるには、自分たちでお金を作らなくてはならない」という点は今後も繰り返し伝えていきたいですね。

文原の描くビジョンを体現するためには、「nana」をマネタイズするという難題に取り組める強い集団にならなくてはいけないけませんから。

ー 細野さん自身が今後挑戦していきたいことはありますか?

とにかく新しいものを作って驚かせたい。すでに世の中にあるものを10%成長させることができたとしても、喜びはあまり感じない。競合他社も含めて、世の中が「何それ?」というものを出し、それをビジネスとしてちゃんと成り立たせていくことが、私の喜びであり、「nana」で果たすべき役目だと思っています。

「nana」のローンチから5年。紆余曲折が、今のnana musicを作った。そんな実感を持つようなインタビューでした。「nana」に魅了されたユーザーとして、危機感を持って経営を変革していった細野も、大きなビジョンを持って事業をゼロから作り上げてきた文原も、熱い思いを持って日々仕事に取り組んでいます。

次回は、経営サイドやユーザーの目線から見たnana musicの新しいビジョンやバリューについて細野に聞いていきます。どんなエピソードが飛び出すのでしょうか。

nana musicは「Everyone is a Co-Creator」を信じ、誰しもが“おと”を通じて繋がり、共に表現する喜びを得るためのツール、仕組み、遊びの場をつくっていきます

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