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どん底の新卒から、自分を好きになるまでの3年間。大切にしてきた5つのこと。



先週、働いている会社の学生インターン生の卒業式があった。

3年前のその日を思い出して、なんだか感慨深い気持ちになる。

わたしは3年前、彼らと同じようにこの会社をインターン生として卒業し、社会に出た。

まさかその数年後に社員として、またこの会社に戻ってくるなんて想像もしていなかったから、人生何があるかわからない。



卒業式では、担当しているチームの卒業生に、手紙を読んだ。読みながら、わたしの頭の中には「はたして自分は、あの頃から今日までの3年間、どのくらい成長できたのだろう?」という想いが過った。

この3年間の社会人生活は、大学生の頃に思い描いていたような華やかな日々ではなかったし、新卒の頃に憧れていた先輩たちと、今の自分が同じ年次だなんて、まったく信じられない。

あの頃と比べて何ができるようになったのかと聞かれたら、答えに詰まってしまうと思う。



だけど、これだけは言える、ということが2つある。

1つは、「今が人生で一番幸せ」だということ。
2つ目は、「今の自分が一番好き」だということ。

今この瞬間こんな風に思えているだけでも、これまでの日々は、決して無駄なことばかりではなかったのかもしれない。

わたしが今そう感じているのは、どうしてだろう?

社会人生活3年間を振り返ってみて、理由と言えそうなことがないか、考えてみた。

このnoteでは、その中で気づいた、わたしが無意識に「大切にしてきたこと」を、まとめておこうと思う。



①肯定してくれる人、応援してくれる人を見つける

わたしの新卒時代は、自分の想像以上のできなさに打ちのめされ、上司にも毎日怒られ、終電帰りが続き、自己否定と自己嫌悪で身体的にも精神的にも崩壊寸前、という、人生の中で一番過酷な1年間だった。

帰り道、心も体も疲弊して、お腹が空いているところに雨が降ってきて号泣したり、朝、最寄駅に向かう道で、柔らかな日差しに涙腺が崩壊して涙を流しながら通勤したり。まるで壊れた蛇口のように、気を抜くとすぐに涙が出てくる始末

入社したばかりの頃、満ち溢れていた自信なんてものは、何度も絞ったあとの雑巾みたいに、干からびてなくなっていた。


だけど、それでも会社を辞めずに、自分が納得するところまで働き、置かれた場所で少しずつ自分の価値を発揮できるようになったのは、「そのままの自分を肯定し、応援してくれる人」と出会えたからだと思う。

新卒の頃のわたしは、自信は搾り取られてなくなっていたけれど、それでもどこかで「自分を認めてくれる人は、どこかにいるんじゃないか」という淡い期待を持っていた。



だから、会った人にまた別の人を紹介してもらう、という方法で芋づる式に色々な人に出会い、最終的には社内で80人の先輩方とランチに行った。そのしぶとさが功を為したのか、最後の最後で、運命的な出会いがあった。

その人は「自分はこのままでいいんだ」と初めて思うきっかけになっただけでなく、「もっと、こんなことをしてみたい」と人生に対して前向きになるきっかけも作ってくれた。

社内にこんな人がいたんだ、と、今でも初めて会った日の感動を、鮮明に思い出すことができる。心の奥底に埋もれていた本当の感情が、雪解けの後に姿を現す花びらのように顔を出したあの瞬間は、この先もずっと忘れられないと思う。



社会人になると、組織の風土や文化、社会の荒波に揉まれて、ついその場に迎合して、自分を見失いそうになる。

だけど、ありのままの自分を「いいね」「応援してるよ」と言ってくれたり、「それ一緒にやってみたいね」と仲間になってくれる人が一人でもいると、自分を保つことができる

身近にいないなら、行動範囲を広げて自分から探しに行く。
絶対どこかには、わかってくれる人、味方になってくれる人がいるから。

この精神は、これからも持ち続けたいと思う。


②心が動いた瞬間、素直な気持ちを何よりも大切にする


先述した運命の出会いは、ほとんど直感だった。

その時初対面だった先輩に対して、「この人、素敵だ」と思ったので、「来月、京都でこんなイベントやるんやけど…(まあ来れないよね)」と言われた時、「行きます!」とその場で返事をして、会社に戻ってすぐに有給申請をして、新幹線の切符を買った

