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あの恋の物語。

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あのとき私は、たしかに恋をしていた。 届くことのなかった、忘れたくない恋の記憶。
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#エッセイ

「いい人」と「悪い人」の矛盾を抱えた彼を好きになったから、分かった。

この時期になると、毎年思い出してしまう人がいる。 社会人になりたての頃、好きだった先輩の…

明日世界が終わるとしても、愛を伝え続けたいあなたへ。

久しぶりに、彼に会った。 「友達に戻ろう。」そう決めた日から、会うのは今日が初めてだった…

他人同士のふたりでも、一緒に生きてみたいのは

「結婚したい」と思っている彼に、「それをする相手がわたしである必要はあるの?相手は誰でも…

あなたがくれた、世界の続き

あ。殻が、割れた。 彼と初めて目が合ったとき、咄嗟にそう思った。 割れたことに気がつくま…

わたしの世界を変えたのは、全部きみの言葉だったよ

彼からもらった言葉を、どこかに残しておきたい。 そう思ったのは、年が明けて数日経った、あ…

秋と冬の境目を歩く朝、ふたつの幸せを想う

雨の音で、目が覚めた。 窓は開いていないはずなのに、部屋の空気はひんやりとしていて、心な…

「愛がなんだ」を観て。二度としたくないあの恋は、忘れたくない恋だった。

  全ての純愛が美しい、というのは嘘だと思った。 むしろ、ほとんどの純愛は、恐ろしいほど醜い。そして、残酷だ。 「愛がなんだ」を観て、わたしは答えのない苦しみと救いようのなさに、  4回泣いた。 誰もが、誰かを想って、どうしようもなくなったことがあるのかもしれない。登場人物たち、ほぼ全員に感情移入しながら、そんなことを思った。 それに気づいた時、いつも誰かを掌の上で転がす、「恋なんて興味ない」と言わんばかりの強気のあの人すら、急に愛おしく思えてきた。 本当は、あの人

春の冬眠から目覚めて

今年はまだ、春の匂いがしていない。 今朝のニュースでは、「今年は暖冬で、例年よりも 桜の…

今はまだ、満開のふたりを待ち侘びて

わたしが取り憑かれたように誰かに恋焦がれるときは、大抵その理由を言葉で説明できない。 好…

春尽く知らせとぬるい梅雨

ついにこの日がきてしまった。 いつかこの日がくるということは、 ずっと前からわかっていた。…

春の空気を連れてきて

春の空気のような人。 それが、彼の最初の印象だった。 「あ、おつかれさまです」 そう言っ…

彼が嫌いな秋のこと

最寄駅から家に帰るまでの夜道、 ふと、わたしはどうして秋が好きなんだろう、 と思った。 …

明け方の白昼夢

夢をみた。 何度も繰り返し、同じ夢を。 「どんな夢だったの?」と彼に聞かれたから 「今日が…

金木犀を、辿る夜

「最近知り合った人が撮る写真がさ、 もう、たまらなくいいんだよね。」 様々なジャンルの本が所狭しと並べられた、 風通しの良い、明るい店内。 わたしたちは、お気に入りのブックカフェで それぞれ思い思いに本を読んでいた。 気づくと外はもう日が落ちかけていて、 橙色と淡いグレーが混ざったような、 ぼんやりとした色の空が見える。 お店に入ってから2杯目のアイスコーヒーを手に 席に戻ってきた彼は、ソファに腰掛けながら、 そう言えばという感じでぽつりとつぶやいた。