小さな夢を詰め込んで
新しいお弁当箱を買った。いっしょに、水筒も。
どちらも前から好きでよく見ていた、「北欧、暮らしの雑貨店」のサイトで見つけたものたちだ。
ちょうど昨日、頼んだもの一式が家に届いた。
わたしはそれらを並べて、しばらくぼうっと
眺めていた。
なんだか久しぶりに、心の中がふわふわとした
甘い空気で充満していくような、心地よさに
包まれていた。
はじめはお弁当箱も水筒も、買うつもりなんて
なかった。
わたしにとってお弁当は、節約と健康のために
仕方なく毎日作っているものだったし、
水筒なんて、水が入る容器であれば正直なんだって
いいと思っていた。(ふたりとも、ごめん。)
だから今までは、水筒は自分が持っている物の中で
たぶん一番安かったし、お弁当箱なんて、よく
考えたら中学生くらいから使っている代物だった。
それほど、頓着していなかった。
けれど、まだまだこの状況は長引きそうだし、
何よりわたしも経済的に打撃を受けていて、
しばらく節約が必要だった。
そこで、お弁当生活を続けようと決めた。
とはいえ「お昼ごはんを食べる時間」は、
わたしにとっては一日の中でもかなり重要な地位を
占める時間だ。
できることなら、自分の心が潤うような、
弾むような時間にしてあげたい。
でも、残念なことに、朝早く起きることと
料理をすることは、どちらもわたしの苦手なもの
トップ3位にランクインしていた。
朝起きて短時間で自分が喜ぶようなご馳走を作る
なんて、絶対に無理だ。ああどうしよう。
そして思いついた。よし、形から入ろう。
こうしてわたしのお弁当箱を探す旅が始まったの
だけど、その旅路は、わずか数分で終わりを告げた。
なぜなら、わたしは、出会ってしまったからだ。
まずは水筒。まあるくぽてっとした、フォルム。
それなのにどこか大人びた表情をしていて、シンプルで何にも媚びない尊厳のようなものを感じる。
色も真っ白ではなくて、ほんのり淡い、クリーム色。
優しいのに、甘すぎない空気を纏っている。
そして何より、頭にちょこんと乗った、ベレー帽の
ような取手付きの蓋。
その曲線の、美しさといったら。
一瞬で心を射抜いて、とらえられてしまった。
まだ可愛いものに心惹かれてしまう、でももう大人
だし、シンプルなものを持たなきゃ…。
そんな葛藤と戦っていたわたしにこれ以上ない、
完璧な水筒だった。
↑もったいなくて紙を剥がせていないのだけど、
シンプルでまっさらなアイボリー。
見た目の美しさはもちろんだけど、機能だって
すごい。
保冷も保温も6時間続くし、あの愛らしい取手付きの
蓋は、オフィスで移動するとき、PCやら筆記用具
やらスマホやらを持っていたとしても、手が塞がら
ない。すごい。
いつもなぜか移動するときに荷物が多くなってしまう
わたしにとって、この機能も、心がときめいた理由だった。
そう、この子は、見た目だけじゃなくて中身もすごい
優秀な子なのだ。
これを絶対に買おうと決めてから、お弁当箱を決めるのにさほど時間はかからなかった。
同じようなアイボリーで、蓋が保冷になっていて、
シンプルだけどこちらもぽってり感が愛らしい、
お弁当箱。
さらには、これは投資だ…と小声で自分に
言い訳をして、
サラダ用のランチボックスと、mottaのハンカチまで
購入した。
サラダ用のランチボックスは、簀子がついていて、
蓋が保冷になっているので、新鮮な野菜を冷たいまま
食べられるというところが気に入って買った。
けれど想像以上に大きくて、お弁当箱との併用は
難しそうだなあと悩んでいる最中。
外に出られるようになったら、お弁当をこの子たちに
入れてピクニックしたい。
ハンカチは、実際は写真よりも淡くて透明感のある
青色で、さらっと滑らかな感触が心地よい。
ずっと触っていたくなる。
そんなお気に入りたちを手に入れて、心はほくほく
温まっているのだけど、問題は、ちゃんとこの子たちを使いこなせるか。
せっかくわたしの元に来てくれたはじめてのお弁当箱と水筒なのだから、大切に使っていきたい。
まずはこの週末、簡単に作れるレシピを探して、
この小さな箱に、何を詰めようか計画を立てよう。
そんなわくわくする時間も、すでに愛おしい。
この記事が参加している募集
いただいたサポートは、もっと色々な感情に出会うための、本や旅に使わせていただきます *