瀬戸内、そこに浮かぶ蒼の島
児島駅に着いた頃には、空は淡いピンクと水色の、マーブル模様をしていた。夢の中にいるみたいな、幻想的な空の色が駅の看板やバス停をふんわりと包み込む。
瀬戸大橋から見えた夕暮れにひとはしゃぎした後のわたしたちは、その光景を見て、また歓声をあげた。
「わ、綺麗。なんでこんな色してるんだろう」
「空がピンク色。東京じゃこんな空、滅多に見ないよね」
わたしたちの他に駅にいたのは、部活鞄を肩に背負った中学生くらいの少年と、ベンチに座るおじいさんだけだった。
当然そこには音もない。