量産型クリスマスカードと過集中におけるアロマポットの空焚きについて
クリスマスカードを量産している。一枚一枚、手書きである。御言葉以外は。御言葉こそ手書きにするべきではないのかと思うが、私の乱筆では可読性に欠けるため、まず読めるという言葉の本質を優先し、御言葉は整えられたデジタルフォントでプリントアウトすることにした。読んでほしいのだ。解読してほしいわけじゃない。
イラストは最初は色鉛筆でささっと描くつもりだったが、色鉛筆は安物で発色が悪く、手がつかれるのでパステルとダンボール判子でつくることにした。
これらは個人的なクリスマスカードではなく、教会で出すクリスマスカードである。ド素人が集まって創作するので、手抜き上等、むしろ質より量といった感じなので、私は直感だけ働かせて、つくっている。
こういう作業にいったん入ると、私は過集中気味になり、周囲への注意力が皆無になる。クリスマスカードを量産し始めてからアロマポットの空焚きを2回したので、これはまずいと思い、アナログタイマーを買った。前からなんか欲しいとは思っていた。デジタルではなく、ゼンマイ式(なのかは分からない)のやつ。で、今日届いた。
タイマーはぐるりと回すとカチカチ言い始める。今のところは心地よく感じるし、どうせ集中するとイヤホンで音楽聞いてても音が聞こえなくなるので、問題ない。
カチカチという音を聞いていて気が付いたことがある。この音は、約5年前、私が統合失調症の陽性症状の花が満開だった時に聞いていた、時限爆弾のタイマーの音なのである。もちろん、時限爆弾は妄想で、タイマーの音は幻聴だ。ドアを思いきり閉めると、時限爆弾が解除されるという設定だった。何とも迷惑な妄想である。
いま、現実のキッチンタイマーは時を刻んでいる。カチカチ、と、これは幻聴ではない。もしかして、あのときの私は未来の音を聞いていたのだろうか。
アロマポットの火は小さくて明るく、オレンジだ。皿には水が入っている。
キッチンタイマーのベルが鳴るとき、何も爆発しないだろう。私は正常な思考に戻ってしまった。それとも、大多数の人々の間にある共通の狂気に飲まれただけなのだろうか?
さて、私は再び量産型クリスマスカードの作成に入る。良いクリスマスを。
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