この京都行きは、わたしの人生を大きく変える決断になった。
(この話は、またどこかでゆっくり書こうと思っている。)



今の会社に転職することになったのも、決定的な要素だったのは、「この人(誘ってくれた上司)と一緒に働きたい」という率直な想いだった。

当時は合理的にいろいろ理由を並べてみたけれど、結局はその1点で、ほぼ勢いで決めたと言っても過言ではない。だけど、今となっても転職して本当によかったと、心から思っている。

新卒の夏休みに、有給を取ってスペインに行くことを決めた時も、後から「自分の気持ちを一番大切にしてよかった」と、心の底から思った。あの時諦めていたら、その後何度も後悔しいてたと思う。



社会人になって自然と習慣づいていたことに、こんなものがある。

悩んだりもやもやしたとき、一旦現状のすべてを忘れて、「もし今、お金も時間も世間体も何も気にしなくていいなら、何をしたい?」と自問して、そこで浮かんだ答えを、できるものから少しずつ実行してみること。

例えばそこで、「どこか遠くに行きたい…」と思ったら、いきなり旅行には行けないけれど、行ったことのない街に、1人で行く日をつくってみたり、乗ったことのない電車に乗って、知らない景色を眺めてみたり。



「どうしたらもっと、自分は幸せになれるんだろう」という問いを常にして、どんなに小さなことでも、それを叶えてあげるようにする。

譲れないものは、譲らなくていい。
好きなものも、好きな人も、好きな人生も。

そう思って生きていたから、少しずつ、生きやすくなってきたのかもしれない。


③好きなこと、やりたいことを発信し続ける


能力とか、世間体とかは一切気にせずに、やりたいと思っていること、好きな気持ちを、口に出してみる。誰かに話してみる。

わたしも最初は恐る恐るだったのだけど、先輩に出会ってからは、自分の「好き」を声に出すことが、怖くなくなった。

聞いてくれた人は「それいいね」と案外さらっと肯定してくれるもので、好きなことについて話すと、「面白いね、もっと聞かせて」と興味を持ってもらえることも多い。

初対面でも、「こんなことができたらいいね」とか、新たなアイディアが生まれたりして、相手にも気づきを与えることができるんだ、という嬉しい発見もあった。



好きなこと、やってみたいことを口に出したおかげで、「小説家になる」という、幼い頃に心の奥底に葬り去っていた夢を、「小説を書く仕事」をいただいたことにより、かなり近い形で叶えることができた。

夢って本当に叶うんだ、と、自分でも信じられないほど、感動した出来事だった。(まだそれは1つの点でしかないから、これから線にしていかないと、と思っている。)



昔から大好きな「食」についてInstagramで発信し続けていたことで、社会人になってからなかなか出会えないような人に出会えたり、交友関係が広がって、色んなお誘いを受けるようにもなった。

この世界があったから、他の世界で自分を見失うことがあっても、なんとか心を保ち続けることができた

最初は「自分だけの宝箱をつくりたい」という遊び心で始めたInstagramだったけれど、気づいたら、9年が経とうとしている。

その間、ただ「好きだから」という理由だけで続けてきたけれど、それがこんな風に、大切にしたい縁や、新しい世界につながっているなんて、思ってもみなかった。

誰になんと言われようと、自分が好きなことを信じて、それを好きだと言い続けたい。この先はどんな出会いが待っているのか、まだまだ楽しみだ。


④定期的に自分と向き合い、労る時間をつくる

「毎日日記をつける」というのは今年から始めた習慣なのだけど、それまでも、ここ5年間くらいは「1ヶ月の振り返り」と、「一年の振り返り」は、必ず行うようにしていた。

振り返りと言っても、インターンや新卒研修などで行うような「いつまでに何をするかをきっちり決めて、できたこととできなかったことを洗い出して、whyがなくなるまで自問して、課題を特定して…」みたいな、少し憂鬱になるような振り返りではない。

ここで言う振り返りは、心の中を浮遊する掴みどころのない感情たちを言語化して、自分の目の前に並べて理解するための作業に近い。自由なお絵かき、みたいなイメージかもしれない。



毎月の振り返りは、必ずお気に入りのカフェで、お気に入りの手帳に手書きで書く。そこでは自分の好きなもの、心地よいと感じるもの以外はすべて目に入らないようにして、ひたすら自分との時間をゆっくり過ごす。

まずは、その時自分が感じていることを、ひたすら言葉にしてみる。

もしその時心が少しでももやもやしていたら、「今、自分の心には何が足りないんだろう?」「どんな人やものがあったら、場所に行ったら、満たされるんだろう?」と考えて、欲しいものやしたいことを、また書き連ねる。

今は精神的にとても元気なので、その月の反省点や課題についてもじっくり考えるようにしているけれど、心の状態が悪かった頃は、できるだけ「欲しいもの」「したいこと」など前向きな気持ちになることだけを、考えるようにしていた。

そして、次の月の「目標」や「アクションプラン」は決めずに、ふわっとテーマだけを決める。それも、「こうしなきゃいけない」ではなく、「こんな月にしたい」「こんな気持ちで過ごしたい」のように、心が上向きになるような言葉で書くことを、意識して。



自分の感情と定期的に向き合うようになって、自分が何を大切にしているのか、どうして今、こんな価値観や性格なのか、ということが、人にも説明できるくらい、はっきりわかるようになった。

自分がどういう時にどう感じるのかがわかったことで、ストレスもコントロールしやすくなったし、自分のことも大切にできるようになって、対人関係のストレスも減った

同じような悩みのループにはまったり、自己嫌悪することも、かなり少なくなったように思う。

他人と比べて落ち込む回数も減ってきて、心身ともに、前向きで健康的になった気もする。

そして、ようやく最近、「自分の身体や心が、自分のものになってきたな」と感じるのだ。


⑤悩んだら、納得する答えが出るまでとにかく考え続け、最後は自分の心で決める

わたしは相談ごとや悩みごとができると、どんなに小さなことでも、すぐに人に話してしまう。

「最近運動不足で…」という軽いものから、「恋人と別れようと思ってて」「転職しようと思ってるんだけど」など、深刻な話まで。思いついた瞬間に、親しい友人や先輩に話してしまう。

だけどわたしは頑固なので、最終的には周りに言われたことのすべてを横に置いて、「やっぱり自分はこうしたい!」という気持ちが目の前に現れて、無視できなくなって、その通りに行動することが多い。

(要は、話すことで自己解決してしまうタイプなのです。そんなわたしに長年付き合ってくれている友人たちには、頭が上がりません、、)



恋愛も仕事も、人生において答えは1つじゃない。

だったら結局は、自分が納得できるくらい悩み抜いたか、選んだ後にその選択を正解にできるかどうか、その後の実行力の方が大事だなあと思うようになった。

選択には、必ず「別れ」や何かを「捨てる」ことがつきもので、所有している間は大切だと思ってしまうけれど、一度手放してみると、案外必要がなかったりもする。選んでみると、選ばなかった方の選択肢はすぐに忘れてしまっていたりする。

悩んでいる時は気づかないのだけど、「選ぶ」ということを繰り返していると、結局どっちを選んでも、(後悔するかどうかは自分の認識次第だから)結果は同じなんだなあと、思うようになった。

だから、仮にその時「これは逃げているだけかも…」と思うようなことがあっても、選んだ選択肢の方を、「逃げじゃなくて選び取った道」として正解にしてしまえば、そんな不安もなくなるんだ、と気づいた。



だから今わたしには、振り返っても人生で「やり直したいタイミング」は思いつかないし、これから先の人生でも、きっとないだろうなあと思う。

むしろ選択することに、わくわくしている自分がいる。

最近は、「手に入れる前に、今持っているものを手放す」ことの大切さをひしひしと感じる。

「今、自分が持っているもの」に縛られて、動けなくなっていた頃とは違って、捨てて身軽になったことで、少しずつ人生が楽しくなってきている。



身も心もボロボロだった新卒時代から、3年間。

当時は生きることに毎日必死だったけれど、その中で、この5つの考え方や行動習慣が、自分の芯を支えてくれたんだなと、振り返ってみてわかった。

今ようやく自分の心や身体が自分のものになって、身軽になって、スタート地点に立っている気分だ。

思い描いていたような社会人になれているかどうかはわからないけれど、もしあの頃の自分に聞かれたら、「今が一番楽しいし、これからの人生はもっと楽しくなると思うよ」と、胸を張って答えられると思う。

これから先の日々も、そんな風に、大切なことだけを大切にして、軽やかに、しなやかに、生きていきたい。

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岡崎菜波 | nanami okazaki
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